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しおりを挟む「……すまない」
「い、いえ。私の方こそいきなり腕を触ってしまってすみませんでした」
あの時はいてもたってもいられず、クレイ様の腕を取ってしまったが、今思えばはしたない行動だった。
アイラ王女の登場で会場は騒がしくなっていたし、私とクレイ様は王弟殿下夫妻の後ろに立っていたので、先ほどのやり取りは貴族たちに聞かれてはいないと思う。だけどアイラ王女がクレイ様に抱きついたのは間違いなく見られているはずだ。
やり取りの聞こえない貴族たちはなぜと驚いただろうし、中にはクレイ様と王女は恋仲なのではと思った人もいるかもしれない。
そう思うとなぜだか胸がモヤモヤする。だけど今はそんなことを気にしている場合ではない。
「君は何も悪くないから気にしないでくれ」
「……はい、ありがとうございます」
「それにしてもあの二人……おそらくヴィード侯爵は聖女の後見人となることで権力を、アイラ王女は聖女となって私と結婚する権利を得ようと考えたんだろうな」
「私もそう思います」
これまで聖女を偽る理由に、これだという確信を持つことができなかったが、アイラ王女が聖女として現れたことで確信した。
物腰柔らかそうな物言いをしながらも、目から野心が溢れていたヴィード侯爵。
クレイ様と結婚するためなら、どんな手段も厭わないであろうアイラ王女。
この二人がどのようにして出会ったのかは分からない。だけど利害が一致した二人は、こうして国中の人間を欺き、偽の聖女とその後見人としてこの国を支配しようとしているのだ。
壇上の中央に王太子殿下、アイラ王女、ヴィード侯爵が立つ。
ヴィード侯爵まで共に立つ必要はないのに、わざわざアイラ王女の隣に立つのは、己の影響力を誇示したいからに違いない。
なんて卑怯な男なのだろう。国中を騙してまで己の欲望を叶えようとするなんて。
「君の負担になることは分かっている。だが国のためにはあの二人を止めなければならない」
「私もこのまま見て見ぬふりはできません。必ずあの二人を止めて、国王陛下をお救いします」
「……どうか頼む」
「はい!」
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