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しおりを挟む王妃様とお会いしてからしばらく経った頃、私の元に一通の招待状が届いた。王家主催の夜会への招待状だ。送り主は王妃様。招待状を確認すると夜会が開かれるのは二ヶ月後だ。
「二ヶ月後…、間に合うかしら?いえ、何としてもこの日までに間に合わせるのよ。この日に献上するかしないかで売上が大きく変わるはずだわ。こんなまたとないチャンスを逃すものですかっ!」
王妃様とお会いした後から開発を続けている商品がある。これを何としても夜会の日までに完成させなければ。きっと王妃様も私を試しているのだと思う。この夜会で結果を残すことができれば、ベル商会の地位は確固たるものになるだろう。それにこんな稼げる機会を逃すわけにはいかない。私は二ヶ月後の夜会に向けて開発を進めていった。
ただ私の悪い癖なのだが稼ぐことだけに頭がいっぱいで、当日のドレスやパートナーのことなどすっかり頭の中から抜け落ちていたのだった。
◇◇◇
王家主催の夜会まであと三日となった。
無事に王妃様に献上する商品が出来上がった。何度も作っては自分で試してを繰り返し時間が予想以上にかかってしまった。ギリギリ間に合うか心配したが、何とか出来上がってほっとした。しかしほっとしたのも束の間、私はようやくここで頭から抜け落ちていたことを思い出したのだ。
「あ、ドレスとパートナー…」
王妃様に献上する商品はできたというのに、その夜会に参加するためのドレスとパートナーがいなければそもそも参加することはできない。それなのにどうして誰も言ってくれなかったのだろうか。
「ノーラ、どうして言ってくれなかったのよ…」
「あら、どうしてってお嬢様。お金のことを考えている時のお嬢様には何を言っても憶えていてくれないんですもの」
「うっ!」
ノーラの言うことには大いに心当たりがあるので何も言い返すことができない。
「ですから二ヶ月前に言おうが今言おうが結果は同じなのですよ」
「で、でも…!」
「しかしご心配には及びません」
「え?それはどういう…」
――コンコン
「ヴィー、今いいか?」
「…リオ?」
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