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衛兵に拘束されていくアイラ王女とヴィード侯爵を眺めながら、そっと息を吐いた。
聖女となることを決意したあと、ヴィード侯爵を調べてみると、光を発する魔道具を依頼していたことが分かった。急ぎ依頼された人物に話を聞くと、腕輪型の魔道具を作ったそうだ。ただこの人物は本当に何も知らないようで、高額の報酬と引き換えに、一切この話はしないようにとだけ言われていたらしい。
おそらく腕輪型の魔道具は、聖女のふりをするためだろう。文献に聖女は、力を使うと淡く光ったと記されているから。
自分が聖女だと偽るくらいだ。国王陛下に何をするのか分かったものではない。だから私はその魔道具を起動させる前に、急いで聖女の力を使わなければならなかったのだ。
またアイラ王女の髪色が変化したのは、治癒能力が原因だ。私は身体の不調がよくなるようにと祈ったが、薬で無理やり髪色を変えたことも、身体からしてみれば何かしらの不調をきたしているのと同じこと。だから治癒の力を受けたアイラ王女の身体からは薬の効果が消え去り、元の髪色に戻ったのだと思われた。
「フローリア」
「あ、クレイ様」
クレイ様が側へとやってきた。彼の表情には安堵が浮かんでいる。
「本当にありがとう」
「いえ、間に合ってよかったです。クレイ様も今日までお疲れ様でした」
「ああ」
これからあの二人については、王家からの正式な調査がされることになるだはずだ。
「それで陛下は……」
国王陛下はだいぶ弱っていた。治療は終わったけど、すぐには動くことはできないだろう。そう思っていた。
「そろそろ気づかれるはずかと」
「そうか……。はぁ……よか」
「静粛に」
「「っ!」」
突然会場中に、威厳に満ちた声が響き渡った。この声の正体は……
「国王陛下……」
私たちはその場で臣下の礼をとった。騒がしかった会場も、国王陛下の一言で静まり返る。そして足音が聞こえたかと思うと、その足音は私の目の前で止まった。
「どうか顔をお上げください」
「……へ?」
(わ、私!?)
国王陛下に臣下の礼を取るのも、国王陛下の命令には従うのも当然のこと。
だからこの場合はどうするのが正解なのか。社交界に初めて足を踏み入れた私には難問過ぎる。
(ど、どうすれば……)
「陛下。妻を困らせないでください」
一人パニックになっていると、隣から聞きなれた声が聞こえてきた。
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