主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?

玉響なつめ

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第二章 シリウスという男

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 正式にシリウスの部下(?)になった私は、なんと公爵家の使用人館で部屋を……もらえなかった! なんてこった!!

 信頼できないからってひどくなぁい? って思ったらまさかの上司と一緒に一時的に暮らせって一軒家に押し込まれましたよ。
 なんてこった!

「……これどういう状況なんですかねえ」

「お前を信頼できないからだろうが。人的被害を最小限に抑えるためにも俺がお前を直接監視するのが手っ取り早い。セレンがクロウ・・・なことを知るのは、義父上と俺だけなのだから」

「いやまあそりゃそうなんですけど」

「それに、契約紋もある」

 契約紋ってのは簡単に言うと約束事を取り決めて、それを破ったらペナルティーを科すってものだ。
 私とシリウスの間では『シリウスの指示に従う、裏切らない』という紋が私の小指に刻まれていて、ペナルティーが発生すると私の手首が吹っ飛ぶらしい。
 なんて物騒なんだ、公爵家……。

 どこまで信頼してないんだよ!
 いやわかるけど!!

「そういう意味では信頼はできなくとも、食事を共にする程度は安全だと判断した」

「まあ、そうですね」

 で、信頼しないって言う割に私の作ったご飯をもりもり食べてる貴方はなんなんですかって突っ込みたいんですけど?

 そういやこの一軒家、元々シリウスが暮らしている家らしいのだ。
 シリウスは公爵家を継げない・・・・
 血統重視であるこの国では養子であるシリウスよりも、レオナールの方が後継者としての順位が高いのだ。
 それに、レオナールに何かあっても今ならアナベルがいる。

 だから王城の騎士隊に所属しているってわけ。
 ちなみに例の第二王子の側近だ。

 ただまあそれでも由緒正しき公爵家の長男だし?
 王子の側近である騎士なんだから、宿舎でも、屋敷でも……好きなようにできるだけの身分もお金もあるはずなのに、彼はなんでか王都内にある繁華街の近くに住んでいるってわけ。
 
 ちなみに公爵家の面々は普段、公爵領のある北方で暮らしている。
 なので私がリークした茶会の件が済んだらアナベルたちは公爵領に戻るの、その時になったら私の今後も決まるんだってさ!

 小説の細かい部分が思い出せない私としては、これが小説との違いはわからない。
 もしかしたらほぼ同じなのかもしれないし違うかもしれないし……。

 ま、なんにせよまずは自分が死なないことが大事だよね!!

(でもだからって公爵家のご令息が一人暮らしとか想像したこともなかったわー。使用人どころか護衛すらいないってどうなの。本人が強いからいいのか……?)

 いやマジで一人暮らしなのよこの人。
 使用人いないの。護衛もいないの。庭師なんて論外よ。
 通いすらいないの。

 ゼロ人なの。ゼロ人なのよ!!

「……料理とか掃除、洗濯はどうしてたんです?」

「自分でやっていた」

「えっ、大貴族の人なのに」

「最低限のことは騎士隊に所属すれば学ぶ」

「はあ、そんなものですか」

「俺の部下だから豪華な暮らしの恩恵にあずかれると思っていたのなら、残念だったな」

「いやいやそんなことないですよ。むしろ私からしてみると、将来の夢を体験できる感じで大変助かりますね!」

「……何?」

 豪華な生活を夢見ているとでも思われたのか、私の言葉にシリウスは呆気にとられた様子だ。
 でもそんなこと知ったこっちゃあないのだ。

 なんせ私の人生プラン、暗殺者を引退後の夢……それはそう、悠々自適な暮らし!
 小さいながらも庭付き一軒家での暮らしって憧れがあったんだよ!!

 今回は上司がついてきちゃったけど……っていうか私が割り込んでんのか。
 とにかく私が理想とするサイズの一軒家だもの!

「暗殺者なんてしてると、いつ寝首を搔かれるかわかったもんじゃないですからね。逃げ道考慮の一人暮らしはいつでも去れる安い部屋が大前提ですよ。お気に入りの家具も置けませんし、生活に必要最低限のものだけなので殺風景もいいところ」

「そうか」

「私は暗殺者になりたくてなったわけじゃないんで、ある程度稼いだら足を洗って地方で悠々自適な暮らしがしたいんですよ」

「……そうか」

「そういう意味でこの家は私が理想とするサイズ感っていうか、もうちょっと小さくてもいいのかなあ、一人暮らしなら。でもこうやって好きに料理したり買い物して食材ため込めるのもなかなか楽しいですし、シリウス様はたくさん食べてくださるので作りがいもありますしねえ」

「……美味い」

「そりゃどーも」

 ちなみに今日のメニューはチキンのトマト煮込みである。
 それとご近所で買ってきたパンと、グリーンサラダ。
 ドレッシングは私の秘密レシピである。自信作だ!
 
 デザートにはリンゴのコンポートを準備した。

 料理を振る舞う相手がいるって楽しいね!
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