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一章 異世界漂着
43話 珍妙な武器屋
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今日は休日、何もない日だ。
家のベッドでゴロゴロ寝過ごすのも悪くないが、天気は良好だ。せっかくだし帝都の中心街へ行ってみよう。この街にはまだ無知だから、知らない箇所は沢山ある。
朝食を済ませて、歯を磨いて、最後は鏡の前に立って身だしなみを確認。いつもの野戦服だ。そろそろきちんとした私服が欲しい。
服装にシワや汚れが無い事を確かめると、傍らに置いてあったガバメントに手を伸ばした。戦闘に向かう訳ではないので、Hk416は不必要だろう。ハンドガンだけで十分だ。
少し緩い腰元のベルトを締め直すと、自宅を出て行った。
幾分か歩き、屋台が建ち並ぶ中心街に到着する。平日もそうだが、今日は休みという事もあり人の数はいつもよりも非常に多い。
「何買おうかな」
屋台にある品はどれも興味をそそられるものばかりだ。
辺りを見渡しながら適当に歩いていると、奇抜な屋台を見つけた。
その出店にはこの時代ではあまりに不釣り合いな、近代的な武器が販売されていた。売られているものはカラシニコフ自動小銃やモシンナガン、PKMなど共産圏の国家で採用されている銃器達だ。手榴弾とか地雷とかの爆発物まで揃っている。
また、屋台の看板にはアラビア語らしき文字で何かが記されていた。
「変わってるな。これも転生人がやってるのか?」
奇妙なその屋台を舐めるように見つめていると、恐らく店主の男性がやって来た。黒い帽子を被っていて、そこに緑のヘッドバンドが巻かれている。
「やあお客さん、何か買いたい……ん? そっちも転生人か?」
俺の服装は周りの人とは随分違うから、すぐに正体を見破られた。まあそれを言うなら眼前の店主もそうだが。
「そうです。この間、ここにやって来ました」
「という事は新人か?」
「はい、お世話になります」
「礼儀のいい奴だ。ところで、武器はあるか?」
そう問われて、ガバメントを差し出す。
「ここには無いですけど、ライフルもあるので」
「そうかそうかそれは良かった。この辺りはヤバい奴がちらほら居るからな」
「はは、そうですね」
苦笑しながら思い出すのは、この前の集団暴行事件だ。あれはもはやヤバいを越えているような気がするが。
「俺はマフムード・ヤースィーン。アンタの名前は?」
「セルゲイ・イヴァーノヴィチ・ベレンコと言います」
「アラブの奴じゃなさそうだな」
「ええ、東欧のボスホートルーシで生まれました」
「それって独立戦争のやつじゃないか?」
ここに来てようやく、ボスホートルーシの存在を知っている者が現れた。しかも独立戦争まで認知しているとは、話が合いそうだ。
「ロシアにいじめられてるんだろ?」
「まあ、ほぼその通りですね」
社会の常識としてはロシアが悪となっているが、祖国にも問題点は数多く存在する。つまり、どっちもどっちだ。片方だけが正しく、もう一方だけが悪い戦争なんてこの世には存在しないと思う。個人間の喧嘩だってそうだ。争いは、正義が衝突して発生する。
マフムードさんの風貌、どこかで見た事があるようなと思っていると、彼が何やら語り始めた。
「俺は元々パレスチナのラマスって組織に居たんだ。仲間もここに、いっぱい居るよ」
それだ。まさしくそれだ。
ラマスは多くの国家からテロ組織に指定されている武装集団だ。主な戦闘地域はイスラエルで、ガザでは統治者としての一面も持つ。
「イスラエルのゴミ野郎と戦ってたら、いきなりここへ飛ばされてさぁ。ホント、困ったよ」
「大変ですね」
中東情勢は複雑だ。素人が到底理解できる内容ではない。特にパレスチナ問題がそれに当たる。一つ言わせてもらうなら、イギリスはとんでもない極悪人だ。アイツが余計な事をしなければ、中東の情勢もここまで悪化しなかったもしれない。全く、イギリスは罪深いな。
家のベッドでゴロゴロ寝過ごすのも悪くないが、天気は良好だ。せっかくだし帝都の中心街へ行ってみよう。この街にはまだ無知だから、知らない箇所は沢山ある。
朝食を済ませて、歯を磨いて、最後は鏡の前に立って身だしなみを確認。いつもの野戦服だ。そろそろきちんとした私服が欲しい。
服装にシワや汚れが無い事を確かめると、傍らに置いてあったガバメントに手を伸ばした。戦闘に向かう訳ではないので、Hk416は不必要だろう。ハンドガンだけで十分だ。
少し緩い腰元のベルトを締め直すと、自宅を出て行った。
幾分か歩き、屋台が建ち並ぶ中心街に到着する。平日もそうだが、今日は休みという事もあり人の数はいつもよりも非常に多い。
「何買おうかな」
屋台にある品はどれも興味をそそられるものばかりだ。
辺りを見渡しながら適当に歩いていると、奇抜な屋台を見つけた。
その出店にはこの時代ではあまりに不釣り合いな、近代的な武器が販売されていた。売られているものはカラシニコフ自動小銃やモシンナガン、PKMなど共産圏の国家で採用されている銃器達だ。手榴弾とか地雷とかの爆発物まで揃っている。
また、屋台の看板にはアラビア語らしき文字で何かが記されていた。
「変わってるな。これも転生人がやってるのか?」
奇妙なその屋台を舐めるように見つめていると、恐らく店主の男性がやって来た。黒い帽子を被っていて、そこに緑のヘッドバンドが巻かれている。
「やあお客さん、何か買いたい……ん? そっちも転生人か?」
俺の服装は周りの人とは随分違うから、すぐに正体を見破られた。まあそれを言うなら眼前の店主もそうだが。
「そうです。この間、ここにやって来ました」
「という事は新人か?」
「はい、お世話になります」
「礼儀のいい奴だ。ところで、武器はあるか?」
そう問われて、ガバメントを差し出す。
「ここには無いですけど、ライフルもあるので」
「そうかそうかそれは良かった。この辺りはヤバい奴がちらほら居るからな」
「はは、そうですね」
苦笑しながら思い出すのは、この前の集団暴行事件だ。あれはもはやヤバいを越えているような気がするが。
「俺はマフムード・ヤースィーン。アンタの名前は?」
「セルゲイ・イヴァーノヴィチ・ベレンコと言います」
「アラブの奴じゃなさそうだな」
「ええ、東欧のボスホートルーシで生まれました」
「それって独立戦争のやつじゃないか?」
ここに来てようやく、ボスホートルーシの存在を知っている者が現れた。しかも独立戦争まで認知しているとは、話が合いそうだ。
「ロシアにいじめられてるんだろ?」
「まあ、ほぼその通りですね」
社会の常識としてはロシアが悪となっているが、祖国にも問題点は数多く存在する。つまり、どっちもどっちだ。片方だけが正しく、もう一方だけが悪い戦争なんてこの世には存在しないと思う。個人間の喧嘩だってそうだ。争いは、正義が衝突して発生する。
マフムードさんの風貌、どこかで見た事があるようなと思っていると、彼が何やら語り始めた。
「俺は元々パレスチナのラマスって組織に居たんだ。仲間もここに、いっぱい居るよ」
それだ。まさしくそれだ。
ラマスは多くの国家からテロ組織に指定されている武装集団だ。主な戦闘地域はイスラエルで、ガザでは統治者としての一面も持つ。
「イスラエルのゴミ野郎と戦ってたら、いきなりここへ飛ばされてさぁ。ホント、困ったよ」
「大変ですね」
中東情勢は複雑だ。素人が到底理解できる内容ではない。特にパレスチナ問題がそれに当たる。一つ言わせてもらうなら、イギリスはとんでもない極悪人だ。アイツが余計な事をしなければ、中東の情勢もここまで悪化しなかったもしれない。全く、イギリスは罪深いな。
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