軌跡 Rev.1

ぽよ

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3章

楽しみ

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「試験まであと2週間かぁ」
「頑張らないとね」
「めんどくさいなぁ」
「わかる」

    仁は友人と昼食を食べていた。大学生とは思えないほどの貧弱な語彙で交わされる会話。そこには友人として培ってきたお互いの信頼があるからこそできる会話があった。
 試験まであと2週間。気合を入れて対策を始めなければ単位を落とすことになりかねない。仁は、気合を入れ直していた。友人との昼食は恙無く進み、解散になろうとしていた。そこで友人が質問を投げかけてきた。

「最近仲良い人、知り合い?」
「まぁね」
「ふーん、そっか」
「うん」
「じゃあ、また四限でな」
「うん」

    まだこの友人にも賢が彼氏であるということは明かしていない。ただ単純にタイミングがないだけだから、その時が来たら明かすことになるだろう。
 賢に話してある通り、今からは研究室に行く。どうやら賢は、恋人ができた話をしているらしい。食堂から少しだけ歩き、研究室へと向かう。

「おじゃましまーす」
「おう、いらっしゃい」
「他の人は?」
「もう1人いるけど、ボスと話してる」
「そっか」

    今の研究室は、賢と仁の2人しかいない。しかし前のような二人だけというわけにはいかないだろう。今日は特に話題があるわけでもない。仁は黙々と勉強していたし、賢は研究資料をずっと読んでいた。特に何を話すわけでもなく時間だけが過ぎていく。気まずい空気になるわけでもない。
 時間が何事もなかったかのように過ぎ去っていく。ふと気づいた時には1時間が経過していた。

「そろそろ行こうかな」
「おっ、了解」
「今日は泊まれないから、また明日大学で!」
「はいよ」

    仁はまた授業へと向かった。賢は、自分が勧めた本を読んでくれていて嬉しかった。また、感想を聞いたりしてみようか。
 仁が恋人になってから、生活が少しだけ変わった。視界が少しだけ明るくなった気がしていた。何気ない日常の中での変化。気付かずに享受してしまっている幸せ。その幸せを、何気ない日常を失わないために、仁と話をしなければ。
 今日はもう直接対面することはないだろうから、また明日だ。今日は気がつけば時間がなくなっていた。もう少し計画的に動くことを覚えた方がいいかもしれないな。俺はもう、一人じゃないから。
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