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五章
開戦4
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ダグラスからの出迎えを受け、国王夫妻は応接室の椅子へと腰掛けた。
「このような辺境まで国王自ら足を運ばれるとは思いもしませんでしたよ。よく来られました」
慇懃無礼という言葉がこんなに似合う男も珍しいくらいに不遜な態度で出迎えるダグラス。
そんな態度を改めようともせず対面で足を組んだ。
「で?私にお話があるとか?伺いましょう」
「き、貴様…!無礼であるぞ!」
側近の一人が声を荒げる。
王や王妃も肩を怒らせる。
「無駄な時間は過ごしたくない。早く話をして下さい」
明らかにダルいですと言わんばかりにため息を吐くダグラスに周囲の者たちが剣の柄に手をかける。
「ここで私に刃を向けても一向に構いませんが、抜いた瞬間戦争が始まると思って下さい。ここに主要人物も揃っている事ですし、一人ずつ処刑になりますよ。無事にこの城から出たいのであれば短慮はなさらぬが良いでしょう」
「貴様…」
王もさすがにカチンと来たようだ。
国家のトップに対しいくら他国の敵であろうともこのような話し方をする者はいない。
ルベイン側は戦争になってくれて全然OKという実情がある為、講和するならまだしもぜひ手を出して下さいと言わんばかりだ。
ダグラスも敢えてそのように振舞っている。
そもそも和睦したいならこんな態度は取らない。そんな気はさらさらないのだから。
「王よ!このような者即刻切り捨てるべきです!!戦になったとしても我が王国は負ける筈ありません!」
「やめんか!!わしとてこのような屈辱は我慢ならん!だが、わしは無実の案件をしかと叩き返さねばならぬ!」
王の一括に黙り込む側近たち。
それを面白そうに眺めるダグラス。
ニヤニヤと人が悪そうに笑う。
態と煽るような言い方も実際先に手を出してくれれば手っ取り早いからだ。
今は我々がリーガを落とした侵略者と思っているようだが決してそうではない。
戦端は既に切られている。ローランによってだ。
「無実の案件…ですか?」
横柄に聞き返す目に少し力を込める。
戦場ならば鬼神の如き姿を見せる男の眼力に明らかに一部怯んだ様子を見せるが怒りに身を任せた者たちは恐怖よりも睨み返して来た。
「そうだ!そちらの次代の公王を毒殺せんとした黒幕が王妃だと訴えている事だ。そのような事実はないと王妃は申しておる。文には他にも色々我が国が起したとする事柄が記載しておったが証拠はあるのか」
「もちろんですよ。何の証拠も無く我々もこのような行為はしません。したとしたらそれはただの侵略行為ですから」
「……あくまでこちらに非があると言うのだな」
王はそう呟くと横に控えた王妃をチラリと見た。
盗み見た王妃の顔は真っ青だ。
これはあの時問い質した王妃の言葉が嘘だと言っているようなものだ。
王は気付かれないように小さく溜息を吐いた。
どうやら妻は黒らしい。
これは許されざる罪だ。国家間の問題にしおった。本来であれば妻は極刑に処すべきだろう。
しかし。
しかし、王としてはこの問題をはいそうですかと認める訳にはいかない。
たとえ全てが黒だったとしてもだ。
でないと、ローランが足元から崩れ去ってしまう。
周辺国家にも信用されないだろう。
もはや全面戦争でしか片付かない。
勝てば官軍とでも言うべきか。
最後まで認めなければ良い。
「ならば致し方ない。こちらはそのような事認められぬ。証拠があろうと無かろうと捏造しているとも限らぬ。我らは最後まで抵抗しよう」
「本当にそれでよろしいの?」
王が腰を上げようとした時、扉の方から静かな声が聞こえた。
ハッとその場にいる全員が後ろを振り返る。
扉を開けこちらを見つめる女。
「なっ何故お前が……死んだ筈では…」
王妃が思わずその姿を見て呟いた。
「あら?勝手に殺さないで下さいな。その情報はどこから手に入れたんです?」
ニコリと笑ってその女は入室し扉を閉めた。
ダグラス以外の誰もがその女の存在に目を見開いた。
「レスティア様。こちらへ」
ダグラスは立ち上がり、椅子から退くと恭しく手を伸ばしレスティアの手を取った。そのまま自分が座っていた椅子に誘導し着席させると自分はその椅子の斜め後ろに控えた。
「改めまして、ルベイン公国公王の名代レスティア・エルフェですわ」
「う、うむ」
「っ…」
皆一様に三者三様の反応を見せる。
一人は立ち上がりかけた手前気まずそうに腰をかけ直し、一人はガタガタ震えている。後ろの側近たちはどういう事だと怪訝になる。
「遅れてしまい大変申し訳ありません。体調が回復するまでに時間がかかってしまったもので」
「あ、ああ。倒れたと伺っている。もう体調は良いのだろうか」
「問題ありませんわ。ただ、致死毒を盛られていたようでして側の者が心配致しまして大事を取らされたんですのよ」
「そ、そうか」
レスティアが毒を盛られた事件はもう内外に事実として広まっている。
下手に話を突っ込んだら薮蛇だろうと王は黙った。
「そうしましたら、私が眠っている期間に心配になった国民たちが大勢城に詰め掛けまして大変だったらしいのです。ええ、怒りでこんなところに来てしまうくらいには」
しかし、逃げるなどレスティアはさせてくれない。
ニコニコと笑っているが、決して目が笑っていない。
「私もさすがに驚きましたわ。和睦を結んだ筈の貴国から早々に裏切られただなんて」
「裏切りなどしていない。そちらの言い掛かりだ」
「そうなんですの?」
「貴様らが先に手を出したのだ」
じっとレスティアはローラン王を見る。
「わかりましたわ。衛兵!連れて来なさい」
「はっ」
あくまで認めようとしないのでレスティアはある者らを連れて来させた。
衛兵は短く返事をすると一度退出し何人か連れて戻って来た。
ローラン王国皇太子ジオラルド。
密偵が3人、留学の研究員が一人。
皆拷問の跡が凄まじくボロボロだ。
王太子も容赦無く。
入って来た我が子の惨状にローラン王が絶句して立ち上がる。
「ジオラルド!!!」
「ち、父上………」
「な、なんという事を!!ジオラルドは我が国の王太子なのだぞっ!!!それを…」
「今回、留学と称して賊が我が国内に入り込みました。研究員は我が国の情報を他国に売り渡し報酬を得、ジオラルド殿下が連れて来た女生徒に私は毒を盛られましたわ。一団を率いてやって来た殿下に嫌疑がかかるのは当然でしょう」
「き、貴様っ」
「父上…申し訳ありません…私が…っごほっ…ごほっ…」
「ジオラルド!大丈夫か!無理して喋るでない!」
「ち、父…上…」
「なんという…!なんという姿に…!ルベインよ!!貴様らはこのような所業をして、許されると思っておるのかっっ!!」
息子を抱き締めて叫ぶ。
人質に拘束されるならまだしもまだ本格的に戦争は始まっていない。
にも関わらず、他国の王太子に行った事は許し難い。
怒りでどうにかなりそうだった。
レスティアはその様子を見て思う。
あの王太子意外と演技上手いのね、と。
もちろんジオラルドはこちらの協力者なので暴行など加えていない。他の者たちは確かに拷問を加えたが、ジオラルドには態とボロボロに見えるように仕立てた。
他の者たちは喋れないように猿轡を噛まされているので呻き声を上げるだけだ。
「王太子は連れて帰る!!直ぐに治療させよ!!」
ローラン王が配下に命じたが、ダグラスがそれを制した。
隙を突き、ローラン王からジオラルドを取り上げた。
「何をする!!」
「こいつは大事な人質なんでね。連れて帰らすわけには行かないのさ」
「ローラン王よ。返してあげてもよろしいですよ。そちらのお顔が面白いくらいに嬉しそうな王妃様をこちらに差し出して頂けるのでしたら」
「な、なにを…」
自分は蚊帳の外だとでも思っていたのだろうか。
ジオラルドの惨状にほくそ笑んだ場面はバッチリ拝見させて頂きました。
途端に真っ青になる王妃にレスティアは嗤う。
「そのような事出来る筈無かろう!我が子と王妃を天秤にかけるなど!!何と非道な!!」
「むしろ、そちらの王妃様を引き渡して下さるのでしたら今すぐ兵を引いてもよろしいわ。手打ちにして差し上げましてよ?私たちが用があるのは王妃様だけですので」
「ひ、ひぃっ……」
「あぁ、それと…衛兵!あの者も連れて来なさい」
「はっ」
また衛兵が部屋を出て行き、新たに一人連れて来た。
「お、お父様…!!」
王妃が叫ぶ。
そこには捕らえられ、拘束されながら連れて来られた王妃の父親である公爵がいたからだ。
「公爵!何故そのような事になったのだ!?」
ローラン王も困惑から驚愕の声を上げた。
「お、王よ…」
「お父様!!何故そのようなお姿に!これ!直ぐ離しなさい!!」
「それは聞けませんね。この者はあなた方と一緒に来られましたね?身分も明かさず兵士たちに紛れ込ませていましたね。密かに探らせたところ、リーガ城外の森に兵を率いて潜伏しておりまして困りましたわぁ。今我が国とそちらは戦闘状態ですし、敵対行動を取っていたのですから捕らえて当然ですわよね?」
レスティアから只ならぬオーラが発せられている気がした。
雰囲気に気圧された王たちは怯み、二の句が継げない。
「後はそちらの王妃様のみ。それで戦争は避けられましてよ?賢明な国王陛下でしたら国民と王妃、どちらを取るべきかお判りでしょうね?ああ、そうそう。何やらこちらの言い分を全て否定し認めないようですが、こちらには反敵対勢力とそちらの王妃様がやり取りしていた記録が発見されておりますわ。そちらの証拠も証人も押さえておりますので、もし必要なら提示致しますわ」
軽く、どう?とでも言う感じで恐ろしい事を言うレスティア。
ローラン王はこの言葉に唸り声を上げた。
ここまで来ると王とて王妃が虚偽を報告したと確信する。
しかし、王妃を差し出してしまうと王妃の位が空席になり国民から軽んじられ王家の立場は失墜してしまうだろう。
かと言って王妃一人の為に国民を犠牲にする判断をするのは元の木阿弥となり結局は王家への反感が強まる恐れが高い。
ローラン王はどちらを選んでも詰んだ状況に唇を噛んだ。
その変化をニィっと笑いながら見つめるレスティアは次の一手を打つ。
「ああ、それとどちらにせよこの地は迷惑料として我が国の領土として頂きますわ。正面からやり合うおつもりでしたらそれ以上も」
どうします?と世間話でもするような気軽い様子で話すレスティア。
しかし、レスティアはもちろんこの地だけで満足はしない。
開戦するならもちろん降伏させ全て手中に治める。
引き渡すなら一時的にはこの土地のみになるが、王妃たちを処刑した後にローラン国内で内乱を起こし、混乱に乗じて全てを頂く。
どちらにせよ結果は変わらない。
時間が多少かかるかかからないかだけの差だ。
そちらから先に手を出して来たのだ。
文句はあるまい?
「王よ。私は国民を守る意味でも私は王妃様を差し出す案に賛成致します」
そこに宰相が口を出して来た。
「貴様!何を言っているのかわかっているのか!!」
その言葉に拘束された王妃の父親が吠えた。
「恐れながら、このまま戦を始めても民の反感は王家に向けられ犠牲者が出る度に疲弊し憎悪が生まれるでしょう。戦争中に内乱でも起これば一瞬で劣勢になります。情報によると一部の貴族たちや民たちがカーライル公の弟を匿い隠しているという話が入って来ております。何が起こるかわかりません」
宰相はしゃあしゃあと言ってのけた。
匿っているのは自分たちなのによくもまぁ大胆不適な発言をする。
面白いわと思いながらレスティアは見守った。
「そなたは王妃を差し出せと申すか」
「はい。そうすれば王太子も取り戻せますし一番被害が少なく済むと思います。大事なのは恐れながら、王妃様より王太子殿下の方ではありませんでしょうか」
「っ!宰相!!貴方は私を生贄にしようと言うの!!この逆賊め!!誰か!此奴を捕らえて!反逆罪よ!!」
王妃が身を振り乱して悪鬼の如く叫ぶが誰一人として動かない。
何故。どうして。
と、王妃は内心恐怖に包まれる。
生まれた時から蝶よ花よと育てられ、甘やかされた女は世界が自分の為に回っていると信じて疑わなくなった。
欲しい物は何でも買い与えられ、ちょっとか弱く儚げな様子を見せれば周りが騙されてくれた。
この世に自分の思い通りに進まぬ事などないと。そう思っていた。
それは甘やかし育てた親や周りの者たちが見せた幻想に過ぎないのに。
そして自分の夫は一般の男ではなく、為政者である事。
大を取る為、小を切り捨てる判断が必要な者である事をきちんと理解していなかった。
「王妃よ…わしは…王妃に惨い事を言わねばならぬ。しかし、王妃ならば国の為、国母としての義務を全うせねばならん…わかってくれるか…」
「なっ!陛下!!私に死ねと!?そう言っていますの!?」
王妃は自分の夫の言葉が信じられずワナワナ震えた。
ありえない。
何故。
なぜ。
「陛下!なんと惨い事を!娘を犠牲にするおつもりか!!」
公爵も目を血走らせ抗議をする。
その二人からの視線を受け王は目を伏せる。
「そんな事出来るわけがないわ!私が何故差し出されなければならないの!?そんな国の醜態を晒すくらいならば戦争をして民を戦わせればいいのよ!!」
「王妃……」
その言葉にシンと周りが静まり返った。
国母としてありえない発言だ。
王妃とは民の手本となり、国を見守り時には矢面に立ち民を守る。
それが王妃の義務である。
コンコンコン!!
気不味い雰囲気の中突然出入り口の扉が強めに叩かれた。
「入りなさい」
「失礼します!!」
「何事です」
「緊急伝です!!ただ今こちらにヘルゼンから軍が向かって来ているとの情報が入りました!」
「何ですって!数は?」
「に、20万との事ですっ!!」
その言葉にその場にいた全員が立ち上がった。
「多いわね。一戦交える気で来たのでしょう」
「どうなさいますか?」
「もちろん迎え打つわ。兵に伝えなさい。これは訓練ではない。軍を編成し招集せよ!!」
慌しく兵が走ってゆく。
ダグラスも飛び出して行った。
「ローラン王。これも作戦の内ですの?タイミングが実に良いと思いませんこと?」
レスティアは瞳を爛々とさせ鬼気迫る迫力で問い掛けた。
「わ、わしは…」
「うふふふふふふ!!良かったわ!あの国が助けに来てくれたわ!!うふふふふ」
「お、王妃…」
「触らないで!!私を簡単に差出そうとするなんて!!あはははは!レスティア・エルフェ!!あんたもお終いよ!!あんたは前から気に入らなかったのよ!!私より目立って我が物顔で国を好きに動かして!!世界はあんたのものじゃないの!私のよ!私の物なのよ!あははははははは!!あんたの死に様が楽しみよぉぉぉぉぉ!!」
王妃の勝利を確信した絶叫が木霊する。
それを呆然と見つめるローラン王。
宰相は表情には出さないが、拳をきつく握り締めていた。
「このような辺境まで国王自ら足を運ばれるとは思いもしませんでしたよ。よく来られました」
慇懃無礼という言葉がこんなに似合う男も珍しいくらいに不遜な態度で出迎えるダグラス。
そんな態度を改めようともせず対面で足を組んだ。
「で?私にお話があるとか?伺いましょう」
「き、貴様…!無礼であるぞ!」
側近の一人が声を荒げる。
王や王妃も肩を怒らせる。
「無駄な時間は過ごしたくない。早く話をして下さい」
明らかにダルいですと言わんばかりにため息を吐くダグラスに周囲の者たちが剣の柄に手をかける。
「ここで私に刃を向けても一向に構いませんが、抜いた瞬間戦争が始まると思って下さい。ここに主要人物も揃っている事ですし、一人ずつ処刑になりますよ。無事にこの城から出たいのであれば短慮はなさらぬが良いでしょう」
「貴様…」
王もさすがにカチンと来たようだ。
国家のトップに対しいくら他国の敵であろうともこのような話し方をする者はいない。
ルベイン側は戦争になってくれて全然OKという実情がある為、講和するならまだしもぜひ手を出して下さいと言わんばかりだ。
ダグラスも敢えてそのように振舞っている。
そもそも和睦したいならこんな態度は取らない。そんな気はさらさらないのだから。
「王よ!このような者即刻切り捨てるべきです!!戦になったとしても我が王国は負ける筈ありません!」
「やめんか!!わしとてこのような屈辱は我慢ならん!だが、わしは無実の案件をしかと叩き返さねばならぬ!」
王の一括に黙り込む側近たち。
それを面白そうに眺めるダグラス。
ニヤニヤと人が悪そうに笑う。
態と煽るような言い方も実際先に手を出してくれれば手っ取り早いからだ。
今は我々がリーガを落とした侵略者と思っているようだが決してそうではない。
戦端は既に切られている。ローランによってだ。
「無実の案件…ですか?」
横柄に聞き返す目に少し力を込める。
戦場ならば鬼神の如き姿を見せる男の眼力に明らかに一部怯んだ様子を見せるが怒りに身を任せた者たちは恐怖よりも睨み返して来た。
「そうだ!そちらの次代の公王を毒殺せんとした黒幕が王妃だと訴えている事だ。そのような事実はないと王妃は申しておる。文には他にも色々我が国が起したとする事柄が記載しておったが証拠はあるのか」
「もちろんですよ。何の証拠も無く我々もこのような行為はしません。したとしたらそれはただの侵略行為ですから」
「……あくまでこちらに非があると言うのだな」
王はそう呟くと横に控えた王妃をチラリと見た。
盗み見た王妃の顔は真っ青だ。
これはあの時問い質した王妃の言葉が嘘だと言っているようなものだ。
王は気付かれないように小さく溜息を吐いた。
どうやら妻は黒らしい。
これは許されざる罪だ。国家間の問題にしおった。本来であれば妻は極刑に処すべきだろう。
しかし。
しかし、王としてはこの問題をはいそうですかと認める訳にはいかない。
たとえ全てが黒だったとしてもだ。
でないと、ローランが足元から崩れ去ってしまう。
周辺国家にも信用されないだろう。
もはや全面戦争でしか片付かない。
勝てば官軍とでも言うべきか。
最後まで認めなければ良い。
「ならば致し方ない。こちらはそのような事認められぬ。証拠があろうと無かろうと捏造しているとも限らぬ。我らは最後まで抵抗しよう」
「本当にそれでよろしいの?」
王が腰を上げようとした時、扉の方から静かな声が聞こえた。
ハッとその場にいる全員が後ろを振り返る。
扉を開けこちらを見つめる女。
「なっ何故お前が……死んだ筈では…」
王妃が思わずその姿を見て呟いた。
「あら?勝手に殺さないで下さいな。その情報はどこから手に入れたんです?」
ニコリと笑ってその女は入室し扉を閉めた。
ダグラス以外の誰もがその女の存在に目を見開いた。
「レスティア様。こちらへ」
ダグラスは立ち上がり、椅子から退くと恭しく手を伸ばしレスティアの手を取った。そのまま自分が座っていた椅子に誘導し着席させると自分はその椅子の斜め後ろに控えた。
「改めまして、ルベイン公国公王の名代レスティア・エルフェですわ」
「う、うむ」
「っ…」
皆一様に三者三様の反応を見せる。
一人は立ち上がりかけた手前気まずそうに腰をかけ直し、一人はガタガタ震えている。後ろの側近たちはどういう事だと怪訝になる。
「遅れてしまい大変申し訳ありません。体調が回復するまでに時間がかかってしまったもので」
「あ、ああ。倒れたと伺っている。もう体調は良いのだろうか」
「問題ありませんわ。ただ、致死毒を盛られていたようでして側の者が心配致しまして大事を取らされたんですのよ」
「そ、そうか」
レスティアが毒を盛られた事件はもう内外に事実として広まっている。
下手に話を突っ込んだら薮蛇だろうと王は黙った。
「そうしましたら、私が眠っている期間に心配になった国民たちが大勢城に詰め掛けまして大変だったらしいのです。ええ、怒りでこんなところに来てしまうくらいには」
しかし、逃げるなどレスティアはさせてくれない。
ニコニコと笑っているが、決して目が笑っていない。
「私もさすがに驚きましたわ。和睦を結んだ筈の貴国から早々に裏切られただなんて」
「裏切りなどしていない。そちらの言い掛かりだ」
「そうなんですの?」
「貴様らが先に手を出したのだ」
じっとレスティアはローラン王を見る。
「わかりましたわ。衛兵!連れて来なさい」
「はっ」
あくまで認めようとしないのでレスティアはある者らを連れて来させた。
衛兵は短く返事をすると一度退出し何人か連れて戻って来た。
ローラン王国皇太子ジオラルド。
密偵が3人、留学の研究員が一人。
皆拷問の跡が凄まじくボロボロだ。
王太子も容赦無く。
入って来た我が子の惨状にローラン王が絶句して立ち上がる。
「ジオラルド!!!」
「ち、父上………」
「な、なんという事を!!ジオラルドは我が国の王太子なのだぞっ!!!それを…」
「今回、留学と称して賊が我が国内に入り込みました。研究員は我が国の情報を他国に売り渡し報酬を得、ジオラルド殿下が連れて来た女生徒に私は毒を盛られましたわ。一団を率いてやって来た殿下に嫌疑がかかるのは当然でしょう」
「き、貴様っ」
「父上…申し訳ありません…私が…っごほっ…ごほっ…」
「ジオラルド!大丈夫か!無理して喋るでない!」
「ち、父…上…」
「なんという…!なんという姿に…!ルベインよ!!貴様らはこのような所業をして、許されると思っておるのかっっ!!」
息子を抱き締めて叫ぶ。
人質に拘束されるならまだしもまだ本格的に戦争は始まっていない。
にも関わらず、他国の王太子に行った事は許し難い。
怒りでどうにかなりそうだった。
レスティアはその様子を見て思う。
あの王太子意外と演技上手いのね、と。
もちろんジオラルドはこちらの協力者なので暴行など加えていない。他の者たちは確かに拷問を加えたが、ジオラルドには態とボロボロに見えるように仕立てた。
他の者たちは喋れないように猿轡を噛まされているので呻き声を上げるだけだ。
「王太子は連れて帰る!!直ぐに治療させよ!!」
ローラン王が配下に命じたが、ダグラスがそれを制した。
隙を突き、ローラン王からジオラルドを取り上げた。
「何をする!!」
「こいつは大事な人質なんでね。連れて帰らすわけには行かないのさ」
「ローラン王よ。返してあげてもよろしいですよ。そちらのお顔が面白いくらいに嬉しそうな王妃様をこちらに差し出して頂けるのでしたら」
「な、なにを…」
自分は蚊帳の外だとでも思っていたのだろうか。
ジオラルドの惨状にほくそ笑んだ場面はバッチリ拝見させて頂きました。
途端に真っ青になる王妃にレスティアは嗤う。
「そのような事出来る筈無かろう!我が子と王妃を天秤にかけるなど!!何と非道な!!」
「むしろ、そちらの王妃様を引き渡して下さるのでしたら今すぐ兵を引いてもよろしいわ。手打ちにして差し上げましてよ?私たちが用があるのは王妃様だけですので」
「ひ、ひぃっ……」
「あぁ、それと…衛兵!あの者も連れて来なさい」
「はっ」
また衛兵が部屋を出て行き、新たに一人連れて来た。
「お、お父様…!!」
王妃が叫ぶ。
そこには捕らえられ、拘束されながら連れて来られた王妃の父親である公爵がいたからだ。
「公爵!何故そのような事になったのだ!?」
ローラン王も困惑から驚愕の声を上げた。
「お、王よ…」
「お父様!!何故そのようなお姿に!これ!直ぐ離しなさい!!」
「それは聞けませんね。この者はあなた方と一緒に来られましたね?身分も明かさず兵士たちに紛れ込ませていましたね。密かに探らせたところ、リーガ城外の森に兵を率いて潜伏しておりまして困りましたわぁ。今我が国とそちらは戦闘状態ですし、敵対行動を取っていたのですから捕らえて当然ですわよね?」
レスティアから只ならぬオーラが発せられている気がした。
雰囲気に気圧された王たちは怯み、二の句が継げない。
「後はそちらの王妃様のみ。それで戦争は避けられましてよ?賢明な国王陛下でしたら国民と王妃、どちらを取るべきかお判りでしょうね?ああ、そうそう。何やらこちらの言い分を全て否定し認めないようですが、こちらには反敵対勢力とそちらの王妃様がやり取りしていた記録が発見されておりますわ。そちらの証拠も証人も押さえておりますので、もし必要なら提示致しますわ」
軽く、どう?とでも言う感じで恐ろしい事を言うレスティア。
ローラン王はこの言葉に唸り声を上げた。
ここまで来ると王とて王妃が虚偽を報告したと確信する。
しかし、王妃を差し出してしまうと王妃の位が空席になり国民から軽んじられ王家の立場は失墜してしまうだろう。
かと言って王妃一人の為に国民を犠牲にする判断をするのは元の木阿弥となり結局は王家への反感が強まる恐れが高い。
ローラン王はどちらを選んでも詰んだ状況に唇を噛んだ。
その変化をニィっと笑いながら見つめるレスティアは次の一手を打つ。
「ああ、それとどちらにせよこの地は迷惑料として我が国の領土として頂きますわ。正面からやり合うおつもりでしたらそれ以上も」
どうします?と世間話でもするような気軽い様子で話すレスティア。
しかし、レスティアはもちろんこの地だけで満足はしない。
開戦するならもちろん降伏させ全て手中に治める。
引き渡すなら一時的にはこの土地のみになるが、王妃たちを処刑した後にローラン国内で内乱を起こし、混乱に乗じて全てを頂く。
どちらにせよ結果は変わらない。
時間が多少かかるかかからないかだけの差だ。
そちらから先に手を出して来たのだ。
文句はあるまい?
「王よ。私は国民を守る意味でも私は王妃様を差し出す案に賛成致します」
そこに宰相が口を出して来た。
「貴様!何を言っているのかわかっているのか!!」
その言葉に拘束された王妃の父親が吠えた。
「恐れながら、このまま戦を始めても民の反感は王家に向けられ犠牲者が出る度に疲弊し憎悪が生まれるでしょう。戦争中に内乱でも起これば一瞬で劣勢になります。情報によると一部の貴族たちや民たちがカーライル公の弟を匿い隠しているという話が入って来ております。何が起こるかわかりません」
宰相はしゃあしゃあと言ってのけた。
匿っているのは自分たちなのによくもまぁ大胆不適な発言をする。
面白いわと思いながらレスティアは見守った。
「そなたは王妃を差し出せと申すか」
「はい。そうすれば王太子も取り戻せますし一番被害が少なく済むと思います。大事なのは恐れながら、王妃様より王太子殿下の方ではありませんでしょうか」
「っ!宰相!!貴方は私を生贄にしようと言うの!!この逆賊め!!誰か!此奴を捕らえて!反逆罪よ!!」
王妃が身を振り乱して悪鬼の如く叫ぶが誰一人として動かない。
何故。どうして。
と、王妃は内心恐怖に包まれる。
生まれた時から蝶よ花よと育てられ、甘やかされた女は世界が自分の為に回っていると信じて疑わなくなった。
欲しい物は何でも買い与えられ、ちょっとか弱く儚げな様子を見せれば周りが騙されてくれた。
この世に自分の思い通りに進まぬ事などないと。そう思っていた。
それは甘やかし育てた親や周りの者たちが見せた幻想に過ぎないのに。
そして自分の夫は一般の男ではなく、為政者である事。
大を取る為、小を切り捨てる判断が必要な者である事をきちんと理解していなかった。
「王妃よ…わしは…王妃に惨い事を言わねばならぬ。しかし、王妃ならば国の為、国母としての義務を全うせねばならん…わかってくれるか…」
「なっ!陛下!!私に死ねと!?そう言っていますの!?」
王妃は自分の夫の言葉が信じられずワナワナ震えた。
ありえない。
何故。
なぜ。
「陛下!なんと惨い事を!娘を犠牲にするおつもりか!!」
公爵も目を血走らせ抗議をする。
その二人からの視線を受け王は目を伏せる。
「そんな事出来るわけがないわ!私が何故差し出されなければならないの!?そんな国の醜態を晒すくらいならば戦争をして民を戦わせればいいのよ!!」
「王妃……」
その言葉にシンと周りが静まり返った。
国母としてありえない発言だ。
王妃とは民の手本となり、国を見守り時には矢面に立ち民を守る。
それが王妃の義務である。
コンコンコン!!
気不味い雰囲気の中突然出入り口の扉が強めに叩かれた。
「入りなさい」
「失礼します!!」
「何事です」
「緊急伝です!!ただ今こちらにヘルゼンから軍が向かって来ているとの情報が入りました!」
「何ですって!数は?」
「に、20万との事ですっ!!」
その言葉にその場にいた全員が立ち上がった。
「多いわね。一戦交える気で来たのでしょう」
「どうなさいますか?」
「もちろん迎え打つわ。兵に伝えなさい。これは訓練ではない。軍を編成し招集せよ!!」
慌しく兵が走ってゆく。
ダグラスも飛び出して行った。
「ローラン王。これも作戦の内ですの?タイミングが実に良いと思いませんこと?」
レスティアは瞳を爛々とさせ鬼気迫る迫力で問い掛けた。
「わ、わしは…」
「うふふふふふふ!!良かったわ!あの国が助けに来てくれたわ!!うふふふふ」
「お、王妃…」
「触らないで!!私を簡単に差出そうとするなんて!!あはははは!レスティア・エルフェ!!あんたもお終いよ!!あんたは前から気に入らなかったのよ!!私より目立って我が物顔で国を好きに動かして!!世界はあんたのものじゃないの!私のよ!私の物なのよ!あははははははは!!あんたの死に様が楽しみよぉぉぉぉぉ!!」
王妃の勝利を確信した絶叫が木霊する。
それを呆然と見つめるローラン王。
宰相は表情には出さないが、拳をきつく握り締めていた。
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義妹は社交界から追放され修道院送り。
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