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8章 獣操と招集そして神獣
8.3 狩猟組合で情報収集した話
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ガルムとルルのいる厩舎の扉を開けると、両方ともまだ寝ている状態だった。
ルルはともかく、ガルムまで寝坊とは。
数日寝なくても平気だからといって、疲労が溜まらないというわけではない。
やはり相当無理をさせてしまっていたようだな。
このまま寝かしていてやりたいが、そういう訳にもいかないだろう。
獣操師の施設が見つかった場合、こいつらにも居てもらう必要があるだろうからな。
「ガルム、起きろ」
「・・・主! もう朝であったか」
ガルムは飛び起きて、体を振るわせて伸びをする。
「ルル・・・」
優しく起こすつもりだったが、箱座りでよだれをたらしているのを見ると、そんな気も無くなってしまった。
「ふん!」
「痛いよ!」
ルルの尻をけり上げて起こす。
「ご主人・・・僕の可愛いお尻を蹴らないでほしいよ」
「何かお前はいろいろ凄いな」
「ご主人に褒められたよ!」
「本当にいろいろ凄いな・・・」
厩舎から出て荷馬車の準備をしていると、ガルムとルルが出てくる。
ルルに荷馬車を取付け、狩猟組合に行くよう指示を出した。
ゆっくりと荷馬車が走り出し、目的地に向かう。
しばらくすると狩猟組合に到着し、サラーを荷馬車内に残してオリービアと建物に入った。
「主よ、早く戻られよ」
ガルムが何かを我慢するように問いかけてきた。何か辛いことでもあったのだろうか。
「ガルムさん、人気ですから」
オリービアから、前回ゴモラの狩猟組合に来た時の話を聞きながら受付へ向かう。
受付まで来ると、オリービアが結果の報告をしようと、狩猟者証を受付嬢に渡した。
「えっと、すいません。今回の依頼は失敗になってしまって・・・」
「昨日の、神緑の森での薬草採取を受けた方ですよね?」
「はい、そうですけど」
「こちらで改めて確認をしたのですが、そのような依頼は届いておらず」
「でも、魔法陣で依頼の登録もできましたし」
「そうなんですよ・・・。なら本物の依頼書だったはずなのですが」
不思議がりながらも、受付嬢は魔法陣が描かれた大理石にオリービアの狩猟者証を置く。
しばらく待っていたが、魔法陣はなんの反応も示さない。
その場にいる全員がおかしいと思い始めた時、受付嬢があることに気づく。
「これは・・・、依頼が無くなっている?」
「どういうことですか?」
「いや・・・正確には、依頼を受けていないことになっています」
オリービアの狩猟者証を返しながら、受付嬢は魔法陣を見つめていた。
「でも、確かに昨日・・・」
「どういう事でしょうか・・・こんなことありえないはずなのに」
受付嬢とオリービアは明らかに困惑している。
「一応確認だが、依頼が途中で消滅した可能性はないのか?」
「ありえません。もしそのようなことがあれば、この仕組みを根底から崩壊させかねません。全て現在の仕組みへの信頼で成り立っていますから」
銀行でもそうだったが、この魔法陣を使った仕組みは、絶対の信頼で成り立っているようだ。
だとすれば、この受付嬢が言っていることも分かる。
「偽造の依頼が貼りだされたということか?」
「偽造もありえません・・・」
受付嬢は黙り込み、頭の中で必死に今回の件を説明出来ないか、考えを巡らせているようだ。
「とりあえず、この場合はどうなる? おい!」
「は! はい! えっと・・・そもそも依頼を受けてないことになっていますので、失敗とかそういう事ではない、という感じです・・・」
「良かった。ヴァリオスハンターズに、依頼失敗の履歴が残らないということですね?」
「そういう事ですね」
オリービアが安堵している。まだ気にしていたとはな。
「まだ解決していないことがある。こいつが見た、”青と赤で装飾されたローブを着た女性”というのが、その依頼を貼りだしたのは事実だし、それが一度は受付されたのも事実だ。そんな女に、心当たりはないのか?」
「ありません。そのような女性は、組合の職員におりませんので。それに、偽造が出来るなんて・・・」
「もういい、分かった」
よく考えれば分かることだ。公衆の面前に現れ、オリービアの前で恐らくはわざと万能の薬草の依頼を貼り付ける。
ここまでしているのだから、自分のことが分からないようにしているなど当然のこと。
これ以上その女の情報を得ようとすることは、時間の浪費にしかならないと考えるべきだろう。
「もうこの話は終わりだ。もう1つ聞きたいことがある。このゴモラには、獣操師に関係した施設があると聞いているが、分かるか?」
「獣操師の適正検査と、訓練を行う施設はございます」
「その施設の名前は?」
「獣操師訓練所です」
「え?」
まんまの名前じゃないか。まあひねった名前つけられても困るのだが。
「場所は?」
「この建物を出てから・・・」
「主・・・、待ちくたびれた」
獣操師訓練所の場所を聞き、組合の建物を出るとガルムが不機嫌を言葉に乗せてくる。
ガルムを見ると、おっかなびっくりの様相の人々に囲まれ、犬座りをしながら口をひきつらせていた。
これは・・・あと少し出てくるのが遅かったら、大暴れしていてもおかしくなかったかもしれない。
「ん? ルルは・・・」
見渡すとルルは女性に囲まれて、牧草を与えられるだけ食べている。
なんだこの状況。
「前回とほぼ同じですね」
「大変だったな・・・」
「ええ・・・。でも、前回と同じということはこの後・・・」
オリービアが俺の後ろに隠れる。
「お! あの美少女もまたいるぞ!」
「おっしゃ~! 今度こそお近づきに!」
なるほど。バビロアにいた時とそこまで変化がない。
今後も新しい街に行くたびに、同じことを繰り返さないといけないのか?
そう考えると憂鬱になってくるな。
「主! 出発しようではないか!」
ガルムがルルの首元を甘噛みし、動物が子供を運ぶように無理やり引きずってくる。
よっぽどここから離れたいのだろう。
オリービアに群がる男共も蹴散らし、荷馬車に俺とオリービアを急かすように乗せ、あっという間に出発した。
「お腹がタプタプだよ! 少し休憩したかったよ!」
「ならば我が、お前を食していたかもしれぬ」
「頑張って荷馬車を牽くよ!」
こいつら、妙に仲良く? なった気がするな。
「ルル、街の中心部にある、水路に面した獣操師訓練所に向かってくれ」
「了解だよ!」
「はぁ・・・良かった。やっとあの場から逃れることができた」
荷馬車は大通りを進み、水路に面した別の大通りに出る。
「どこに行くです?」
荷馬車の中に入ると、サラーが早速聞いてくる。
「獣操師訓練所とやらだ」
サラーはどんな所か楽しみにしているようで、オリービアと笑顔でどんなところか話していた。
ルルはともかく、ガルムまで寝坊とは。
数日寝なくても平気だからといって、疲労が溜まらないというわけではない。
やはり相当無理をさせてしまっていたようだな。
このまま寝かしていてやりたいが、そういう訳にもいかないだろう。
獣操師の施設が見つかった場合、こいつらにも居てもらう必要があるだろうからな。
「ガルム、起きろ」
「・・・主! もう朝であったか」
ガルムは飛び起きて、体を振るわせて伸びをする。
「ルル・・・」
優しく起こすつもりだったが、箱座りでよだれをたらしているのを見ると、そんな気も無くなってしまった。
「ふん!」
「痛いよ!」
ルルの尻をけり上げて起こす。
「ご主人・・・僕の可愛いお尻を蹴らないでほしいよ」
「何かお前はいろいろ凄いな」
「ご主人に褒められたよ!」
「本当にいろいろ凄いな・・・」
厩舎から出て荷馬車の準備をしていると、ガルムとルルが出てくる。
ルルに荷馬車を取付け、狩猟組合に行くよう指示を出した。
ゆっくりと荷馬車が走り出し、目的地に向かう。
しばらくすると狩猟組合に到着し、サラーを荷馬車内に残してオリービアと建物に入った。
「主よ、早く戻られよ」
ガルムが何かを我慢するように問いかけてきた。何か辛いことでもあったのだろうか。
「ガルムさん、人気ですから」
オリービアから、前回ゴモラの狩猟組合に来た時の話を聞きながら受付へ向かう。
受付まで来ると、オリービアが結果の報告をしようと、狩猟者証を受付嬢に渡した。
「えっと、すいません。今回の依頼は失敗になってしまって・・・」
「昨日の、神緑の森での薬草採取を受けた方ですよね?」
「はい、そうですけど」
「こちらで改めて確認をしたのですが、そのような依頼は届いておらず」
「でも、魔法陣で依頼の登録もできましたし」
「そうなんですよ・・・。なら本物の依頼書だったはずなのですが」
不思議がりながらも、受付嬢は魔法陣が描かれた大理石にオリービアの狩猟者証を置く。
しばらく待っていたが、魔法陣はなんの反応も示さない。
その場にいる全員がおかしいと思い始めた時、受付嬢があることに気づく。
「これは・・・、依頼が無くなっている?」
「どういうことですか?」
「いや・・・正確には、依頼を受けていないことになっています」
オリービアの狩猟者証を返しながら、受付嬢は魔法陣を見つめていた。
「でも、確かに昨日・・・」
「どういう事でしょうか・・・こんなことありえないはずなのに」
受付嬢とオリービアは明らかに困惑している。
「一応確認だが、依頼が途中で消滅した可能性はないのか?」
「ありえません。もしそのようなことがあれば、この仕組みを根底から崩壊させかねません。全て現在の仕組みへの信頼で成り立っていますから」
銀行でもそうだったが、この魔法陣を使った仕組みは、絶対の信頼で成り立っているようだ。
だとすれば、この受付嬢が言っていることも分かる。
「偽造の依頼が貼りだされたということか?」
「偽造もありえません・・・」
受付嬢は黙り込み、頭の中で必死に今回の件を説明出来ないか、考えを巡らせているようだ。
「とりあえず、この場合はどうなる? おい!」
「は! はい! えっと・・・そもそも依頼を受けてないことになっていますので、失敗とかそういう事ではない、という感じです・・・」
「良かった。ヴァリオスハンターズに、依頼失敗の履歴が残らないということですね?」
「そういう事ですね」
オリービアが安堵している。まだ気にしていたとはな。
「まだ解決していないことがある。こいつが見た、”青と赤で装飾されたローブを着た女性”というのが、その依頼を貼りだしたのは事実だし、それが一度は受付されたのも事実だ。そんな女に、心当たりはないのか?」
「ありません。そのような女性は、組合の職員におりませんので。それに、偽造が出来るなんて・・・」
「もういい、分かった」
よく考えれば分かることだ。公衆の面前に現れ、オリービアの前で恐らくはわざと万能の薬草の依頼を貼り付ける。
ここまでしているのだから、自分のことが分からないようにしているなど当然のこと。
これ以上その女の情報を得ようとすることは、時間の浪費にしかならないと考えるべきだろう。
「もうこの話は終わりだ。もう1つ聞きたいことがある。このゴモラには、獣操師に関係した施設があると聞いているが、分かるか?」
「獣操師の適正検査と、訓練を行う施設はございます」
「その施設の名前は?」
「獣操師訓練所です」
「え?」
まんまの名前じゃないか。まあひねった名前つけられても困るのだが。
「場所は?」
「この建物を出てから・・・」
「主・・・、待ちくたびれた」
獣操師訓練所の場所を聞き、組合の建物を出るとガルムが不機嫌を言葉に乗せてくる。
ガルムを見ると、おっかなびっくりの様相の人々に囲まれ、犬座りをしながら口をひきつらせていた。
これは・・・あと少し出てくるのが遅かったら、大暴れしていてもおかしくなかったかもしれない。
「ん? ルルは・・・」
見渡すとルルは女性に囲まれて、牧草を与えられるだけ食べている。
なんだこの状況。
「前回とほぼ同じですね」
「大変だったな・・・」
「ええ・・・。でも、前回と同じということはこの後・・・」
オリービアが俺の後ろに隠れる。
「お! あの美少女もまたいるぞ!」
「おっしゃ~! 今度こそお近づきに!」
なるほど。バビロアにいた時とそこまで変化がない。
今後も新しい街に行くたびに、同じことを繰り返さないといけないのか?
そう考えると憂鬱になってくるな。
「主! 出発しようではないか!」
ガルムがルルの首元を甘噛みし、動物が子供を運ぶように無理やり引きずってくる。
よっぽどここから離れたいのだろう。
オリービアに群がる男共も蹴散らし、荷馬車に俺とオリービアを急かすように乗せ、あっという間に出発した。
「お腹がタプタプだよ! 少し休憩したかったよ!」
「ならば我が、お前を食していたかもしれぬ」
「頑張って荷馬車を牽くよ!」
こいつら、妙に仲良く? なった気がするな。
「ルル、街の中心部にある、水路に面した獣操師訓練所に向かってくれ」
「了解だよ!」
「はぁ・・・良かった。やっとあの場から逃れることができた」
荷馬車は大通りを進み、水路に面した別の大通りに出る。
「どこに行くです?」
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サラーはどんな所か楽しみにしているようで、オリービアと笑顔でどんなところか話していた。
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