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二章 異世界ライフ

75話 ミリオタ君大興奮

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 帝都中心街の市場に到着。
 マフムードの店でさっさと銃を買ってやろう――――あれ。
 おかしいなと思って、目を何回か素早く瞬きさせる。
 だが、結果は変わらず。
 彼の店が、出店していないのだ。
 不審に思いつつ辺りを見渡すと、普段マフムードが展開している店の付近に看板があった。それには下手な帝国語で「風邪を引いたのでお休み」という文字が綴られていた。
 体調不良ならしょうがない。諦めよう。
 ――――が、ユッカは悲しそうな表情を浮かべており、レベッカもどこか不満げな顔だった。
 俺から誘ったし、こういう反応になるのは当然だ。

 「あそこ、行ってみるか」

 ここ以外で近代的な武器が販売されている地域は、パレスチナとレバノンぐらいだ。
 向かったのは、沿パレスチナ自治国だ。一瞬北レバノンも迷ったが、距離はこちらが近いので今回はパレスチナに決めた。
 中東風味な商店街を歩く。余所者だからか、ターバンを巻いた店主や通行人にジロジロと見つめられる。
 しばらく移動し、目的の武器市場に着いた。
 自動小銃、拳銃、短機関銃、軽機関銃、重機関銃、対戦車兵器、果ては巡航ミサイルやロケット弾までもが並べられている。文明が中世辺りのこの世界にはあまりにも不都合で、過剰戦力だ。

 「わあ、凄い……!」

 ミリオタ少年騎士のユッカは陳列された銃器に目を奪われており、その瞳を輝かせている。

 「ほう……これが銃ですか」

 意外な事に、レベッカも銃に興味津々で、サブマシンガンを構えたりコッキングしたりしていた。これは、レベッカもミリオタに成長するパターンか。

 「欲しいものは決まったか?」

 俺の問い掛けに、ユッカは即答。

 「これがいい!」

 彼が指さす銃は、アメリカの軽機関銃であるM60だった。いかにもユッカが好みそうなものだ。

 「機関銃だな」

 欲しい銃が決まったので、鞄から財布を取り出す。その時、鞄に納めていたガバメントを誤って落としてしまった。
 カツンッ、と無機質な音が微かに響く。

 「おっと悪いな」

 ハンドガンにも興味津々な様子のユッカを無視して、ガバメントを拾い上げる。ついでにマガジンを抜いて構えてみる。うむ、やはり俺にはこの銃しか信じられない。
 レベッカがガバメントに強い眼差しを向けているのに気が付く。

 「どうした?」
 「いや……私も少し、銃というものに興味が湧きまして」

 マジか。
 これは割と、レベッカがミリオタになる日も近いかもしれない。

 「……何か買ってやろうか?」
 「いいのですか……?」

 どこか甘えたような声で確認してくる。

 「い、いいけど……」

 最近のレベッカ、旅行のせいなのかは分からないけど、以前よりも社交的になったような……そんな気がする。
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