ライアークエスト

かしわで

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第五章 ウソつき勇者と賢者の石

5-1 決意

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 僕とミランは、貰った報酬を半分ずつ分けた。ミランは遊びに使うようだが、僕は装備を充実させるために、街の武器屋や防具やに向かった。色々声をかけられた。

「おおケント、聞いたぞ、またすごいクエストを達成したって?」

「相変らず一撃だったみたいじゃないか」

「最初見た時から、ずいぶん成長したな。もう一人前だな」

 クエストを達成したのは昨日の夜。なのに、もう広がっていた。僕はそれに対して反論していない。嘘つき癖は抜けていない。


 数日のうちに、僕はギルドの中でかなりの有名人になっていた。そして、街の内外から、僕指名でクエストが来るようになった。僕は、時には独りで、時にはミランと一緒に精力的にクエストをこなし、着々と経験値とお金を貯めて行った。その間、【ライアーストーン】の力を使うことはなかった。


 そして、一か月が過ぎた夜、いつものようにミランと晩酌をしていた時、僕は言った。

「ミラン、僕はそろそろ、この町を出ようと思っているよ」

「・・・・そうか。俺も、もうそろそろ言ってくる頃かと思っていたぜ」

「今までありがとう」

「なに、気にするな。ちなみに、どこへ向かうんだ?」

「実は、王都に行こうと思っている」

「王都にか。そりゃまたなんで?」

「魔王を倒すための準備・・・・仲間を探すためです」

「そうか、そうだな。いくら強くなっても、仲間がいないと魔王なんぞ倒せないからな」

「そうなんです。だから、世界を旅して自分に合う人を見つけたいのですが・・・・いろいろ回るよりも、王都が手っ取り早いかと」

「そうだな。王都だといろんな人が集まるし。そして城下町のギルドは、こことは比べ物にならないほどの数で、高額で、難しいクエストがたくさんありそうだ」

「そして、最も重要なことは、賢者を見つけることです」

「賢者か・・・・って賢者ってなんだ?」

「この世界で、最も魔法を使うことに関して優れた職業です。攻撃、防御、補助、回復等、ありとあらゆる魔法を使いこなすことが出来ます。そして、自分自身が物理的なダメージを受けても、魔力が残っていれば、自動的に回復します」

「そ、そりゃすげーな」

「魔王討伐には、是非必要な仲間なのです」

「そうなのか・・・・賢者か・・・・よし、ケント、俺もついていく」

「え?僕の旅にですか?」

「ケント以外、誰がいる?」

「だって、先ほど言ったように、僕の最終目標は魔王討伐ですよ。今の生活に満足しているのであれば、僕の無茶で危険な行動に付き合わないほうが」

「俺は、面白いのが好きだ。そのチートみたいな賢者ってのを是非見てみたいぜ。ついでに魔王もやっちまえばいいんだろ?」

「本当にいいんですか?」

「ああ、安心しろ。お前との約束だ。ただし、美女との約束が重なったらそっちが優先だがな」

 ついに、僕に正式なパーティーメンバーが加わった。名前はミラン。職業は薬師。武器はナイフとロープを兼ねた鞭だが、レベルが上がることによって得られる、卓越した薬の知識で、攻撃、防御、補助、回復など、材料があれば何でもあり。まるで道具の賢者だ。
 かつ、攻撃も出来るので、とても頼りになる。女にだらしない以外は・・・。

「ところで、なんで賢者のことそんなに知っているんだ?」

「え?ああ、昔読んだ本に、そんなことが書いてあったことを思い出したんだよ」

「そうか・・・・なんか思い出し方が適当だな。まあ、そんなところがケントらしくって面白いけど」

危ない危ない、嘘で逃げる。


 次の日、ギルドに向かった。ミーアに町を出ていくことを報告した。

「そっか、ついに来たのね。冒険者だからしょうがないけど、寂しくなるわね。まあ、ギルドとギルドは通信の宝玉でつながっているから、行きそうなところには連絡はしておくわよ」

「いろいろとありがとうございます。ところで・・・・その、ミランさんと離れ離れになって、心配じゃありませんか?」

「え?ミランの心配?何が?」

「ほら、女性関係とか・・・・」

「あ~それね。サッサと結婚すればいいのに。どうせ冒険者だから落ち着くのは無理だろうけど」

「そうですね、結婚すれば落ち着く・・・・けっ結婚すればってどういうことですか?」

「ええ、弟が遊んでばっかりで結婚しないのは、姉としてしんぱいでしょ?」

「・・・・姉弟だったんですか?」

「まあ、腹違いの姉弟だけどね。昔から一緒だから、気にしてないけど」

 なんだ、仲が良かったのはそういうことか。ってことは、ミランには鎖が無いわけで、旅先でいろいろと遊びまわりそう。僕も連れまわされるのかな。

「ところでミーナ、賢者って職業知っているか?」

「賢者?ああ知っているわよ。超レア職ね。なりたくてもなれないから、そもそも目指そうとする人いないけど」

「なりたくてもなれないってどういうことだ?」

「賢者になるには、【賢者の石】が必要なの。そして、さらに資格が無いと無理なの」

「へ~【賢者の石】と資格ね。その石はなんだ?」

「世界に数個しかない、賢者になるために必要となる石らしいわよ」

「そうなのか。どうやって見つけるのか・・・・で資格ってどんなもんだ?」

「私もわからないわ。知っている人いるのかしら?」

「ケント、お前知っているか?知るわけないか。。。。」

「そうですね、知らないです。記憶喪失ですから。ただ、その人が【賢者の石】を手に持つことで、賢者かどうか分かるらしいです」

 僕は心の中で思った。
【賢者の石】のありかは分からないが、資格は知っている。その資格とは、生まれつき【聖】の属性を持っていることだ。でも、知っていると言ったところで、何で知っているんだの話になるので、ウソをついて知らないことにする。

 そういえば、【クエクエ1】では、主人公の幼馴染が【賢者】だったってオチだ。幼馴染と言えばレイナを思い出すのだが、そっくりなレイアも幼馴染に入るのだろうか?

「では明日朝、出発します。」

「ええ、分かったわ。」

 そう言って、ギルドを去った。僕たちは部屋に戻り、荷物を整理し、旅路の支度をした。ミランが借りていた部屋はミーアに管理してもらうように調整をしていた。いつかは帰ってこれるように。

 僕とミランとミーアは、その夜お酒を飲んだ。ミランの過去の話をミーアからたくさん聞けた。とても楽しい夜だったが、次の日の朝は地獄だった。

 懲りていない自分に腹が立つ。。。。
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