ライアークエスト

かしわで

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第五章 ウソつき勇者と賢者の石

5-3 コランの村

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【賢者の石】

 それは【クエクエ1】で、賢者を探すために必要なアイテムだ。

【賢者の石】が無いと、賢者の素質がある人物を見つけても、賢者になることが出来ない設定だった。【クエクエ2と3」ではアイテムとしてしか存在しないが、戦闘中に使うと、使う人の職業によって、いろいろな効果をもたらすことが出来る。
 もし賢者の設定が【クエクエ1】の仕様であれば、賢者を仲間にするためには【賢者の石】は必須アイテムだ。

「アンナさん、どこで見たの?」

「コランの村という所。冒険者が町から町への移動の際の、途中の宿泊場として発展した村よ。そういえば、このまま行ったらそこに着くわね。ちょうどよかったんじゃない?」

「ケント、相変らず運がいいな。アンナ仲間にしなかったら、分からない情報だぜ。」

「そうだね、アンナさん、ありがとう」

「なんだか、いきなり役に立ったみたいだわね。感謝してね」

 僕は【コランの村】の名前を思い出していた。【クエクエ1】に存在する村だ。そこにあるクエストは・・・・思い出しながら歩いていこう。

 歩いている途中、何度かモンスターと出くわしたので、そのたび倒したが、ほとんどアンナが一撃で倒した。
 僕とミランはその攻撃力に感激をしたが、そのこぶしがこっちを向かないよう、あまり怒らせてはいけないとお互い誓いを立てた。

 ちょうど昼過ぎ、岩山を削って作った通り道を歩いていた時、ミランが話を始めた。

「そういえば、東の赤くてデカい岩山だが、ここには何かあるのか?」

「さあ、私も馬車でここを通るときに見るけど、あまり知らないわ。名前は赤い色が太陽みたいだってことで、【サンズロック】って言うらしいわ。」

「なんかお宝でもあれば、アンナにプレゼントしてあげられるんだかな」

「冗談はやめてね。疲れちゃう」

そう冷たく返すが、アンナの顔は赤くなっている。ふとアンナが口にした。

「あれ、【サンズロック】の上のほう、何かいるわよ。見てみて」

「どうせ、カラスか何かじゃないか。空飛んでるし」

「いや、そうじゃないわ、岩の方よ」

「岩の方だと・・・・確かに何かいるな。黒いデカいのが」

「カラスにしては大きいわね・・・・あっ飛んだ。。。。あ~!」

 それは、カラスと言うには大きすぎる。そしてその姿はカラスよりも恐ろしい姿をしていた。

「おい、あれって、モンスターじゃないか?しかもボスバージョンの!」

「確かにそうです。あれはモンスター【ビッククロウ】のボス、【ギガクロウ】だ!」

「うそ~、いきなりボスバージョンとの戦闘?全く気持ちが追い付いていないわ!」

「気をつけろ!カラスは光る物が好きだ。アンナの首飾り、手で隠せ!」

 アンナは言われたとおり、ミランからもらったクリスタルを手で隠した。

【ギガクロウ】はこちらを見たように見えたが、そのまま遠くに飛んで行った。

「ふう、ちょっとビビったぜ。とりあえず安心だな」

「そうだね。ただ、普通のカラスと【ビッグクロウ】は今でも普通に飛んでいるので、クリスタルは隠しておきましょう」

「そうね、そうするわ」

 アンナは首飾りをカバンに入れた。そしてそのまま【サンズロック】の横を通り過ぎた。

 日が傾いてきて、だんだんと暗くなったころ村が見えた。【コランの村】だ。

「やっと着いたか。途中でモンスター退治しながらだと、やっぱり時間がかかるな」

「あんたたち、ほとんど何もしていないでしょ。私のおかげで経験値貰えているんだからね」

「アンナ、たまには俺達を頼ってもいいぜ。か弱い女に男はコロッと行くらしいぞ」

「え?そ、そうなの?じゃあ今度から頼ってみようかしら・・・・」

「いや、アンナは男を尻に敷くタイプだから似合わないな。やっぱり止めてくれ」

「ミラン、また私を馬鹿にして!」

 ミランは村に向かって逃げ出した。アンナはそれを追いかける。僕はそれを見ている。なんと平和な風景だ。

 町に着くと、小さな村ではあるがにぎわっていた。いろいろな冒険者や商人たちがうろうろとしている。

「アンナ、この村のどこで見たんだ?」

「私も昔過ぎて、よく覚えていないの。【賢者の石】って名前は強烈だったから覚えていたのだけど・・・・」

「アンナさん、覚えていないくらい昔だってことは、きっと子供のころだと思います。【賢者の石】のような貴重なアイテムを、子供がすんなりと見れるはずはありません。きっとこの村の有力者から見せてもらったのではないでしょうか?アンナさんの両親は町長という有力者なので、そのようなつながりがあってもおかしくはありません」

「なるほど、それは言えている。ケント、お前なかなか冴えているな」

「ケントさん、さすがです。ミランにもそういうの教えてあげてください」

「おいおい、アンナ、俺は美女の話しか受け付けないぜ!」

「はいはい、分かりました。せっかくなので、夕食で村の食事処に行くでしょうから、聞きまわりましょう」

「そうですね」

 僕たちは、村の宿を予約し、食事処に向かった。宿はもちろん男と女は別の部屋だ。ミランは残念がっていたが、ダメに決まっている・・・・というのは口だけだ。
 本当は僕だってと思いながら、建前のために自分に嘘をついた。
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