主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?

玉響なつめ

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第六章 まあ人それぞれってことで!

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「っしゃー! 解錠! できたぁ!!」

 例の玄関の鍵、あれを三つとも解錠するのに五日かかったよ。
 五日だよ、五日。一日の殆どを費やして解錠したとも!

 私、頑張ったわあ……。
 解けなくもないけど難しいラインギリギリを攻めたような魔法理論だったよ!

 裏社会にいた頃、いろんな雑用を押しつけ……じゃなかった任されて魔法理論を理解して要約するとかそんな馬鹿げ……げふんげふん。
 とにかく知識を得ていてよかったあ。

 あれっ、私これ解錠できるって実は有能なのでは。
 中堅どころではなくこんな知識があるって世の中に知られたらそれはそれで危険なのでは……?

 分解・分離は知識がものを言う。
 勿論、魔力があればあるほど膨大な情報を操れるのでそっちの方がいいけど……知識があればそれをカバーできるでしょ?
 だから押しつけられた時には押しつけてきた連中に対して呪ってやりたいとかちょっと不穏なことを思ったものだけど今となっては感謝してあげたいような気もする。
 ははは、あの頃は私も若かったからね! 今も若いけど。

「……ん?」

 そうして玄関の鍵を自由に解錠・施錠できるようになった私は達成感に包まれて改めて三つとも施錠をした。
 外に結界があるからって、開けっぱなしはよくないじゃない?

「んんーん、やりきったこの達成感、たまんないわー! ……ん?」
 
 もやっとした感覚に、私は踵を返した足を止め振り返る。
 今日のご飯は達成のお祝いに、贅沢一人ステーキを堪能してやろうと思っていたってのに……なんだなんだ?

(無理矢理、誰かが入ろうとしている……?)

 家の周りに張り巡らされている結界を揺らす波動が伝わってくる。
 大きな魔法を使う波動と言うよりは、結界を壊す波動だ。

 どうしてそれを知っているかっていうと、私もやったことがあるからとしか言いようがない。
 とはいえ私の場合は結界そのものをぶっ壊すっていうよりも小さな穴を開けてそこから侵入するスタイルだけど……今感じているのは上手く行かないからとにかく魔力をぶつけて壊そうとしているって感じだな。

(魔獣かな? 大型で知能の高いヤツの中でも好戦的なタイプはぶち当たってくることがあるってシリウスが言っていたっけ……)

 この辺だと熊型の魔獣の力が強いけど、大型の鹿魔獣も出るって聞いているからそのあたりだろうか?
 魔獣は結界に対して魔力を身に纏った状態で突進してくることがあるって聞いているからそれかなと私は思ったが、すぐに考え直す。

(それにしちゃ、魔力の波は荒っぽさを感じない)

 ぽつんと一軒家に興味を持った人が訝しんで中を確認しようとしているとか?
 でもここ、シリウスの持ち家だし……ノクス公爵様も知っているって言っていたから非合法ってわけでもないから、勝手に攻撃されたり結界を弄られる理由はない。

(ってことは敵か……)

 とりあえず結界に阻まれているらしいうちに罠でも仕込んでおくかと思いつつ、念のため誰がそんなことをしているのか知りたくて玄関の鍵を開けてみる。
 そしてそーっと玄関を開けて確認した先には、門扉の辺りで結界を解こうとしている魔法使いらしい出で立ちの青年と、その横でギャアギャア騒ぐ少年の姿だった。
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