61 / 107
8章 獣操と招集そして神獣
8.2 宿屋で休息を得た話
しおりを挟む
通行人に宿屋街の場所を聞き、教えてもらった場所に向かう。
確かに宿屋が見つかったのだが、一番良さそうなのが明らかにバビロアにあった”母のゆりかご”にそっくりであった。
なんてことだ。また名前だけは不快な最高級宿屋を見つけるとは。
他にいい宿屋は・・・。
「勝手も分かっていることですし、こちらでいいのではないでしょうか?」
「わあ~! 宿屋ってこんなに豪華なんです!? 楽しみです!」
「厩舎も割り当てて貰えるだろう」
「牧草一杯貰えるよ!」
逃げ道が無くなったな。
だが・・・まずは受付で、厩舎と借りられる部屋があるか聞かないと始まらない。
受付で確認したところ、上位の3人部屋も厩舎の貸切も可能であった。
因みに俺は一人部屋と二人部屋をそれぞれ希望したが、オリービアは自分と俺が二人部屋でサラーが一人部屋と勘違いし、大喜びして暴走しかけたが、サラーが三人一緒がいいと珍しく駄々をこねたので、三人部屋になった。
結果的にサラーに助けられたようなもんだ。
料金を払った後、先にルルとガルムを厩舎へ連れて行く。
前と同じで仕切りをなくしてもらい、ルルとガルムの飯を用意してもらうが、その間に寝てしまったようだ。
3日も寝ずに動き続けたのだから当然ではあるが。
俺は、こういう時に誰かへ礼を伝える方法を知らない。
そんな自分に、初めて歯がゆい思いをした。
飯を脇に置いてもらい、ついでに荷馬車を厩舎の中に押し込んで扉を閉める。
宿屋に戻り部屋に入ると、オリービアとサラーは深く息を吐きながらベッドにへたり込む。
「疲れただろ」
「ルシファー様も治りましたし、無事ゴモラに帰ってきたと思ったら、急に体が重く」
「ベッドがふかふかで気持ちいいです。夢見心地です」
メニューを2人に見せて、夕飯を選んでもらい紙に書いて投函する。
しばらくすると夕飯が運ばれてきて、テーブルに並べられた。
運ばれた料理を確認した後、マスクを外して椅子に座り、ぐったりしている2人を呼ぶ。
「食べてから寝ろよ」
「頑張ります」
「おいしそうです! 豪華です!」
サラーはステーキを口に運び、うっとりとして味わっている。
オリービアは眠いのか、ゆっくりとスープをすすっていた。
2人が落ち着いた頃に、都合の良い依頼、それを貼りだした女性、存在しないはずの万能の薬草、毒に侵されていた間の出来事を細かく聞いた。
「その女・・・何者なのだろうな。ウリエルが命とやらを受けて、ここに来ていたのも気になるし。調べないといけないことが多いな」
「その女性に関しては、明日狩猟組合に行った際に改めて組合の方に聞いてみましょう。今朝は調べる暇すらありませんでしたから」
「そうだな」
「その人が見つかったらどうするです?」
「あらゆる手を使ってでも、洗いざらい話してもらう」
「結果的に命の恩人・・・だと思うです。でも流石おにいちゃんです」
そうか、言われてみればそういう事だな。
こちらに敵対意思はないのかもしれないが、身元を隠している以上信用はできない。
「これは俺の勘なんだが、その女を調べれば万能の薬草はもちろん、ガブリエルやウリエルの事も分かりそうなんだ」
2人も黙って頷き、肯定の意思を示す。
話している間に食べ終わり、2人に風呂に入るよう促す。
サラーに手を引かれるオリービアは不満そうだが、無下にするわけにもいかずに仲良く風呂に入っていった。
とりあえず、明日は朝一で狩猟組合に向かい、獣操師と女に関しての情報を収集。
より角度の高い情報が手に入った方へ行動を開始、といったところか。
何かと狩猟組合には縁があるな。
2人が風呂から出た後、続けて風呂に入る。
正直言うと、目が覚めてから倦怠感自体は続いている。昔インフルエンザにかかって、治った後の朝に感じが似ている。
ただ意識を失って寝ていただけだが、体は生きようと戦っていたようだ。
それを支えてくれたのが仲間達であり、オリービアはスープまで飲ましてくれていたそうだ。
他人にそんな献身が出来る人間が、本当にいたんだな。
俺の金も持っていけば、当面の生活など困らなかっただろうに。
それでも置いていかなかったとは。
仲間として受け入れる事は出来たが、何故そんな事が出来るのかは分からない。
逆の立場だったら、俺はどうしていただろうか。
感謝をどうやって伝えればいいのか、誰かの為に行動するにはどうしたらいいのか、人を信じるにはどうすればいいのか、こいつらと一緒に居れば・・・分かるのだろうか。
考えを巡らせているとのぼせそうだったので、風呂を出て備え付けの寝巻に着替える。
風呂から出ると、オリービアがサラーの髪をとかし終えていて、協力してランプの火を落としていく。
「ちょっと待った!」
いざ寝ようとした時、オリービアが待ったをかける。
何だと思い振り返ると、サラーが俺のベッドに潜り込もうとしている最中であった。
「サラーちゃんのベッドはあっちでしょ!」
「あたしはおにいちゃんと寝ますです」
「駄目です! そんなうらやましい・・・じゃなかった。ルシファー様は病み上がりです。邪魔になるでしょ!」
「駄目です?」
子犬みたいな感じで懇願されると、なんか断りづらい。
「今日だけだ・・・」
「やったです!」
「やりました!」
「だがオリービアは、お前は駄目だ」
「何でですか~!」
オリービアの何度目かの絶叫。
同じフロアの人に聞こえてないといいが。
オリービアはしぶしぶあきらめ、おとなしく自分のベッドで寝息を立て始める。
サラーもしがみつきながら寝息を立て始め、俺も眠りについた。
この世界では、やはり太陽が目覚まし代わりのようだ。
光に反応して起きるが、かなり体はすっきりしている。これならもう体の心配をする必要はなさそうだ。
起き上がろうとするが、上に何かが乗っている。
目を開けるとサラーが覆いかぶさるように、うつ伏せで自分の上で寝ていた。
「おにいちゃん・・・おはようです」
「おはよう。どいてくれるか?」
「はいです。でも、その前に」
ゆっくりとサラーの顔が近づいてくる。
あれ・・・これってもしかして。
「よいしょ!」
唇が触れる前に、オリービアがサラーを起こしベッドから引きずり下ろす。
「何をやっていますか! 私もまだなのに!」
「・・・」
サラーは黙ったままだ。
「分からないですけど、おにいちゃんを見たらなんとなく」
「あなた・・・まさか」
「こんな気持ちになったの初めてで、なんなのです!?」
「サラーちゃん」
「はいです?」
「忘れなさい」
「何でです?」
「何でもじゃありません。今後その気持ちは忘れなさい」
「なんかおねえちゃんが怖いです。とりあえず言うことを聞くです」
そんな無意味な会話を聞きながらベッドから降りて着替え、朝食を食べた後に2人に声をかけた。
「狩猟組合で情報収集だ」
オリービアとサラーが元気よく返事をし、宿屋を出てルルとガルムを迎えに行った。
ゴモラの外、神緑の森の境界付近。
「うむ。少々ゆっくりと歩みを進めすぎたか・・・」
黒竜は境界の手前で立ち止まり、僅かに顔を覗かせながらようすを伺っている。
「既に森を抜けてしまったようだが。あの人間の街に匂いは続いているな」
黒竜は鼻を大きく鳴らし、街に続く街道を見渡す。
人の往来を観察し、念のためお目当ての人間がいないかを確認した。
「やはり既に街に入ってしまったか」
首を引っ込めた後、木の根元に座り込む。
「このまま人間の街を強襲してもいいが、それは得策ではないだろうな。神域の者を敵に回すこともあるまい。そうだ、神域の者は神狼族を連れているはず。群衆に溶け込んではいないだろう。だとすれば、行き来する人間に接触できれば、情報を得られるかもしれぬな」
黒竜は口の端だけで笑った。
確かに宿屋が見つかったのだが、一番良さそうなのが明らかにバビロアにあった”母のゆりかご”にそっくりであった。
なんてことだ。また名前だけは不快な最高級宿屋を見つけるとは。
他にいい宿屋は・・・。
「勝手も分かっていることですし、こちらでいいのではないでしょうか?」
「わあ~! 宿屋ってこんなに豪華なんです!? 楽しみです!」
「厩舎も割り当てて貰えるだろう」
「牧草一杯貰えるよ!」
逃げ道が無くなったな。
だが・・・まずは受付で、厩舎と借りられる部屋があるか聞かないと始まらない。
受付で確認したところ、上位の3人部屋も厩舎の貸切も可能であった。
因みに俺は一人部屋と二人部屋をそれぞれ希望したが、オリービアは自分と俺が二人部屋でサラーが一人部屋と勘違いし、大喜びして暴走しかけたが、サラーが三人一緒がいいと珍しく駄々をこねたので、三人部屋になった。
結果的にサラーに助けられたようなもんだ。
料金を払った後、先にルルとガルムを厩舎へ連れて行く。
前と同じで仕切りをなくしてもらい、ルルとガルムの飯を用意してもらうが、その間に寝てしまったようだ。
3日も寝ずに動き続けたのだから当然ではあるが。
俺は、こういう時に誰かへ礼を伝える方法を知らない。
そんな自分に、初めて歯がゆい思いをした。
飯を脇に置いてもらい、ついでに荷馬車を厩舎の中に押し込んで扉を閉める。
宿屋に戻り部屋に入ると、オリービアとサラーは深く息を吐きながらベッドにへたり込む。
「疲れただろ」
「ルシファー様も治りましたし、無事ゴモラに帰ってきたと思ったら、急に体が重く」
「ベッドがふかふかで気持ちいいです。夢見心地です」
メニューを2人に見せて、夕飯を選んでもらい紙に書いて投函する。
しばらくすると夕飯が運ばれてきて、テーブルに並べられた。
運ばれた料理を確認した後、マスクを外して椅子に座り、ぐったりしている2人を呼ぶ。
「食べてから寝ろよ」
「頑張ります」
「おいしそうです! 豪華です!」
サラーはステーキを口に運び、うっとりとして味わっている。
オリービアは眠いのか、ゆっくりとスープをすすっていた。
2人が落ち着いた頃に、都合の良い依頼、それを貼りだした女性、存在しないはずの万能の薬草、毒に侵されていた間の出来事を細かく聞いた。
「その女・・・何者なのだろうな。ウリエルが命とやらを受けて、ここに来ていたのも気になるし。調べないといけないことが多いな」
「その女性に関しては、明日狩猟組合に行った際に改めて組合の方に聞いてみましょう。今朝は調べる暇すらありませんでしたから」
「そうだな」
「その人が見つかったらどうするです?」
「あらゆる手を使ってでも、洗いざらい話してもらう」
「結果的に命の恩人・・・だと思うです。でも流石おにいちゃんです」
そうか、言われてみればそういう事だな。
こちらに敵対意思はないのかもしれないが、身元を隠している以上信用はできない。
「これは俺の勘なんだが、その女を調べれば万能の薬草はもちろん、ガブリエルやウリエルの事も分かりそうなんだ」
2人も黙って頷き、肯定の意思を示す。
話している間に食べ終わり、2人に風呂に入るよう促す。
サラーに手を引かれるオリービアは不満そうだが、無下にするわけにもいかずに仲良く風呂に入っていった。
とりあえず、明日は朝一で狩猟組合に向かい、獣操師と女に関しての情報を収集。
より角度の高い情報が手に入った方へ行動を開始、といったところか。
何かと狩猟組合には縁があるな。
2人が風呂から出た後、続けて風呂に入る。
正直言うと、目が覚めてから倦怠感自体は続いている。昔インフルエンザにかかって、治った後の朝に感じが似ている。
ただ意識を失って寝ていただけだが、体は生きようと戦っていたようだ。
それを支えてくれたのが仲間達であり、オリービアはスープまで飲ましてくれていたそうだ。
他人にそんな献身が出来る人間が、本当にいたんだな。
俺の金も持っていけば、当面の生活など困らなかっただろうに。
それでも置いていかなかったとは。
仲間として受け入れる事は出来たが、何故そんな事が出来るのかは分からない。
逆の立場だったら、俺はどうしていただろうか。
感謝をどうやって伝えればいいのか、誰かの為に行動するにはどうしたらいいのか、人を信じるにはどうすればいいのか、こいつらと一緒に居れば・・・分かるのだろうか。
考えを巡らせているとのぼせそうだったので、風呂を出て備え付けの寝巻に着替える。
風呂から出ると、オリービアがサラーの髪をとかし終えていて、協力してランプの火を落としていく。
「ちょっと待った!」
いざ寝ようとした時、オリービアが待ったをかける。
何だと思い振り返ると、サラーが俺のベッドに潜り込もうとしている最中であった。
「サラーちゃんのベッドはあっちでしょ!」
「あたしはおにいちゃんと寝ますです」
「駄目です! そんなうらやましい・・・じゃなかった。ルシファー様は病み上がりです。邪魔になるでしょ!」
「駄目です?」
子犬みたいな感じで懇願されると、なんか断りづらい。
「今日だけだ・・・」
「やったです!」
「やりました!」
「だがオリービアは、お前は駄目だ」
「何でですか~!」
オリービアの何度目かの絶叫。
同じフロアの人に聞こえてないといいが。
オリービアはしぶしぶあきらめ、おとなしく自分のベッドで寝息を立て始める。
サラーもしがみつきながら寝息を立て始め、俺も眠りについた。
この世界では、やはり太陽が目覚まし代わりのようだ。
光に反応して起きるが、かなり体はすっきりしている。これならもう体の心配をする必要はなさそうだ。
起き上がろうとするが、上に何かが乗っている。
目を開けるとサラーが覆いかぶさるように、うつ伏せで自分の上で寝ていた。
「おにいちゃん・・・おはようです」
「おはよう。どいてくれるか?」
「はいです。でも、その前に」
ゆっくりとサラーの顔が近づいてくる。
あれ・・・これってもしかして。
「よいしょ!」
唇が触れる前に、オリービアがサラーを起こしベッドから引きずり下ろす。
「何をやっていますか! 私もまだなのに!」
「・・・」
サラーは黙ったままだ。
「分からないですけど、おにいちゃんを見たらなんとなく」
「あなた・・・まさか」
「こんな気持ちになったの初めてで、なんなのです!?」
「サラーちゃん」
「はいです?」
「忘れなさい」
「何でです?」
「何でもじゃありません。今後その気持ちは忘れなさい」
「なんかおねえちゃんが怖いです。とりあえず言うことを聞くです」
そんな無意味な会話を聞きながらベッドから降りて着替え、朝食を食べた後に2人に声をかけた。
「狩猟組合で情報収集だ」
オリービアとサラーが元気よく返事をし、宿屋を出てルルとガルムを迎えに行った。
ゴモラの外、神緑の森の境界付近。
「うむ。少々ゆっくりと歩みを進めすぎたか・・・」
黒竜は境界の手前で立ち止まり、僅かに顔を覗かせながらようすを伺っている。
「既に森を抜けてしまったようだが。あの人間の街に匂いは続いているな」
黒竜は鼻を大きく鳴らし、街に続く街道を見渡す。
人の往来を観察し、念のためお目当ての人間がいないかを確認した。
「やはり既に街に入ってしまったか」
首を引っ込めた後、木の根元に座り込む。
「このまま人間の街を強襲してもいいが、それは得策ではないだろうな。神域の者を敵に回すこともあるまい。そうだ、神域の者は神狼族を連れているはず。群衆に溶け込んではいないだろう。だとすれば、行き来する人間に接触できれば、情報を得られるかもしれぬな」
黒竜は口の端だけで笑った。
0
あなたにおすすめの小説
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
弱いままの冒険者〜チートスキル持ちなのに使えるのはパーティーメンバーのみ?〜
秋元智也
ファンタジー
友人を庇った事からクラスではイジメの対象にされてしまう。
そんなある日、いきなり異世界へと召喚されてしまった。
クラス全員が一緒に召喚されるなんて悪夢としか思えなかった。
こんな嫌な連中と異世界なんて行きたく無い。
そう強く念じると、どこからか神の声が聞こえてきた。
そして、そこには自分とは全く別の姿の自分がいたのだった。
レベルは低いままだったが、あげればいい。
そう思っていたのに……。
一向に上がらない!?
それどころか、見た目はどう見ても女の子?
果たして、この世界で生きていけるのだろうか?
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる