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しおりを挟む初めの頃はまだこんな生活ではなかった。公爵一家に家族として受け入れて貰えることは最初からなかったが今よりまだましな生活だったと思う。
公爵家の養子だからとマナーやダンス、それに座学などありとあらゆる教育を施された。私自身も知らなかったことだがどうやら私はなんでも器用にこなせるタイプだったようであっという間に教育が進んでいった。
まぁこのことが原因でロバートとリリアンからは更に嫌われるようになるのだが。
それに食事も三食食べられたし私の身支度を整える使用人もいた。
その生活が二年ほど続いた頃に王太子殿下との婚約が決まり王太子妃教育が始まったのだがそれからは一年経つごとに私の仕事が増えていき、いつの間にか食事の用意もなくなり使用人もいなくなっていた。
忙しかったことと徐々にだったこともあり気づいた頃には今のような生活になっていたのだ。ただ公爵一家から文句や嫌味は言われるが暴力を振るわれることがないのだけは幸いだった。
けれどずっと疑問に思っていたことだが公爵はなぜ私を養子にしたのだろう。このようにただ働かせたいだけならわざわざ養子にする必要はない。それに孤児院の先生が言っていたが公爵は私のことをかなり強く望んでいたそうだ。
そんなことを考えているとふと思い出したことがある。
まだ養子になったばかりの頃、屋敷の中で迷った時にたまたま公爵と公爵夫人が話していたのを聞いてしまった。
「本当にあの娘は本物なの?」
「あぁ間違いない!この目で見たんだ!」
「でも本物の特徴と違うじゃない」
「…たしかに以前見た時と多少違うかもしれんが成長すれば変わってくるだろう」
「はぁ…。まぁ分かったわ。しばらく様子を見ましょう。本物ならそれでいいし、偽物ならその時に使い道を考えましょう」
「あぁそうだな」
私はなんだか聞いてはいけないことを聞いてしまった気がして急いでその場から立ち去った。
そういえば以前も公爵夫人が『本物』『偽物』という言葉を言っていた。それは恐らく私のことを指しているのだろうが一体何のことだろうか。
私は私なのに、と。
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