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交わり
1話
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先輩のことが気になりながらも何もできないまま時間だけが過ぎていく。ゴールデンウィークも過ぎ、梅雨もそろそろ明けて夏真っ盛りという季節まで来ていた。
「莉子ちゃん、今度の休みは暇?」
「ええまぁ、私は基本的に暇ですよ」
「じゃあ、莉子ちゃんの家に行こうかしら」
「え、来ます?」
「あの後輩ちゃんも呼んで?」
「え、大丈夫ですけど」
意図のわからない先輩の提案に戸惑うが、特に困ることがあるわけでもない。忘れないうちに後輩に連絡だけは済ませておいた。
先輩のことが気になって、話題を増やしてオシャレも頑張ってみた。それでも自分が進歩してるという実感を持てなかった。見える景色は日々変わっても、自分は全然変わらない。それが焦りにも変わりつつあった。いっそのこと、それをこの場で相談してみたら、どんな意見がもらえるのだろうか。少しだけ気になった。
「今日の仕事はなんとか定時で終わりそうだし、落ち着いてきたわね」
「1ヶ月前は地獄でしたからね」
「そうよ。本当にそう」
「まぁ、無事終わって安心してます」
5月半ばに始まった唐突な地獄の事務処理。関係各所から来ることもあれば外部から来ることもある。毎日残業ばかりだったが、先輩と2人で頑張ればなんとかなった。なんとかなってしまったという方が正しいかもしれないが。
「夏休みはどこか行くの?」
「一応実家に帰ろうとは思ってます」
「実家どこだっけ」
「まぁそんなに遠くないです」
「遠方とかじゃないんだ」
「えぇ、まぁ」
莉子の実家は一人暮らしの家からそんなに遠くない。どんなに見積もっても30分もあれば帰れる場所にある。しかし、高頻度で帰る理由もなかった。先輩が何を意図してそれを聞いたのか分からなかった。
「私、今気になってる人の実家が遠方なのよ」
「結構遠いんですか?」
「新幹線で3時間くらいかかるわ」
「それは遠いですね」
「コツとかあったら莉子ちゃんに聞こうかなって思ってたのよ」
「なるほど。力にはなれそうにないですね」
先輩は新しい彼氏を作るのかもしれない。先輩は莉子の彼女ではないとは分かっていながらも、どこか心の中ではモヤモヤしていた。そんな気持ちを今伝えるわけにもいかず、しかし心の中では燻っていた。
今日の仕事が終わるまでそんな気持ちを抱えていた。就業のチャイムが鳴って、帰る準備をしている時も、その気持ちは消えなかった。
「お疲れ様です」
「お疲れ様でした。帰る?」
「今日は無事終わったので」
先輩との会話が終わり、更衣室へと歩いていく。先輩と離れたくない気持ちもあったが、いつまでもそんな気持ちを抱えているわけにもいかなかった。
この気持ちと決着をつける方法を見つけたい。しかし、今までの人生経験のどれを見ても答えは見つからなかった。
「あら、なんか考えてるの?」
「え、あ、いや、なんでもないです」
「そう?なら良いんだけど」
後ろから追いかけてきた先輩に気付かず、挙動不審になる。先輩とはロッカーも隣だった。なんでも話せる人が隣でラッキーだった。今はただドキドキする。莉子が着替え終わってから、先輩が着替え終わるのを待つ。最近はそれがいつも通りになりつつあった。
先輩が着替え終わってから更衣室を出て2人で歩く。話題は尽きなかったが、人生相談が多いことも事実だった。それでも先輩は優しく聞いてくれて、いろんなアドバイスをくれた。いろんなことを実践しながら自分が変わっていくのを実感した。
「さて、帰りましょうか」
「はい、帰ります」
会社の門を出て駅へと歩いて行く。いつも見送ってもらっているのだ。申し訳ない気持ちはもちろんあるが、それでも先輩と一緒にいられる時間が増えることは嬉しいことだった。
楽しい時間はいつもすぐに過ぎ去って行く。駅に到着すると、先輩が立ち止まる。
「じゃあ、また明日」
「はい!おつかれさまです」
先輩を見えなくなるまで見送ってから、莉子も駅へと入っていく。寂しいと言う気持ちに駆られるが、明日仕事に行けばまた先輩に会える。どんなに仕事が面倒でも、先輩がいるから大丈夫だと思えた。今まで感じたことのないこの気持ちに、どうやって折り合いをつけるのか、まだ答えは見つかっていなかった。
「莉子ちゃん、今度の休みは暇?」
「ええまぁ、私は基本的に暇ですよ」
「じゃあ、莉子ちゃんの家に行こうかしら」
「え、来ます?」
「あの後輩ちゃんも呼んで?」
「え、大丈夫ですけど」
意図のわからない先輩の提案に戸惑うが、特に困ることがあるわけでもない。忘れないうちに後輩に連絡だけは済ませておいた。
先輩のことが気になって、話題を増やしてオシャレも頑張ってみた。それでも自分が進歩してるという実感を持てなかった。見える景色は日々変わっても、自分は全然変わらない。それが焦りにも変わりつつあった。いっそのこと、それをこの場で相談してみたら、どんな意見がもらえるのだろうか。少しだけ気になった。
「今日の仕事はなんとか定時で終わりそうだし、落ち着いてきたわね」
「1ヶ月前は地獄でしたからね」
「そうよ。本当にそう」
「まぁ、無事終わって安心してます」
5月半ばに始まった唐突な地獄の事務処理。関係各所から来ることもあれば外部から来ることもある。毎日残業ばかりだったが、先輩と2人で頑張ればなんとかなった。なんとかなってしまったという方が正しいかもしれないが。
「夏休みはどこか行くの?」
「一応実家に帰ろうとは思ってます」
「実家どこだっけ」
「まぁそんなに遠くないです」
「遠方とかじゃないんだ」
「えぇ、まぁ」
莉子の実家は一人暮らしの家からそんなに遠くない。どんなに見積もっても30分もあれば帰れる場所にある。しかし、高頻度で帰る理由もなかった。先輩が何を意図してそれを聞いたのか分からなかった。
「私、今気になってる人の実家が遠方なのよ」
「結構遠いんですか?」
「新幹線で3時間くらいかかるわ」
「それは遠いですね」
「コツとかあったら莉子ちゃんに聞こうかなって思ってたのよ」
「なるほど。力にはなれそうにないですね」
先輩は新しい彼氏を作るのかもしれない。先輩は莉子の彼女ではないとは分かっていながらも、どこか心の中ではモヤモヤしていた。そんな気持ちを今伝えるわけにもいかず、しかし心の中では燻っていた。
今日の仕事が終わるまでそんな気持ちを抱えていた。就業のチャイムが鳴って、帰る準備をしている時も、その気持ちは消えなかった。
「お疲れ様です」
「お疲れ様でした。帰る?」
「今日は無事終わったので」
先輩との会話が終わり、更衣室へと歩いていく。先輩と離れたくない気持ちもあったが、いつまでもそんな気持ちを抱えているわけにもいかなかった。
この気持ちと決着をつける方法を見つけたい。しかし、今までの人生経験のどれを見ても答えは見つからなかった。
「あら、なんか考えてるの?」
「え、あ、いや、なんでもないです」
「そう?なら良いんだけど」
後ろから追いかけてきた先輩に気付かず、挙動不審になる。先輩とはロッカーも隣だった。なんでも話せる人が隣でラッキーだった。今はただドキドキする。莉子が着替え終わってから、先輩が着替え終わるのを待つ。最近はそれがいつも通りになりつつあった。
先輩が着替え終わってから更衣室を出て2人で歩く。話題は尽きなかったが、人生相談が多いことも事実だった。それでも先輩は優しく聞いてくれて、いろんなアドバイスをくれた。いろんなことを実践しながら自分が変わっていくのを実感した。
「さて、帰りましょうか」
「はい、帰ります」
会社の門を出て駅へと歩いて行く。いつも見送ってもらっているのだ。申し訳ない気持ちはもちろんあるが、それでも先輩と一緒にいられる時間が増えることは嬉しいことだった。
楽しい時間はいつもすぐに過ぎ去って行く。駅に到着すると、先輩が立ち止まる。
「じゃあ、また明日」
「はい!おつかれさまです」
先輩を見えなくなるまで見送ってから、莉子も駅へと入っていく。寂しいと言う気持ちに駆られるが、明日仕事に行けばまた先輩に会える。どんなに仕事が面倒でも、先輩がいるから大丈夫だと思えた。今まで感じたことのないこの気持ちに、どうやって折り合いをつけるのか、まだ答えは見つかっていなかった。
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