龍王の番

ちゃこ

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11.不穏な影

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 私のせいだ!!



 浅はかな行動を取ってしまった自分自身を嫌悪した。
 でもここで落ち込んでなどいられない…!


「麗華ァ?やっぱりいたのね。ここにいるってことは残念な結果だったって事ね」

 心底嬉しそうに瑞麗が扉を開けて室内へ侵入してきた。

 瑞麗の後ろから、下男と冬梅たちが嫌らしい笑みを浮かべながら入って来る。


「旭宇さんは!?何かしたの!?」

「旭宇?誰それ?知らないわよぉ!!」

 ニヤニヤ笑いながらジリジリと迫って来る。

「あんたは家に帰るの!!さっさとしなさいよね!!」

「嫌よ!帰らないわ!!」

 麗華の全力の拒否に瑞麗達は一瞬驚いたようだが直ぐにイライラしたように怒りを露わにした。

「何寝ぼけた事言ってるのよ!?龍妃選定でも受けるつもりでいるの!?あははははは!!あんたは日陰で生きるのがお似合いよ?誰もあんたなんて必要としないから!龍の方々だってあんたなんか願い下げよ!」

「っ…」

 瑞麗は麗華を嘲笑った。
 妹はいつもそうだ。
 麗華の存在をいつだって否定して来た。


 姉妹なのに。


 昔は妹も物心が付く前は私にも話しかけてくれた。
 でも、両親が私と話せば呪われる仲良くすると不幸になると妹に言い聞かせていた。
 それが続くと瑞麗もそうなのだと理解して、疫病神か妖魔を見るように恐れたのだ。

 成長するにつれ、恐れは嫌悪に変わっていく。


 私と妹の違いは何だろう。
 見た目が人と違うせい?
 両親の愛情?

 私の憧れていたものを全部持って生まれた瑞麗に私は嫉妬した。

 私だって両親に愛されたかった。



 全部持っている瑞麗はまだ、足りないのだろうか。
 もう差し出すものは何も残っていないのに。

 やっと出来た唯一の私の居場所まで奪わないで。お願いだから。


「わ、私はここに残るわ!!」

 精一杯の麗華の叫びだった。
 誰が許してくれなくても、炎輝が必要としてくれるなら。
 ここにいる。



「そんな事許されるわけがないでしょ!」
「そうよ!あんた旦那様を怒らせるつもりなの!?」

 冬梅たちも口々に麗華を非難する。
 主人の命令を拒否する事はひどい場合死を意味する。

 今まで何を言われてもされても従順だった麗華が初めて反抗した事実に全員が内心驚いていた。

「あんた……」


 瑞麗の顔が怒りに染まった。
 麗華は必死で瑞麗たちから距離を取ろうと後ずさる。

「ねぇ、早くあいつ捕まえて」

 麗華を指差して下男に命令する瑞麗。
 痺れを切らしたのだろう。向こうも本気だ。

 瑞麗に命令された下男が麗華を捕まえるために麗華にずいっと迫って来た。

「大人しくしろよ。お前を回収して旦那様の目の前に連れて来いとのお達しだ。選定の儀を終えたお前だ。どんな目に合わされるんだろうなぁ?」

 ニヤニヤ笑いながら麗華に近付いて来る。

「聞いた話じゃ、お前龍王陛下にも無礼を働いたらしいな。旦那様は一族の恥だと仰せだ。覚悟しておいた方がいいぞ」

 実家に連れ戻されれば恐らく私は殺されてしまう。
 そう解釈出来るような言い方だった。
 もう、実家とは決別しなくてはいけないのかと麗華は暗くなる。
 いくら自分を虐げて来た家とはいえ、自分を育てて来たのも実家だ。


 普通の家庭のように両親へ親孝行をしてみたかった。
 愛し愛され、見送り見送られそうして紡いで行きたかった。

 もう不可能だけれど。


「諦めて早くこちらに来い!!」

「嫌!!」

「こいつっ…!!」

 下男が手を伸ばして私の元に来た。


「いやぁっ!!離して!!」

「大人しくしろ!!!」


 麗華の腕を捕まえて後ろ手に拘束する下男に麗華は絶望する。
 このまま実家に連れ戻されてしまうのか。もう、炎輝の元には戻って来れないのか。
 そんな恐怖に怯えながら、麗華は縛られた痛みに呻いた。
 もう、終わりなのか。
















「お前は私の麗華に何をしている?」










 絶望に染まる麗華の耳に、求めた声が聞こえた。











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