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三章 異世界verの中東戦争
147話 降参
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殺気が蔓延る外。
俺は接近してくる帝国兵を射殺、ザッハールは少し離れた場所から敵を一人ずつ的確に排除、カセムは圧倒的な破壊力を誇るバルカン砲で集う敵兵共を一掃、アヴァカンはリボルバーでイスラエル兵の頭部だけを撃ち抜き、レベッカは騎士の戦技を駆使して兵を斬り殺す。
体感ではもう80人は殺したと思うが、敵は撤退してくれるどころか増援を費やしている。
「ああ、終わったか」
ライフルの弾が切れてしまい、ハンドガンに切り替える。
「俺も……クッソ、ここまでか」
カセムも弾切れを起こし、思いバルカン砲を地面に投げた。
「こっちも終わっちゃった……」
残念そうに呟くアヴァカンまで弾を使い切ったようだ。
数の暴力で攻めるか――――こちらの方が練度は高いと思うが、それが通用するのはせいぜい数十二人程度。しかし視界に映る光景はどうだろうか。百人を超える兵士がおり、仮に全滅させたとしても新たな敵が湧く。
所持している無線機からザッハールの声が流れる。
「これは撤退した方がよさそうよ!」
このまま戦い続けてもいつか敗れるのは確実だ。素直にザッハールの提案に従おう。
皆に退散の合図を告げ、武器を持って逃げる準備を進めていた頃、後方でアヴァカンが躓いてしまった。ずっと逃げ回っていたらしいし、今になってその限界が襲って来たのだろうか。いずれにせよ、彼女を見殺しにはできない。
「さっきに行っててくれ!」
俺は地面にしゃがみ込んで膝を押さえるアヴァカンへ走る。
「おいお前、自殺する気かよ!」
「気持ちは分かりますが、そんな事していたら死んでしまいます!」
カセムとレベッカに救助をやめるよう促されるが、怒声で叩き割る。
「アヴァカンを見捨てられる訳ねーだろ! 俺は後でそっちとまた合流するから先に逃げてくれ! アヴァカンは俺がどうにかする!」
「そこまで言うのか……チッ、分かった! ただし、死んだら俺があの世まで追いかけるからな!」
一瞬の迷いを見せたカセムだったが、レベッカを連れて敷地の裏側へ撤退を開始した。
これでいい――――と、胸中で囁く。
「さあアヴァカン、ちょっと背負うぞ」
小柄な彼女の体を背中に乗せる。
「セル坊、私の事なんて見捨てて……」
「普通の人間にはそんな大層な行動、できないと思うよ。それに俺はお前さんとはまだまだ仲良くしてぇからな」
人間を担いだ事はあるし、何ならアヴァカンの体重は軽いのでもっと早く歩けるだろうと思っていたが、周りが緊張に包まれているためか精神にストレスが生じ、中々足を動かせなかった。
「あー、終わったか」
上手く移動できずにいたせいで敵兵に囲まれた。怪我人も保護しているので抵抗は不可能だろう。
アヴァカンを地面に優しく降ろすと武器を敵側に投げ飛ばし、両手を頭につけて跪いた。
「降伏するから、命取るのだけはやめてほしいかな」
「セル坊……」
潤んだ瞳に震え切った彼女の頭をそっと撫でた瞬間、体に電流が駆け巡り俺の意識は漆黒も覆われた。
俺は接近してくる帝国兵を射殺、ザッハールは少し離れた場所から敵を一人ずつ的確に排除、カセムは圧倒的な破壊力を誇るバルカン砲で集う敵兵共を一掃、アヴァカンはリボルバーでイスラエル兵の頭部だけを撃ち抜き、レベッカは騎士の戦技を駆使して兵を斬り殺す。
体感ではもう80人は殺したと思うが、敵は撤退してくれるどころか増援を費やしている。
「ああ、終わったか」
ライフルの弾が切れてしまい、ハンドガンに切り替える。
「俺も……クッソ、ここまでか」
カセムも弾切れを起こし、思いバルカン砲を地面に投げた。
「こっちも終わっちゃった……」
残念そうに呟くアヴァカンまで弾を使い切ったようだ。
数の暴力で攻めるか――――こちらの方が練度は高いと思うが、それが通用するのはせいぜい数十二人程度。しかし視界に映る光景はどうだろうか。百人を超える兵士がおり、仮に全滅させたとしても新たな敵が湧く。
所持している無線機からザッハールの声が流れる。
「これは撤退した方がよさそうよ!」
このまま戦い続けてもいつか敗れるのは確実だ。素直にザッハールの提案に従おう。
皆に退散の合図を告げ、武器を持って逃げる準備を進めていた頃、後方でアヴァカンが躓いてしまった。ずっと逃げ回っていたらしいし、今になってその限界が襲って来たのだろうか。いずれにせよ、彼女を見殺しにはできない。
「さっきに行っててくれ!」
俺は地面にしゃがみ込んで膝を押さえるアヴァカンへ走る。
「おいお前、自殺する気かよ!」
「気持ちは分かりますが、そんな事していたら死んでしまいます!」
カセムとレベッカに救助をやめるよう促されるが、怒声で叩き割る。
「アヴァカンを見捨てられる訳ねーだろ! 俺は後でそっちとまた合流するから先に逃げてくれ! アヴァカンは俺がどうにかする!」
「そこまで言うのか……チッ、分かった! ただし、死んだら俺があの世まで追いかけるからな!」
一瞬の迷いを見せたカセムだったが、レベッカを連れて敷地の裏側へ撤退を開始した。
これでいい――――と、胸中で囁く。
「さあアヴァカン、ちょっと背負うぞ」
小柄な彼女の体を背中に乗せる。
「セル坊、私の事なんて見捨てて……」
「普通の人間にはそんな大層な行動、できないと思うよ。それに俺はお前さんとはまだまだ仲良くしてぇからな」
人間を担いだ事はあるし、何ならアヴァカンの体重は軽いのでもっと早く歩けるだろうと思っていたが、周りが緊張に包まれているためか精神にストレスが生じ、中々足を動かせなかった。
「あー、終わったか」
上手く移動できずにいたせいで敵兵に囲まれた。怪我人も保護しているので抵抗は不可能だろう。
アヴァカンを地面に優しく降ろすと武器を敵側に投げ飛ばし、両手を頭につけて跪いた。
「降伏するから、命取るのだけはやめてほしいかな」
「セル坊……」
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