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しおりを挟む教会に一人取り残された私は、これからどうすればいいのかと悩んでいると、御者から馬車に乗るように指示をされたのだ。よかったと、私はホッとして指示された通りに馬車に乗り込んだのだが、この時の私は、馬車はてっきり公爵家に向かうものだと思っていた。
しかし馬車から降りて驚くこのになる。なんと目の前にあったのは公爵邸ではなく、周囲を森に囲まれたこじんまりとしたログハウスだったから。
『えっと、ここは……』
さすがに戸惑った。どう見たってここが公爵家ではないことくらい、貧乏貴族でも分かる。私の家より小さいこの家が、公爵様の家なわけがない。
『……公爵様からの伝言で、これからはここで過ごすようにとのことです』
『え?』
ここで過ごすとはどういうことなのか。いや、別に公爵夫人として扱ってもらえるとは初めから思っていなかったが、さすがにこれは予想外だ。
『こちらが今年の予算になります』
御者はそう言って、私にお金の入った袋を手渡してきた。
『……予算?』
『来年の分はまた一年後にお渡しします。それともう一つ公爵様からの伝言で、自身がペンゼルトン公爵夫人だということは誰にも明かさないように、とのことです』
『はぁ』
わざわざ言伝てをするくらいだ。公爵家からの縁談にも関わらず、私との結婚はよほど不本意なものだったらしい。
『それでは私の仕事はここまでですので、これで失礼します』
「えっ!?ちょ、ちょっと!」
そうして御者は馬車に乗り、あっという間に去っていった。今度こそポツンと一人取り残された私。
けれどこのままここで突っ立っていても仕方ない。これからのことを考なければならないと思い、とりあえず目の前にある小さな家に入ることにした。
「わぁ!」
扉を開けると中にはテーブルや椅子、ベッドなど木で作られた家具が置かれている。このログハウスにピッタリだ。それにキッチンにお風呂、トイレも完備されていてる。さらには窓から外を覗いてみると、荒れてはいるが畑らしきものがあった。野菜を育てるのもいいかもしれない。
不思議なことに先ほどまではたしかに戸惑っていたはずなのに、今はそれよりもわくわくの方が勝っていた。
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