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第四章 ウソつき勇者と滅びた洋館
4-5 クエスト完了とその後
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消えてしまった洋館を後にして、僕ら3人は町へと戻っていった。まだ深夜なのだが、月明かりのおかげで、帰り道はしっかりと見えている。
帰路の中、僕とアンナはとても疲れたのでほとんど無言だったが、ミランはずっと喋りっぱなしだった。
しばらくすると町が見えてきた。
「おお、ようやく町に戻ってきたか」
「ミラン、あなたずっと喋っていたわね。よくそんなに話が続くわね」
「俺はその場しのぎの男だから、今が大事なのさ。アンナと話すのも、今日が最後かもしれないしな」
「え?どこか行くの?」
「いや、別に。特に予定はない。ただ、万が一、今日が最後かもってことさ。だから今が大事なのさ」
「そうですか・・・・なら別に良いのですが・・・・」
僕はミランのその性格がうらやましいと思っている。生前は友達の前では明るく振舞っていたが、実際のところ結構無理していたこともあり、ミランみたいな性格になれないかなといつも思っている。
「じゃあ、明日ギルドのミーナと一緒にあんたの家に行くぜ。クエスト完了報告にね」
「そうね、また明日」
「俺と別れるからって泣くなよ?」
「泣くわけないでしょ!!」
アンナはプンプンしながら帰っていった。たぶんミランは、アンナが死ぬ直前だったという緊張した状態を続けるよりは、怒っていたほうが気持ち的に楽になるだろうと思い、ワザと言っているんだろうと思っている。
僕はレベルが上がっていた。
覚えた魔法は【ファイアボール】と【ファイアボム】。どちらも火の魔法だが【ファイアボム】は【ファイアボール】と違って広範囲にダメージを与えることが出来る。後で試してみよう。
その晩、さすがに疲れたのですぐに寝ようとしたが、ミランが相変わらずバーボンを用意して待っていたので、付き合った。結果、頭痛がする。
「ケントさん、起きてください」
「うう、頭が痛い・・・・」
「ケントさん、町長の家に行きますよ」
「キスでもしたら起きるんじゃね?」
「出来るわけないでしょ!」
そんな声が聞こえてきた。あれ、女性の声だ。僕ははっとして起き上がった。ベッドの隣にミーナが座っていた。
「やっと起きたわね。また二日酔い?ごめんね、ミランがどうせ飲ませたんでしょ?」
「・・・・はい」
「ホント、ミランはどうしようもないわね」
「おいおい、昨日はほんの少し飲んだだけだ。ケントがまだ弱いだけだ」
そう言っているが、机の上には、クエスト出発時には無かったバーボンの空き瓶がたくさん転がっている。
「まあ、いいわ。町長の家に行くわよ」
僕はミランに二日酔い止めの薬を貰って飲んだ。結構良くなった。薬の能力はさすがだ。
僕ら3人は町長の家に向かった。
「ミーナさん、昨日の件は聞きました?」
「ええ、ミランから聞いたわよ。ダークキャンドルを剣一撃で地獄の底に落としてやったって」
「え?ただ剣で切った衝撃で、相手を穴に落としただけですよ」
「ケント、そう謙遜するなって。あの一撃はすごかったぜ!」
相変わらずの大袈裟っぷりだ。また間違った情報で広がらなければよいが・・・・。
町長の家に着いた。町長が玄関の外で待っていた。
「おお、待っておりましたぞ。ささ、中へ」
僕たちは、町長に言われるがまま昨日来た応接間に通された。
「アンナから聞きました。見事モンスターを倒し、洋館も消滅したとのことですね」
「はい、そうです。ボス【ダークキャンドル】を倒しました」
「これで、脅されることは無くなった。本当に感謝するよ。では報酬だ。アンナ、持ってきておくれ」
奥の部屋から、報酬を持ったアンナが出て来た。
昨日の武闘家の格好とは打って変わって、シンプルながら、その整ったボディーラインを強調するかのような衣装だ。とても美しい。首元にはきらりと光るものがある。
「おいおい、報酬ってのは、アンナちゃんのお披露目かい?確かに俺への報酬はそれで十分だ」
「はっはっは。ミラン殿はお口が上手だ」
「ミラン、黙ってなさい」
「おいおい、怖いね~」
「ミラン、ミーナさん、こちらが報酬です」
アンナが報酬を目の前にある机に置いた。近くで見ると、その整った顔立ちにドキッとする。
「町長さん、確かに受け取りました。これでクエストは完了です」
「ああ、お疲れさまでした。今後も私の依頼や町のクエストを頼むよ」
「承知いたしました」
僕たちは報酬を受け取り、町長の家を出た。すると、アンナが追いかけてきた。
「あの・・・・ありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそです。アンナさんがいなければ、あのまま洋館共々消えていましたからね」
「・・・・また、お二人にお会いすることは出来ますか?」
「そうですね、僕はしばらくはこの町にいますので、何かあればいつでも」
「おお、モテる男はいいね~。俺もそんな頃があったかな~」
「な、なにを言っていらっしゃるのかしら?本当にミランはおしゃべりね!」
「そう怒るなって、その首にある、俺が贈ったクリスタルが悲しむぜ!」
「!!!」
アンナは家に走って戻っていった。
「ありゃ?本気で怒らせちまったかな。相変らず罪な男だぜ、俺は」
ミーナは二人のやり取りを見て、またかみたいな顔をしてため息をついている。そして僕は走って帰るアンナの顔を見て分かった。間違いない、アンナはミランのことが・・・・。
でも言うのはやめておこう。女同士のバトルになりそうだから。。。。
---第四章 完---
帰路の中、僕とアンナはとても疲れたのでほとんど無言だったが、ミランはずっと喋りっぱなしだった。
しばらくすると町が見えてきた。
「おお、ようやく町に戻ってきたか」
「ミラン、あなたずっと喋っていたわね。よくそんなに話が続くわね」
「俺はその場しのぎの男だから、今が大事なのさ。アンナと話すのも、今日が最後かもしれないしな」
「え?どこか行くの?」
「いや、別に。特に予定はない。ただ、万が一、今日が最後かもってことさ。だから今が大事なのさ」
「そうですか・・・・なら別に良いのですが・・・・」
僕はミランのその性格がうらやましいと思っている。生前は友達の前では明るく振舞っていたが、実際のところ結構無理していたこともあり、ミランみたいな性格になれないかなといつも思っている。
「じゃあ、明日ギルドのミーナと一緒にあんたの家に行くぜ。クエスト完了報告にね」
「そうね、また明日」
「俺と別れるからって泣くなよ?」
「泣くわけないでしょ!!」
アンナはプンプンしながら帰っていった。たぶんミランは、アンナが死ぬ直前だったという緊張した状態を続けるよりは、怒っていたほうが気持ち的に楽になるだろうと思い、ワザと言っているんだろうと思っている。
僕はレベルが上がっていた。
覚えた魔法は【ファイアボール】と【ファイアボム】。どちらも火の魔法だが【ファイアボム】は【ファイアボール】と違って広範囲にダメージを与えることが出来る。後で試してみよう。
その晩、さすがに疲れたのですぐに寝ようとしたが、ミランが相変わらずバーボンを用意して待っていたので、付き合った。結果、頭痛がする。
「ケントさん、起きてください」
「うう、頭が痛い・・・・」
「ケントさん、町長の家に行きますよ」
「キスでもしたら起きるんじゃね?」
「出来るわけないでしょ!」
そんな声が聞こえてきた。あれ、女性の声だ。僕ははっとして起き上がった。ベッドの隣にミーナが座っていた。
「やっと起きたわね。また二日酔い?ごめんね、ミランがどうせ飲ませたんでしょ?」
「・・・・はい」
「ホント、ミランはどうしようもないわね」
「おいおい、昨日はほんの少し飲んだだけだ。ケントがまだ弱いだけだ」
そう言っているが、机の上には、クエスト出発時には無かったバーボンの空き瓶がたくさん転がっている。
「まあ、いいわ。町長の家に行くわよ」
僕はミランに二日酔い止めの薬を貰って飲んだ。結構良くなった。薬の能力はさすがだ。
僕ら3人は町長の家に向かった。
「ミーナさん、昨日の件は聞きました?」
「ええ、ミランから聞いたわよ。ダークキャンドルを剣一撃で地獄の底に落としてやったって」
「え?ただ剣で切った衝撃で、相手を穴に落としただけですよ」
「ケント、そう謙遜するなって。あの一撃はすごかったぜ!」
相変わらずの大袈裟っぷりだ。また間違った情報で広がらなければよいが・・・・。
町長の家に着いた。町長が玄関の外で待っていた。
「おお、待っておりましたぞ。ささ、中へ」
僕たちは、町長に言われるがまま昨日来た応接間に通された。
「アンナから聞きました。見事モンスターを倒し、洋館も消滅したとのことですね」
「はい、そうです。ボス【ダークキャンドル】を倒しました」
「これで、脅されることは無くなった。本当に感謝するよ。では報酬だ。アンナ、持ってきておくれ」
奥の部屋から、報酬を持ったアンナが出て来た。
昨日の武闘家の格好とは打って変わって、シンプルながら、その整ったボディーラインを強調するかのような衣装だ。とても美しい。首元にはきらりと光るものがある。
「おいおい、報酬ってのは、アンナちゃんのお披露目かい?確かに俺への報酬はそれで十分だ」
「はっはっは。ミラン殿はお口が上手だ」
「ミラン、黙ってなさい」
「おいおい、怖いね~」
「ミラン、ミーナさん、こちらが報酬です」
アンナが報酬を目の前にある机に置いた。近くで見ると、その整った顔立ちにドキッとする。
「町長さん、確かに受け取りました。これでクエストは完了です」
「ああ、お疲れさまでした。今後も私の依頼や町のクエストを頼むよ」
「承知いたしました」
僕たちは報酬を受け取り、町長の家を出た。すると、アンナが追いかけてきた。
「あの・・・・ありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそです。アンナさんがいなければ、あのまま洋館共々消えていましたからね」
「・・・・また、お二人にお会いすることは出来ますか?」
「そうですね、僕はしばらくはこの町にいますので、何かあればいつでも」
「おお、モテる男はいいね~。俺もそんな頃があったかな~」
「な、なにを言っていらっしゃるのかしら?本当にミランはおしゃべりね!」
「そう怒るなって、その首にある、俺が贈ったクリスタルが悲しむぜ!」
「!!!」
アンナは家に走って戻っていった。
「ありゃ?本気で怒らせちまったかな。相変らず罪な男だぜ、俺は」
ミーナは二人のやり取りを見て、またかみたいな顔をしてため息をついている。そして僕は走って帰るアンナの顔を見て分かった。間違いない、アンナはミランのことが・・・・。
でも言うのはやめておこう。女同士のバトルになりそうだから。。。。
---第四章 完---
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