ライアークエスト

かしわで

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第四章 ウソつき勇者と滅びた洋館

4-3 想定外

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 食堂を抜け、中央のホールへの道を歩く。途中動くろうそくが出てきたが、簡単に倒せた。

 ホール前の扉に着いた。扉を開けると、小さな休憩部屋があり、その先がホールだ。ボスの【マジックキャンドル】はそこにいる。

「では、扉の奥に進みましょう」

 アンナは動くろうそくを倒したことで、自信がついてきていた。震えも全くない。

「待って、この扉の奥はトラップがあります。中央は落とし穴になっています。扉を開けたら、中央に行かずに、左右に別れて歩いてください」

「またそんな嘘を。扉の場所といい、敵の数といい、外れてたわよ」

 そう言って、アンナは扉を開けて奥に進んだ。

「ほら、なんともないじゃない。嘘ばっかりですね」

 おかしい、なぜ何も起きなんだ。

「天井だ!アンナ、こっちに飛べ!」

「え?きゃ~!」

 アンナは扉の外にいる、僕達に飛び込んできた。僕とミランで受け止めた。扉の奥では、天井が落ちて大きな音がした。

「ふ~危なかったぜ。ケントの言った通り、トラップあったじゃないか」

「確かにそうね・・・・悪かったわ」

「次に俺に飛びつくときは、ロマンティックな場所にしろよ!」

 僕はなぜトラップが記憶と違っていたのか、不思議に思いながらも、感謝されたので別にいいかと思った。

 僕たちは扉の中に入り、落ちた天井を避けながら、奥にあるホール前の扉に向かった。


 扉を開けると、そこは記憶通り大きなホールになっていて、明らかに動くろうそくよりも大きいろうそくが中央にいた。月明かりがちょうど雲で隠れて、うっすらとしか見えないが、頭のろうそくで形は分かる。

「あれが、ボスか。でかいな」

「あれは、【マジックキャンドル】です。では、作戦を言います」

「あれが、お姉様に・・・許せない!!」

「ま、待って、簡単に倒せる作戦が~!」

 アンナは静止を振り切り、【マジックキャンドル】に向かっていった。そして、得意の武術で攻撃を仕掛ける。アンナ自身もダメージを受けているが、相手も身体が欠けていっているため、ちゃんとダメージを与えている。

「おい、あのまま倒せるんじゃないか?」

「いえ、簡単には倒せませんよ」

 マジックキャンドルの足元は、15センチくらいの丸い穴が沢山開いている。なんとそこから、動くキャンドルが飛び出してきた。そして、マジックキャンドルに吸収された。すると、アンナの攻撃で欠けた部分が回復した。

「なんてこった。あれではいつまでも倒せないぞ」

「そうなんです。あいつの下にいる、動くろうそくが全部いなくならないと、回復は止まりません」

「なるほど分かった。アンナちゃん、戻って来るんだ!」

 アンナは戻ってきた。ケガをしていたが、ミランの回復薬草で完全回復した。

「悔しい。まさかろうそくを吸収して回復するなんて・・・・」

「まあ、そんな顔するなって。美女の顔が台無しだ」

 考えていた作戦を説明する。僕は、ミランから爆弾を受け取った。

「ミラン、アンナさん、この爆弾をマジックキャンドルに投げるので、相手が手に取ったら、向こうにある大きな扉の鍵を開けて、外に逃げてください。マジックキャンドルは、火を勝手に着けるので爆発に巻き込まれますので」

「分かったわ。あなたに従うわ」

 ミランはマジックキャンドルに火が着いていない爆弾を投げた。マジックキャンドルはその爆弾を手に取った。

「よし、行くぞ!」

 僕たちは走り出した。マジックキャンドルは火をつけようと頭に持っていく・・・・行かない。その爆弾を遠くに放り投げてしまった。
 その爆弾は、小さな窓から外に消えていった。

 僕たちは走りはじめていたが、急ブレーキをかけた。

「おいケント、話が違うぜ。爆弾はあっちに行っちまった」

「どういうこと?ケントさん!」

 僕は全く分からなかった。この方法は確実に発生する設定なのだ。

 その時、雲が晴れて、月明かりが室内に入ってきた。マジックキャンドルの姿が月明かりで露わになる。

「な、なんてことだ・・・あれば【マジックキャンドル】じゃない。【ダークキャンドル】だ!」

 僕は愕然とした。クエストでは【マジックキャンドル】のはずなのに、【ダークキャンドル】がいるなんておかしい。

 思い返すと、この【滅びた洋館】に来てから、すべてが微妙に違っていた。入り口は東側ではなく西側だし、食堂の敵の数も違う。トラップも穴じゃなく天井崩壊だし、ボスが異なっている。なぜだ・・・・

 僕はクエクエの【滅びた洋館】のイベントを再度脳裏に浮かべた。今回起きたこと、決して未経験だったわけではない。天井崩壊も、ダークキャンドルも、確かにゲームで経験した記憶がある。。。。
 経験があるのは、クエクエ1・・・2・・・・そうだ、思い出した。

 このイベントは【クエクエ2】だ!
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