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4.皇宮へ
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しおりを挟む龍王が住う皇宮のある龍都、龍陽。
元々人間に対して個体数が少ない龍族の都は国自体の大きさはそこまで大きくはなかった。
しかし、世界の頂点たる龍の皇宮は全ての人々に畏怖と近寄り難さを与え、自然とこうべが垂れる場所であった。
馬車から下ろされた麗華達は瑞麗と共に皇宮の謁見の間に通された。
謁見の間は恐ろしく広く、遠目に見える玉座からは少し距離があった。
あの玉座に座れるのは龍王だけ。
様々な国から集められた娘を全て収容してもまだ広い広間に麗華は居心地が悪い思いをしながら端に寄った。
この広間に入る前に瑞麗達からは離れているように、そして玉座から最も遠い最後尾にいるように言われたからだ。
更に顔も良く見えぬようベールを被せられた。
「ねぇ、見て、あの子。なんてみすぼらしい格好なのかしら」
「普段着じゃない。申請し忘れたんじゃない」
ここでも麗華は周りからクスクス笑われた。
ギュッと手を握り震えるようにして耐える。
それに先程から熱で限界なのか目が霞んできており、視界がぐらぐらして来ていた。
外野から聞こえて来る声に反応する力もない。
「……皆の者。控えよ。龍王陛下の謁見後、用意された選定を始める」
玉座近くの扉から現れた龍族に皆が色めき立った。
今回選定の儀式に挑むのは1000名程。皆16の年を迎えるうら若き乙女なのでキャイキャイと小声ではあるか小波のような興奮が伝わって来た。
更に現れた龍族の男性の姿も飛び抜けて良く、恐らく龍王の側近だろう事が窺えた。
少し時間を置いて、ザワザワとした広間に1人の男が姿を現した。
その姿を目にしたこの場にいる全ての人間はその圧倒的な存在感の男に声も出なくなる。
シンと静まり返った広間に玉座に座った男がこちらを静かに見た。
その男の視線に誰もが動けない。それほど圧倒的な生物としての差だった。
男の容姿は燃えるような朱金の髪を腰まで垂らし、縦に割れた瞳孔は金色であった。衣服は龍王だけが見に纏う事を許された禁色とされている黒。金糸で刺繍された見事なものである。黒を纏うのは龍王のみ。
ワンポイントや小物で使用する分には構わないがメインの衣は決して許されない。
「こうべを垂れよ。龍王陛下の御前である」
側近の一言に我に返った少女達は慌てて従った。
皆恍惚とした表情だ。
全員が目の前の龍王を意識していた。
それは瑞麗とて例外ではなかった。
(なんて美しいお方…。何人か龍族の方々を見たけれどそれが霞んでしまうよう。あの方の番になりたい…!)
ごくりと誰かの唾を飲み込む音がする。
「よい。顔を上げよ」
龍王から言葉が発せられた。
なんて威厳に満ちたお声と皆が聞き惚れる。
「皆、遥々龍陽までご苦労であった。疲れているだろうが選定は滞りなく済ませなければならぬ。皆の中に番がいる事を願う」
龍王が全員を見渡して言葉を掛けた。
そしてふと見渡した視界の中で全員が顔を上げて己を見る視線の中1人だけ未だ俯いたままのベールを被った女に目を留めた。
ただの偶然。
されど必然。
後々この場面を思い出した龍王は番を腕にしながら愛おしそうに微笑んだ。
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