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★コミンテルンとの闘い★
【対潜水艦戦①】
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翌6日未明。
海軍航空隊は舞鶴の飛行艇航空隊から97式飛行艇と新明飛行艇(前史では二式飛行艇)を日本海での偵察と対潜哨戒行動のために、また鳥取県に新設されたばかりの美保航空基地からは新型の零式陸上攻撃機(前史では一式陸上攻撃機)に、柳生さんが研究者にアドバイスして完成が早まった磁気探知機を装備した対潜哨戒型を黄海と日本海に向かわせた。
07時00分。
日本海を哨戒中の新明飛行艇が朝鮮国鬱陵島ウルルンとうより北北東150kmの海上を南に向け浮上航行中の潜水艦1隻を発見。
25分後に今度は97式飛行艇が竹島付近を浮上航行中の潜水艦2隻を発見したとの報告が入る。
どちらの潜水艦も、日本軍の対潜哨戒機を見て急速潜航をした。
07時35分。
今度は美保基地から出発して対潜哨戒任務についていた零式陸上攻撃機より、対馬北端部より北西20kmの朝鮮海峡を通過中の潜水艦らしき物体を磁気探知機が感知したとの報告が入った。
「やはりソビエトは潜水艦を出しましたか」
阿南が私の顔をチラッと見たあと、永野に言ったあと「攻撃させますか?」と聞いた。
永野は少し考えてから「彼らは公海上を航行しているに過ぎない。ソビエトに宣戦布告を行っていない現状で公海を航行する艦船を攻撃することはできない」と言った。
「それではこちらから潜水艦を攻撃することはできない!」
阿南が珍しく少し強く言い、それに対して永野は冷静に、しかも落ち着いて言った。
「公海上である以上、こちらから攻撃できるのは、潜水艦が魚雷を放ったという確固たる証拠を手に入れたときのみ」だと。
「確固たる証拠と言うのは、つまり魚雷攻撃を受けたあとと言う事ですか?」
「そのとおり」
「しかしそれでは、我々は圧倒的に不利ではないですか!」
ほんの少し間を開けて、永野が阿南に言った。
「だから、彼らを潜らせないようにしなければならい」
「潜らせない……つまりそれは」
「そう。哨戒活動を徹底的に行い、肝心な時に殆ど潜航できる時間を彼らに与えない事と、彼らに作戦の実行が難しいと悟らせる事だ」
「さ、さすが、前連合艦隊司令長官……」
傍で聞いていた薫さんがポツリと言うと、それまで威厳のオーラを放っていた永野局長の雰囲気がガラッと変わり、ただのオッサンのように「だろぉ~! 俺もマダマダ上から下まで現役だ‼ 結城君、君は素晴らしい!よって本日より君を大本営統合作戦本部付中尉に任命する‼」と言った。
その言葉を真に受けたのか、薫さんは「やったぁっ‼」と、子供のように喜んだ。
“酔ったオッサンかよ……”
私は永野の言葉に呆れた。
08時00分。
佐世保から対潜哨戒任務に付いていた第二十七駆逐隊が、零式艦攻と合流し音響探知機ソナーにて2隻の潜水航行中の潜水艦を発見し監視を行う。
08時05分。
呉から対潜哨戒任務に付いていた第十六駆逐隊から、潜航中の潜水艦発見の報告が届く。
同時刻に舞鶴から出た第三十二駆逐隊からも、同様の報告が相次ぐ。
08時10分。
佐世保から出たもう1隊第二十一駆逐隊が、済州島沖25kmの朝鮮海峡を潜航状態で西に進む潜水艦2隻を水中聴音機により補足し、すぐに曳航式の音響探知機による監視に切り替えさせた。
水中調音器による捜索は、こちらの存在を隠す目的もあるが、今は存在を隠すよりもその存在を逆にアピールして相手にプレッシャーを与えたい状況にある。
その場合、音響探知の発信位置は潜航する潜水艦に特定されてしまうが、曳航式の物を用いることで駆逐艦本体と発信源の距離を離し潜水艦に本体の位置を悟られにくい効果がある。
海軍航空隊は舞鶴の飛行艇航空隊から97式飛行艇と新明飛行艇(前史では二式飛行艇)を日本海での偵察と対潜哨戒行動のために、また鳥取県に新設されたばかりの美保航空基地からは新型の零式陸上攻撃機(前史では一式陸上攻撃機)に、柳生さんが研究者にアドバイスして完成が早まった磁気探知機を装備した対潜哨戒型を黄海と日本海に向かわせた。
07時00分。
日本海を哨戒中の新明飛行艇が朝鮮国鬱陵島ウルルンとうより北北東150kmの海上を南に向け浮上航行中の潜水艦1隻を発見。
25分後に今度は97式飛行艇が竹島付近を浮上航行中の潜水艦2隻を発見したとの報告が入る。
どちらの潜水艦も、日本軍の対潜哨戒機を見て急速潜航をした。
07時35分。
今度は美保基地から出発して対潜哨戒任務についていた零式陸上攻撃機より、対馬北端部より北西20kmの朝鮮海峡を通過中の潜水艦らしき物体を磁気探知機が感知したとの報告が入った。
「やはりソビエトは潜水艦を出しましたか」
阿南が私の顔をチラッと見たあと、永野に言ったあと「攻撃させますか?」と聞いた。
永野は少し考えてから「彼らは公海上を航行しているに過ぎない。ソビエトに宣戦布告を行っていない現状で公海を航行する艦船を攻撃することはできない」と言った。
「それではこちらから潜水艦を攻撃することはできない!」
阿南が珍しく少し強く言い、それに対して永野は冷静に、しかも落ち着いて言った。
「公海上である以上、こちらから攻撃できるのは、潜水艦が魚雷を放ったという確固たる証拠を手に入れたときのみ」だと。
「確固たる証拠と言うのは、つまり魚雷攻撃を受けたあとと言う事ですか?」
「そのとおり」
「しかしそれでは、我々は圧倒的に不利ではないですか!」
ほんの少し間を開けて、永野が阿南に言った。
「だから、彼らを潜らせないようにしなければならい」
「潜らせない……つまりそれは」
「そう。哨戒活動を徹底的に行い、肝心な時に殆ど潜航できる時間を彼らに与えない事と、彼らに作戦の実行が難しいと悟らせる事だ」
「さ、さすが、前連合艦隊司令長官……」
傍で聞いていた薫さんがポツリと言うと、それまで威厳のオーラを放っていた永野局長の雰囲気がガラッと変わり、ただのオッサンのように「だろぉ~! 俺もマダマダ上から下まで現役だ‼ 結城君、君は素晴らしい!よって本日より君を大本営統合作戦本部付中尉に任命する‼」と言った。
その言葉を真に受けたのか、薫さんは「やったぁっ‼」と、子供のように喜んだ。
“酔ったオッサンかよ……”
私は永野の言葉に呆れた。
08時00分。
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同時刻に舞鶴から出た第三十二駆逐隊からも、同様の報告が相次ぐ。
08時10分。
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水中調音器による捜索は、こちらの存在を隠す目的もあるが、今は存在を隠すよりもその存在を逆にアピールして相手にプレッシャーを与えたい状況にある。
その場合、音響探知の発信位置は潜航する潜水艦に特定されてしまうが、曳航式の物を用いることで駆逐艦本体と発信源の距離を離し潜水艦に本体の位置を悟られにくい効果がある。
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本日は、その「総決算」を大日本帝国が如何にして完遂し、諸民族に平和を振る舞ったかを記述したいと思う。
城闕崇華研究所所長
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