副業

Hai-ne(灰猫)

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自慰

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「えっと・・・どういう事でしょうか?」

 正に『狐につままれた』そんな気がしていた。
 僕はいつ?可奈さんとそういう事を?

「覚えていませんか?」

「ごめんなさい・・・全く」

「あ!そういう事では無いですよ(笑)」

「えっ!?」

「男女のどうの・・・では無いです(笑)」

「そっ、そうですよね!ビックリした!」

「ごめんなさい」

「いえ(笑)それ・・・で?」

「あ、富士夫さん達、いつも海から戻って来ると
 ・・・必ず、マンションのプールの前にあった
 お水のシャワーを浴びてましたよね?」

「あっ!」

「水着とか全部脱いで・・・全裸?で」

「ああっ!」

「アタシ、たまたま通りかかって・・・」

「おっ!お孫さんっ!?」

「そうです(笑)驚いて、うっかり祖父に
 話してしまったんです!
 富士夫さんの・・・を見てしまったって!」

マンションの駐車場の横に、とても浅い、小さな
プールと水しか出ないシャワーがあった。
僕らはビーチから戻ると、部屋に入る前に水着や
肌に残った砂をそこで落していた。
ある日、その様子を女の子に目撃され、管理人の
お爺さんから、こっ酷く叱られたことがあった。

「はいはい!来ました!部屋に!お爺さん!」

「ごめんなさい!(笑)」

「いえ、悪いのは僕達なんで・・・(笑)
 確かにお爺さん、すごい興奮状態でしたよ!
 可愛い孫に変なもんを見せんなっ!って(笑)
 出禁にでもされそうな感じでした(笑)」

「そうでしたよね・・・。改めて、ごめんなさい」

「いえ、いえ!本当にいけなかったのは僕らの方
 ですので・・・その節は失礼を致しました(笑)」

「いえ(笑)でも・・・」

「はい?」

「主人と別れて、実家に戻って」

「!?」

「あ、そうなんですよ」

「そうですか」

「はい。それで・・・」

「・・・?」

「一人の夜がどうしようもなく、寂しく感じて
 しまった時には・・・」

「はい?」

「富士夫さんの・・・を思い出して」

「・・・・?」

「一人でしたりしていたんです」

「!?」

「他の誰かのではなく、富士夫さんで(笑)」 

 予想もしていなかった可奈さんの明け透けな
 告白にドキドキした。

「いやらしい女って、軽蔑しましたか?」

 俯き加減の可奈さんが、自嘲気味に言った。

「いえ!そんなことは無いです・・・よ」

 軽く動揺をしていた僕は、咄嗟に気の利いた
 言葉を言えなかった。

「それで・・・」

「それで?」

「軽蔑されついでに、一つお願いをしても
 いいですか?(笑)」

「だから、軽蔑とかしてませんけど(笑)
 何でしょう?僕に出来る事なら・・・」

「一度だけ・・・富士夫さんを」

「!?」

「・・・自由にしてもいいですか?」

「・・・・・」

「ダメですか?」

「いえ、全然、構いませんよ」

女性の性欲を満たす為に用意されたお店と
僕等、ホスト達だった。
そうした申し出を断る理由は無かった。
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