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二章 異世界ライフ
77話 保護
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時間帯も夕方に傾きつつある頃、北レバノン近くの空き地で銃を与えて大喜びのレベッカに、銃の扱いに関する基本的な動作を教えていた。ユッカは疲れたらしく、先に隊舎へと戻った。
安全装置の操作方法、リロードの方法、撃発の方法、メンテナンスの方法、など。
銃を使う上で当たり前の動作を一通り伝授した。説明にそれ程自信がなかったが、彼女は理解してくれたようで満足だ。
「……わあ、カッコいいです……!」
空き地の端では、レベッカがスコーピオンに夢中になっていた。意味もなくチャージングハンドルを引いたり、空の弾倉を挿入したり、と。
傍から見れば少しイタい人だが、あのスコーピオンは俺からのプレゼントだ。こんなに気に入って貰って嬉しく感じる。
「おいおいレベッカ、それはエアガンじゃ――――ん?」
銃にメロメロの彼女へツッコミを炸裂させようとした時、不意に空き地にある粗末な小屋に誰かが逃げ込んで行くのが見えた。
ほんの一瞬だったので全貌は不明瞭だが、全身が汚れているような感じがした。
ともかく、只事ではない事態が起きているのは確かだ。
「レベッカ、ちょっとここに居てくれ」
「どうかしましたか?」
「あの小屋に、誰かが逃げ込んだのが見えてな。気になったんだよ」
返答しつつ、小屋へ足を進ませる。
小屋の側面に着くと、中に籠る人物はもしかすると危険な者かもしれないので、念のためガバメントをホルスターから引き抜いた。
チャンバーにしっかり弾が挿入されているのを確認し、小屋へと突撃。
老朽化が進行しているためか、ドアを蹴破った途端にそれが崩れ落ちた。
内部にはロープで纏められた木材、今の状態だと使用不可能な崩壊した暖炉、シーツの破損が目立つボロボロのベッドが置いてあった。
暗くて細部が見えないので、ペンライトの光を灯す。
「そこに誰か居るのか?」
ベッドの上に敷かれた古い掛け布団が動いたように見え、接近する。
やはり布団らしき布は不自然に膨らんでいる。それもただの物体ではなく、完全な人の形だ。
ライトを口で咥えて、トリガーに指を強く掛けながら、布を引っ張り取る。
「え? え? あ、ご、ごめんなさい!」
布の下からは何と全裸の女性が出て来て、すぐさま目を逸らした。
変なものを目撃してしまったと思い、とりあえず外へ出ようとすると――――
「ま、待ってよ」
銃を持った方の腕を、強力に掴まれた。
「な、何があったんだよ?」
振り返らず、冷静を装って問い掛けたのだった。
狭い空間で服を着た男と素っ裸の女が話し合うのはマズいと、一度外に出てレベッカを連れて来た。
「……なるほど、事情は大体分かりました。国防軍の中佐にいじめられていた、と」
大雑把な事情を把握すると、眼前に座り込む薄汚れた体だが綺麗な茶髪をポニーテールで纏め上げた女性――――クレア・ヴァレンタインさんに自分の上着を被せた。
話を聞けば、この人は聖騎士らしく、何でも親が勝手に決めた結婚相手の国防軍中佐に日頃から性的な虐待を受けており、ついに耐えられなくなってここまで逃げて来たそうだ。
「正規軍の連中が……私を探してるかも」
クレアは中佐の強大な権力に怯えており、今もこうして体を震わせている。
「もう……あの人しか」
「あの人って誰の事だよ?」
「私には、とっても強い恋人が居るの……」
最強の恋人……異世界なら魔法使いとかか?
だが俺の考察は、クレアが次に発した言葉で大きく外れる事となった。
「私の恋人は……ヒズベラの幹部よ」
そう、クレアの恋人はヒズベラ戦闘員、さらに言うとトップの人間だったのだ。
中佐さん、今の内に逃亡準備を始めた方がいいぞと、心の中で伝わる訳がないと分かりつつも警告を促した。
安全装置の操作方法、リロードの方法、撃発の方法、メンテナンスの方法、など。
銃を使う上で当たり前の動作を一通り伝授した。説明にそれ程自信がなかったが、彼女は理解してくれたようで満足だ。
「……わあ、カッコいいです……!」
空き地の端では、レベッカがスコーピオンに夢中になっていた。意味もなくチャージングハンドルを引いたり、空の弾倉を挿入したり、と。
傍から見れば少しイタい人だが、あのスコーピオンは俺からのプレゼントだ。こんなに気に入って貰って嬉しく感じる。
「おいおいレベッカ、それはエアガンじゃ――――ん?」
銃にメロメロの彼女へツッコミを炸裂させようとした時、不意に空き地にある粗末な小屋に誰かが逃げ込んで行くのが見えた。
ほんの一瞬だったので全貌は不明瞭だが、全身が汚れているような感じがした。
ともかく、只事ではない事態が起きているのは確かだ。
「レベッカ、ちょっとここに居てくれ」
「どうかしましたか?」
「あの小屋に、誰かが逃げ込んだのが見えてな。気になったんだよ」
返答しつつ、小屋へ足を進ませる。
小屋の側面に着くと、中に籠る人物はもしかすると危険な者かもしれないので、念のためガバメントをホルスターから引き抜いた。
チャンバーにしっかり弾が挿入されているのを確認し、小屋へと突撃。
老朽化が進行しているためか、ドアを蹴破った途端にそれが崩れ落ちた。
内部にはロープで纏められた木材、今の状態だと使用不可能な崩壊した暖炉、シーツの破損が目立つボロボロのベッドが置いてあった。
暗くて細部が見えないので、ペンライトの光を灯す。
「そこに誰か居るのか?」
ベッドの上に敷かれた古い掛け布団が動いたように見え、接近する。
やはり布団らしき布は不自然に膨らんでいる。それもただの物体ではなく、完全な人の形だ。
ライトを口で咥えて、トリガーに指を強く掛けながら、布を引っ張り取る。
「え? え? あ、ご、ごめんなさい!」
布の下からは何と全裸の女性が出て来て、すぐさま目を逸らした。
変なものを目撃してしまったと思い、とりあえず外へ出ようとすると――――
「ま、待ってよ」
銃を持った方の腕を、強力に掴まれた。
「な、何があったんだよ?」
振り返らず、冷静を装って問い掛けたのだった。
狭い空間で服を着た男と素っ裸の女が話し合うのはマズいと、一度外に出てレベッカを連れて来た。
「……なるほど、事情は大体分かりました。国防軍の中佐にいじめられていた、と」
大雑把な事情を把握すると、眼前に座り込む薄汚れた体だが綺麗な茶髪をポニーテールで纏め上げた女性――――クレア・ヴァレンタインさんに自分の上着を被せた。
話を聞けば、この人は聖騎士らしく、何でも親が勝手に決めた結婚相手の国防軍中佐に日頃から性的な虐待を受けており、ついに耐えられなくなってここまで逃げて来たそうだ。
「正規軍の連中が……私を探してるかも」
クレアは中佐の強大な権力に怯えており、今もこうして体を震わせている。
「もう……あの人しか」
「あの人って誰の事だよ?」
「私には、とっても強い恋人が居るの……」
最強の恋人……異世界なら魔法使いとかか?
だが俺の考察は、クレアが次に発した言葉で大きく外れる事となった。
「私の恋人は……ヒズベラの幹部よ」
そう、クレアの恋人はヒズベラ戦闘員、さらに言うとトップの人間だったのだ。
中佐さん、今の内に逃亡準備を始めた方がいいぞと、心の中で伝わる訳がないと分かりつつも警告を促した。
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