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自販機と裸女
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綱島知子を乗せた紺色のワゴン車が、駅前の駐車場に止まっていた。
大倉に組み敷かれ、犬の交尾のように後ろから犯されている知子の横では、小杉と日吉が撮影したばかりのビデオをチェックしていた。
三度目の露出でようやく目的のものが撮影できたのだ。
そこには、全裸の知子が見物人を引き連れて横断歩道を渡り、電信柱に立ったまま排尿する姿が録画されていた。
「この次はウンコをさせようぜ」
「浣腸をしないでウンコさせるっていうのはどうだい」
「バカヤロウ、それじゃ時間がかかり過ぎて通報されたらどうするんだ」
「あっ、そうか。じゃあやっぱり浣腸してひり出させるしかないか」
二人の無慈悲な会話が、否応なしに知子の耳に飛び込んでくる。
「くだらないことを言ってないで、ビデオの準備をしておけよ。次は一発勝負だからな」
知子から離れ、運転席に戻った大倉が、車のエンジンをかけながら言った。
いずれはやらされるであろう公開排便の恥辱に思いを巡らせるよりも、今の知子には切羽詰まった恐怖が待ち受けていた。
「駅前の自動販売機で、缶コーヒーを買ってくるだけ事さ。簡単だろう」
「知子先生が素っ裸だってだけの話さ」
「今までだって、何度もやってきた事じゃないか。今更ビビってどうする」
事も無げに言う三人の顔には、悪辣な笑みが浮かんでいる。
確かに、その通りかもしれない……。
でも……。
車のフロントガラス越しに見える景色の中に、制服を着た学生たちの姿がチラホラ見えるのだ。
彼らは知子の勤める高校の生徒たちだ。
下校時間を過ぎて、帰宅組の生徒たちが駅に向かっていた。
知子が授業を受け持つ生徒も、今ここを歩いているかもしれない。
ここは学校に最も近い駅だった。
「お願い、ここで知子を辱めるのは許して。学校の生徒に見つかったら……もうおしまいよ。他の所でなら、何でもしますから……」
知子の哀願は聞き入られるはずもない。
「心配いらねえよ。露出狂の変態女が綱島知子先生だなんて、誰も気づかねえよ」
「そうそう、ヘアスタイルも違うし、サングラスをかけりゃバレっこないさ。たとえ気がついても、他人の空似だって思うだけさ」
「それとも、カミングアウトしたいっていうなら、それでもいいんだぜ」
知子は大きく頭を振ると肩を震わせ、ギュッと両手を握りしめた。
そうよ、やるしかないの……誰にも気づかれないことを祈るしかないのよ……。
腹をくくったように顔を上げた知子だったが、駅前の人だかりに足がすくんだ。
栗色のウイックで髪形を変え、サングラスで目元を隠しただけで、別人のように変装できたとは到底思えないのだ。
「グズグズしてると、どんどん人が増えていくぜ。早く缶コーヒーを買ってこい」
「知子は俺たちのザーメンを飲んでいるからいいかもしれないが、こっちは喉が渇いてるんだよ」
「おい小杉、そのバカ女を放り出せ!」
イラついた大倉の怒声と共に、知子は車外に押し出された。
目の前に現れた裸女にギョッとして目を丸くした通行人を尻目に、知子は一目散に自販機に向かった。
背後に黄色い悲鳴が聞こえ、駅に吸い込まれるサラリーマンの集団が何事かと振り返るのが見えた。
プルプルと震える手で自販機の貨幣投入口にコインを入れる。
ガコンという音と共に取り出し口に落ちてきた冷たい缶コーヒーを、脚を伸ばしたまま腰を屈めて拾い上げた。
背後の車内から撮影しているビデオには、股間の秘部が丸見えだ。
これを三回繰り返す間に、露出女の存在に誰もが気づき立ち止まる。
駅前は異様なざわめきと共に人の流れが変わっていた。
遠まきに見る通行人たちの顔には、一様に驚きと侮蔑と嫌悪の表情が見て取れた。
携帯のカメラが向けられる中、知子は上気した顔を隠すように伏せ、ふらつきながらも早足で車に戻った。
後部座席に知子が倒れこむと同時に車が発進し、駅前での露出ショーが終わった。
知子は体を丸め、歯の根も合わぬほどに震えていた。
『綱島先生……』と言う生徒の声が聞こえたような気がしたのだ。
気がつかれたかもしれない不安に襲われた知子を、大倉たちはせせら笑った。
「本当は嬉しいくせに、誤魔化すんじゃねえよ。下の口は正直だぜ。べちょべちょにヨダレを垂らしているじゃないか」
酷いわ……。
知子は恥辱にうなだれるが、心の奥底では破滅を望むもう一人の自分がいる。
日吉の長大な肉茎が目の前にあった。
それが背徳の報酬であるかのように、知子の胎内に挿入された。
大倉に組み敷かれ、犬の交尾のように後ろから犯されている知子の横では、小杉と日吉が撮影したばかりのビデオをチェックしていた。
三度目の露出でようやく目的のものが撮影できたのだ。
そこには、全裸の知子が見物人を引き連れて横断歩道を渡り、電信柱に立ったまま排尿する姿が録画されていた。
「この次はウンコをさせようぜ」
「浣腸をしないでウンコさせるっていうのはどうだい」
「バカヤロウ、それじゃ時間がかかり過ぎて通報されたらどうするんだ」
「あっ、そうか。じゃあやっぱり浣腸してひり出させるしかないか」
二人の無慈悲な会話が、否応なしに知子の耳に飛び込んでくる。
「くだらないことを言ってないで、ビデオの準備をしておけよ。次は一発勝負だからな」
知子から離れ、運転席に戻った大倉が、車のエンジンをかけながら言った。
いずれはやらされるであろう公開排便の恥辱に思いを巡らせるよりも、今の知子には切羽詰まった恐怖が待ち受けていた。
「駅前の自動販売機で、缶コーヒーを買ってくるだけ事さ。簡単だろう」
「知子先生が素っ裸だってだけの話さ」
「今までだって、何度もやってきた事じゃないか。今更ビビってどうする」
事も無げに言う三人の顔には、悪辣な笑みが浮かんでいる。
確かに、その通りかもしれない……。
でも……。
車のフロントガラス越しに見える景色の中に、制服を着た学生たちの姿がチラホラ見えるのだ。
彼らは知子の勤める高校の生徒たちだ。
下校時間を過ぎて、帰宅組の生徒たちが駅に向かっていた。
知子が授業を受け持つ生徒も、今ここを歩いているかもしれない。
ここは学校に最も近い駅だった。
「お願い、ここで知子を辱めるのは許して。学校の生徒に見つかったら……もうおしまいよ。他の所でなら、何でもしますから……」
知子の哀願は聞き入られるはずもない。
「心配いらねえよ。露出狂の変態女が綱島知子先生だなんて、誰も気づかねえよ」
「そうそう、ヘアスタイルも違うし、サングラスをかけりゃバレっこないさ。たとえ気がついても、他人の空似だって思うだけさ」
「それとも、カミングアウトしたいっていうなら、それでもいいんだぜ」
知子は大きく頭を振ると肩を震わせ、ギュッと両手を握りしめた。
そうよ、やるしかないの……誰にも気づかれないことを祈るしかないのよ……。
腹をくくったように顔を上げた知子だったが、駅前の人だかりに足がすくんだ。
栗色のウイックで髪形を変え、サングラスで目元を隠しただけで、別人のように変装できたとは到底思えないのだ。
「グズグズしてると、どんどん人が増えていくぜ。早く缶コーヒーを買ってこい」
「知子は俺たちのザーメンを飲んでいるからいいかもしれないが、こっちは喉が渇いてるんだよ」
「おい小杉、そのバカ女を放り出せ!」
イラついた大倉の怒声と共に、知子は車外に押し出された。
目の前に現れた裸女にギョッとして目を丸くした通行人を尻目に、知子は一目散に自販機に向かった。
背後に黄色い悲鳴が聞こえ、駅に吸い込まれるサラリーマンの集団が何事かと振り返るのが見えた。
プルプルと震える手で自販機の貨幣投入口にコインを入れる。
ガコンという音と共に取り出し口に落ちてきた冷たい缶コーヒーを、脚を伸ばしたまま腰を屈めて拾い上げた。
背後の車内から撮影しているビデオには、股間の秘部が丸見えだ。
これを三回繰り返す間に、露出女の存在に誰もが気づき立ち止まる。
駅前は異様なざわめきと共に人の流れが変わっていた。
遠まきに見る通行人たちの顔には、一様に驚きと侮蔑と嫌悪の表情が見て取れた。
携帯のカメラが向けられる中、知子は上気した顔を隠すように伏せ、ふらつきながらも早足で車に戻った。
後部座席に知子が倒れこむと同時に車が発進し、駅前での露出ショーが終わった。
知子は体を丸め、歯の根も合わぬほどに震えていた。
『綱島先生……』と言う生徒の声が聞こえたような気がしたのだ。
気がつかれたかもしれない不安に襲われた知子を、大倉たちはせせら笑った。
「本当は嬉しいくせに、誤魔化すんじゃねえよ。下の口は正直だぜ。べちょべちょにヨダレを垂らしているじゃないか」
酷いわ……。
知子は恥辱にうなだれるが、心の奥底では破滅を望むもう一人の自分がいる。
日吉の長大な肉茎が目の前にあった。
それが背徳の報酬であるかのように、知子の胎内に挿入された。
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