55 / 73
第六章 まあ人それぞれってことで!
53
しおりを挟む
(あれは~……あーらら、どうしたもんかな……)
まるで見覚えのない二人、だったら話をして撃退するなり穏やかに納得してもらうにしろ、とにかくお帰りいただけば済む話。
家の中に入れる選択肢はないよ、最初からね!
なんだかんだ言っているけど、ここはシリウスと私の家だ。
彼はここに他人が足を踏み入れることを嬉しくは思わないだろうし、私もまたそうだ。
たとえそれが、彼の家族であっても、だ。
(レオナール公子がなんだって……)
そう、あそこでギャアギャア騒いでいるのはシリウスの義弟で、アナベルの実弟……ノクス公爵家の後継者であるレオナール君である。
御年……いくつだっけ、関係ないと思って忘れちゃったな。
とにかく、シリウスが大事にしている家族の一人なので私としては是非穏便にお帰りいただきたいところだけど……わざわざこんなところまでやってきて結界を壊してまで無理に入ろうとしているあたり、きな臭さを感じずにはいられない。
(私の存在を知ってここにやって来たって考えるのが一番しっくりくるよねえ)
その内容だよ、問題は。
第一候補、尊敬する義兄が会わせてくれない女性に会いに来たってパターン。
シリウスの考えを尊重してくれるんなら、門扉のところで言葉を交わすだけで帰ってくれるかもしれない。
第二候補、尊敬する義兄が囲っているという得体の知れない女がいる、何者だ! ってパターン。
こっちは結構面倒だよね。納得してもらえるビジョンがない。
会わずに済めばそれが一番だけど、ここまで強行手段に出てくるとなると……。
(あの魔道士、結構強そうだしなあ。護衛騎士って感じじゃなくて魔法の本職、かな?)
第三候補。
一番あってほしくないけど、シリウスの考え云々はとにかく後回しで『義兄に相応しくない女を排除しなくては』っていう正義感に駆られての行動。
これだといろいろ面倒って言うか、厄介って言うか……。
(結界が保ってくれればいいんだけど、無理っぽいな~)
シリウスが帰ってくる……ことに期待してばかりもいられないし、結界を壊されたら壊されたで彼らを追い返したところで修復が私の魔力量では厳しいことを考えれば、答えは自ずと出た。
大変遺憾であるが、これはもう私が玄関の外に足を踏み出さねばなるまい。
なにせ、平穏な暮らしを守るためである。
あと、ほら、あれだ。
シリウスを困らせたくはないんだよ。うん。
大事な義弟とはいえ勝手なことをされたら彼だってさすがに腹も立つだろうし、仕事から疲れて帰ってきてこんなことになっていたら疲労も倍増しちゃうじゃない?
弟を説得して、魔法使いにむやみに人の家の結界を壊すなと注意をして、結界を直して……私だったらそんなの仕事で疲れて帰ってきて目の当たりにしたらキレそう。
「あのー……」
でもまだね、第一候補の可能性だって限りなくゼロに低いとはいえゼロじゃないんだからさ、上手くいくかもしれないじゃない?
とりあえず結界を壊さないでもらえれば、あとは対話で……。
「むっ、現れたなこの魔女め! 兄上を誑かした罪、贖ってもらうぞ!」
「え、いやいや魔女って。私はついこの間まで正式にノクス公爵家で雇われていたメイドで」
「ええい、問答無用だ! まだ結界は壊れないのか、ジョン!!」
「今やってますって……!」
いや聞けよ人の話ィ! そして壊すな!!
まるで見覚えのない二人、だったら話をして撃退するなり穏やかに納得してもらうにしろ、とにかくお帰りいただけば済む話。
家の中に入れる選択肢はないよ、最初からね!
なんだかんだ言っているけど、ここはシリウスと私の家だ。
彼はここに他人が足を踏み入れることを嬉しくは思わないだろうし、私もまたそうだ。
たとえそれが、彼の家族であっても、だ。
(レオナール公子がなんだって……)
そう、あそこでギャアギャア騒いでいるのはシリウスの義弟で、アナベルの実弟……ノクス公爵家の後継者であるレオナール君である。
御年……いくつだっけ、関係ないと思って忘れちゃったな。
とにかく、シリウスが大事にしている家族の一人なので私としては是非穏便にお帰りいただきたいところだけど……わざわざこんなところまでやってきて結界を壊してまで無理に入ろうとしているあたり、きな臭さを感じずにはいられない。
(私の存在を知ってここにやって来たって考えるのが一番しっくりくるよねえ)
その内容だよ、問題は。
第一候補、尊敬する義兄が会わせてくれない女性に会いに来たってパターン。
シリウスの考えを尊重してくれるんなら、門扉のところで言葉を交わすだけで帰ってくれるかもしれない。
第二候補、尊敬する義兄が囲っているという得体の知れない女がいる、何者だ! ってパターン。
こっちは結構面倒だよね。納得してもらえるビジョンがない。
会わずに済めばそれが一番だけど、ここまで強行手段に出てくるとなると……。
(あの魔道士、結構強そうだしなあ。護衛騎士って感じじゃなくて魔法の本職、かな?)
第三候補。
一番あってほしくないけど、シリウスの考え云々はとにかく後回しで『義兄に相応しくない女を排除しなくては』っていう正義感に駆られての行動。
これだといろいろ面倒って言うか、厄介って言うか……。
(結界が保ってくれればいいんだけど、無理っぽいな~)
シリウスが帰ってくる……ことに期待してばかりもいられないし、結界を壊されたら壊されたで彼らを追い返したところで修復が私の魔力量では厳しいことを考えれば、答えは自ずと出た。
大変遺憾であるが、これはもう私が玄関の外に足を踏み出さねばなるまい。
なにせ、平穏な暮らしを守るためである。
あと、ほら、あれだ。
シリウスを困らせたくはないんだよ。うん。
大事な義弟とはいえ勝手なことをされたら彼だってさすがに腹も立つだろうし、仕事から疲れて帰ってきてこんなことになっていたら疲労も倍増しちゃうじゃない?
弟を説得して、魔法使いにむやみに人の家の結界を壊すなと注意をして、結界を直して……私だったらそんなの仕事で疲れて帰ってきて目の当たりにしたらキレそう。
「あのー……」
でもまだね、第一候補の可能性だって限りなくゼロに低いとはいえゼロじゃないんだからさ、上手くいくかもしれないじゃない?
とりあえず結界を壊さないでもらえれば、あとは対話で……。
「むっ、現れたなこの魔女め! 兄上を誑かした罪、贖ってもらうぞ!」
「え、いやいや魔女って。私はついこの間まで正式にノクス公爵家で雇われていたメイドで」
「ええい、問答無用だ! まだ結界は壊れないのか、ジョン!!」
「今やってますって……!」
いや聞けよ人の話ィ! そして壊すな!!
82
あなたにおすすめの小説
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
ストーカーから逃げ切ったつもりが、今度はヤンデレ騎士団に追われています。
由汰のらん
恋愛
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。
さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった!
しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って?
いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた
いに。
恋愛
"佐久良 麗"
これが私の名前。
名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。
両親は他界
好きなものも特にない
将来の夢なんてない
好きな人なんてもっといない
本当になにも持っていない。
0(れい)な人間。
これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。
そんな人生だったはずだ。
「ここ、、どこ?」
瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。
_______________....
「レイ、何をしている早くいくぞ」
「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」
「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」
「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」
えっと……?
なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう?
※ただ主人公が愛でられる物語です
※シリアスたまにあり
※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です
※ど素人作品です、温かい目で見てください
どうぞよろしくお願いします。
心が読める私に一目惚れした彼の溺愛はややヤンデレ気味です。
三月べに
恋愛
古川七羽(こがわななは)は、自分のあか抜けない子どもっぽいところがコンプレックスだった。
新たに人の心を読める能力が開花してしまったが、それなりに上手く生きていたつもり。
ひょんなことから出会った竜ヶ崎数斗(りゅうがざきかずと)は、紳士的で優しいのだが、心の中で一目惚れしたと言っていて、七羽にグイグイとくる!
実は御曹司でもあるハイスペックイケメンの彼に押し負ける形で、彼の親友である田中新一(たなかしんいち)と戸田真樹(とだまき)と楽しく過ごしていく。
新一と真樹は、七羽を天使と称して、妹分として可愛がってくれて、数斗も大切にしてくれる。
しかし、起きる修羅場に、数斗の心の声はなかなか物騒。
ややヤンデレな心の声!?
それでも――――。
七羽だけに向けられるのは、いつも優しい声だった。
『俺、失恋で、死んじゃうな……』
自分とは釣り合わないとわかりきっていても、キッパリと拒めない。二の足を踏む、じれじれな恋愛模様。
傷だらけの天使だなんて呼ばれちゃう心が読める能力を密かに持つ七羽は、ややヤンデレ気味に溺愛してくる数斗の優しい愛に癒される?
【心が読める私に一目惚れした彼の溺愛はややヤンデレ気味です。】『なろうにも掲載』
身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される
絵麻
恋愛
桐島花は父が病没後、継母義妹に虐げられて、使用人同然の生活を送っていた。
父の財産も尽きかけた頃、義妹に縁談が舞い込むが継母は花を嫁がせた。
理由は多額の結納金を手に入れるため。
相手は二十五歳も歳上の、海軍の大佐だという。
放り出すように、嫁がされた花を待っていたものは。
地味で冴えないと卑下された日々、花の真の力が時東邸で活かされる。
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
無表情な黒豹騎士に懐かれたら、元の世界に戻れなくなった私の話を切実に聞いて欲しい!
カントリー
恋愛
「懐かれた時はネコちゃんみたいで可愛いなと思った時期がありました。」
でも懐かれたのは、獲物を狙う肉食獣そのものでした。by大空都子。
大空都子(おおぞら みやこ)。食べる事や料理をする事が大好きな小太した女子高校生。
今日も施設の仲間に料理を振るうため、買い出しに外を歩いていた所、暴走車両により交通事故に遭い異世界へ転移してしまう。
ダーク
「…美味そうだな…」ジュル…
都子「あっ…ありがとうございます!」
(えっ…作った料理の事だよね…)
元の世界に戻るまで、都子こと「ヨーグル・オオゾラ」はクモード城で料理人として働く事になるが…
これは大空都子が黒豹騎士ダーク・スカイに懐かれ、最終的には逃げられなくなるお話。
小説の「異世界でお菓子屋さんを始めました!」から20年前の物語となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる