ライアークエスト

かしわで

文字の大きさ
27 / 39
第六章 ウソつき勇者と王宮の姫

6-3 レイアとの再会

しおりを挟む
 何と、そこにいたのはレイアだった。そばにはジルもいる。

「あら、こんなところで会うなんて、奇遇ですわ」

「レイナさん、なぜ王都に?」

「私とジルは、王都に【スーザン・マンゴー】を売りに来たのです。昨日来たのに、もう売り切れましたよ」

 そういえば初めて会った時、村の名産とか言っていた。

 「レイナちゃん、久しぶりだね」

 「え~と、ミランさんですよね。あの時以来ですね。今でも助けて頂いたこと、感謝しています」

 「ケント、ミラン、この女性はだれ?」

 僕たちは、スーザン村で起こった事を話した。

「そういう仲だったのね。ただの知り合いって感じなのかな」

「アンナ、俺は1度会った美女は、すでに知り合いという関係ではないと思っているぞ」

「まあ、美女なんてミランさんもお上手ですね」

「な、何言っているの?一度会っただけで知り合い以上なんて、冗談としては面白くないわね」

 アンナは笑って入りが、明らかにレイナをライバル視しているようだ。ミランに知り合いの美女がいたことと、子犬がなついていることが原因だろうか。

「ええっと、実はその犬は懸賞金が賭けられていまして、見つけた人に報酬が出るのです」

「あら、そしたら私が懸賞金を貰えるのかしら?」

「いいえ、私たちが先に見つけたから、私たちが優先よ」

 何となくヤバい、バトルになりそうな雰囲気だ。

「ここはひとつ、半分ずつでどうじゃ?」

 隣にいたジルが言った。ナイスフォローだ。

「そ、そうですわね、半分ずつなら納得だわ」

「俺は、美女に出会えたから、全額あげてもいいんだけどな」

 アンナはミランにケリを入れた。ミランは痛いと言いながら足を抑えている。

「おほほ。恥ずかしいところお見せしましたわね」

「そういえば、お嬢さん、隣のダリアスの町の町長の娘さんでは?噂は聞いておりますぞ」

「え、そうです。よくご存じで。噂ですか?どんな噂ですか?美人だとか??」

「隣町の町長に、おてんば娘がいるって話ですぞ」

「わっはっは、おてんば娘だって。アンナにぴったりじゃないか!」

 アンナはミランの先ほどとは違う足にケリを入れた。ミランは地面に倒れてしまった。

「とりあえず、ギルドに向かいましょうか」

 ミランはほっといて、レイナが【エリザベート・アレクサンドラ・グランムルグ】を抱えたままギルドに向かった。歩いている最中、ジルが僕に話しかけ来た。

「ケント殿、ちょっと見ない間に、ずいぶんと成長されたように見えます。もしよろしければ、ギルドカードを見せていただけますか?」

「いいですよ。」と言いながら、僕のギルドカードを見せた。老人でも興味があるのだろうか?

「勇者ですか。ずいぶんとめずらしい職業ですね」

「そうなんです、だれも知らないんですよ」

 ギルドカードを返してもらった。歩いて話をしていたので、いつの間にギルドに着いた。
 ギルドの前には、王宮の飾りをした馬車が止まっていた。中に入ろうとした直前、ミランが追いついてきたので一緒に中に入る。

「まだ見つからないですの?もう半日もたちますわ」

「お嬢様、そう簡単には見つかりませんよ」

 中から声が聞こえる。ギルドのカウンター前に、10歳くらいの女の子がいた。いかにも王族って感じの衣装をしている。隣には執事がいた。そして、レイナが抱いていた子犬がワンと吠えた。

「あ~、エリザ、エリザだわ!」

「もしかして、この子犬を探している方でしょうか?」

「そうですわ。やっとエリザを見つけましたわ!お姉さんありがとう!」

「おいおい、長い名前つけたのに、結局エリザって呼ぶのかぃ」

 レイナはエリザを女の子に渡した。とても喜んでいる。

「娘さん、ありがとうございます。お嬢様はとても喜んでいらっしゃいます。しかし、このエリザは、お嬢様以外なつきませんのに、珍しいですね」

「そうなんですか?私も特に動物に好かれるようなことはありませんけど」

 そんなこんなで、僕とアンナは報酬を受け取った。約束通り500万ダイスずつだ。

「私は【リリア・アレクサンドラ・グランムルグ】ですわ。お父様に代わってお礼を言いますわ」

「私は執事のトロントです。今回はありがとうございました」

 そう言って2人はギルドを出た。そして表に会った馬車で帰っていった。周りにいた冒険者たちがとてもがっかりした様子だった。

「思いもよらないお小遣いがいただけました。これもケントさんとミランさんが知り合いだったからですわね」

「せっかく当たった宝くじだ。今夜食事でもどうだ?」

「ありがとうございます。でも、私明日帰りますので、次の機会に。。。。」

「あら残念、ミラン振られちゃったわね」

「しょうがない、今日もアンナで我慢するか」

「我慢って何よ!」

 アンナはミントの腕をつねった。痛い痛いとミランは言っている。もうこの光景は慣れっこだ。

 僕はそういえばと思い、レイナに話しかけた。

「ところで、レイナさん、この宝石に見覚えはありますか?」

 それとなく、道具箱から【賢者の石】を取り出し、レイナに渡した。

「わ~綺麗な宝石ですね。でも、私はこのような宝石は持っていませんわ」

「何ともありませんか?」

「何ともって、何かあるのですか?」

「いや、特に・・・・見覚えが無いってことは、別の人ですね」

 僕はレイアから【賢者の石】を受け取り、道具袋に入れた。レイナは賢者じゃなかったか。ちょっと期待していたが残念だ。

「では、私たちは宿に戻りますね。【クランベリー】って言う宿に泊まっています」

「僕たちはまだ王都を周りますので、もし会えたら一緒に食事でもいただきましょう」

僕たちは社交辞令のようなことを言って分かれた。社交辞令って、結局嘘なんだよね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

転生後はゆっくりと

衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。 日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。 そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。 でも、リリは悲観しない。 前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。 目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。 全25話(予定)

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...