明太子

ぽよ

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交わり

2話

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 休みはすぐにやってきた。いつものように起きて、仕事して、帰宅して家事をしてご飯を食べるだけでその時がやってきた。大したイベントではないとは分かりつつも、この三人で集まるのは久しぶりな気がした。

「お疲れ様です」
「お疲れ様でーす!」
「今週も大変だったわ」

 会社の門の前で集まってから莉子の家を目指す。期間が空いても仲良くできるこの三人の集まりは安心感が違った。莉子と先輩は部署が一緒だが、後輩は部署が違う。仕事中は会うことがほとんどない。ここ最近の忙しさから見ても、それは少しずつ加速していた。しかし、今ここでそれが解消できそうな気がした。
 週末の駅前は、いつもより人が増えていた。三人でその人混みを縫うようにして歩きながら駅の改札へと向かう。駅に入れば人が少なくなり、思っていたよりはるかにスムーズに電車に乗り込む。

「電車通勤って毎日こんな感じなんでしょ?大変だよね」
「慣れればそうでもないですよ」
「私には多分無理だ…」
「今度日曜日泊まって月曜日にやってみればいいんですよ」
「莉子ちゃんとなら行ける気がするわ」

 電車に揺られながら3人で話をする。先輩は普段電車通勤ではない。それだけ会社に近い場所に住んでいると言うことなのだが、莉子にはその方が辛かった。
 最寄駅に着いてから電車を降りて、改札を抜けてから少し歩く。いつもと同じアパートがそこにある。

「ただいま」
「おじゃまします」
「おじゃましまーす」

 いつも通りの片付いた部屋。なんとか2人を呼べる部屋に戻すのは何気に苦労した。そこでふとあることに気付く。

「そういえば、晩御飯の準備してない」
「スーパーにダッシュよ!」
「今から行きましょう!」
「鍋でいいかな」
「大丈夫!」
「それでいきましょう!」

 家の近くのスーパーへと走る。閉店時間は19時。時計を見ると18時だったのでまだ開いているはずだ。3人で駆け込んで必要なものを買う。具材は特に変なものはない。肉と野菜だった。不足しがちなものを食べるには丁度いい。最近適当な食事しかしていなかった莉子には丁度よかった。
 具材と出汁を買って家へと戻る。その間も会話は止まない。各々が話したいことは山ほどあった。

「そういえば望月さんが先輩に会いたいって諦めてないです」
「めんどくさい人だ」
「小倉君も莉子ちゃんに会いたいって言ってたわよ?」
「小倉さんならまぁありですかね」

 あの合コンからはかなりの時間が経っていると思うのだが、それでも諦められない理由が分からなかった。しかし、小倉は相性がいいような気がしていた。会って話をすればまた一つ何か気付くことがあるかもしれない。その意味で会ってみたいという気持ちはあった。
 家に帰って鍋を用意して具材と出汁を用意する。一人暮らし3人組が集まれば食べ始めるまでは遅くなかった。鍋を突きながらまだまだ会話は続いていく。

「彼氏かぁ」
「別に人生で必須ってわけじゃないけど、いたら楽そうよね」
「先輩ってなんかよく分からないところでドライですよね」
「これってドライっていうのかしら」
「多分」
「私は彼氏欲しいです。望月さんはちょっと嫌ですけど」
「あら、そうなんだ」
「仕事はできますけど、プライベートで関わったらめんどくさそうなので」
「そういう片鱗が見え隠れするのね」
「仕事では頼りになるんですけどね」

 苦笑する由佳を見ながら、先輩も見る。先輩に彼氏ができる前、私が彼女になれば、独り占めできるだろうか。でも、先輩は誰からも人気だった。そんな中で私が勝てるだろうかという心配もあった。先輩と幸せになれるかどうかも分からない。自分が求めているものがそこにあるかも分からない。それでも、今は先輩のことが気になっていた。
 ガールズトークに花が咲き、気がつけば外は真っ暗になっていた。時計を見ると23時を回っていた。

「先輩終電ありますか?」
「今日は泊まっていくわ」
「あ、分かりました」
「私も泊まっていきます!」
「いいけど、布団が2枚しか無いのよ」
「じゃあ私は莉子ちゃんと寝ようかな」

 断る理由もないが、なぜか狙われていたような気がする。先輩と由佳は連絡先の交換をしていたことを考えると、案外筒抜けなのかもしれない。しかし、このチャンスを生かさない手はない。
 予定が全部決まった後はお風呂に順番に入って寝る準備を整えていった。まるで修学旅行のようだった。由佳が来客用の布団に入り、莉子と先輩は同じ布団に潜り込んだ。ドキドキしながらも先輩と向かい合う。

「おやすみなさい」
「おやすみなさーい」
「はい、おやすみ」

 今まで正常に動いていたはずの日常の歯車が、少しずつ狂い始めているような気がした。
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