世界で一番遠い場所 Rev.1

ぽよ

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邂逅

変化

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 時刻は18時過ぎ。梨咲は無事5限を終えて家に帰る所だった。駅近とはいえない立地であり、バスが出ている場所でもない。面倒だとは思いつつも歩いて15分ほどの電車の駅に向かっていた。4月は春らしい気候で、半袖に一枚羽織っただけの簡単な服装でも不自由なく生活できた。
 5限終わりの通学路は、授業終わりや、サークルの活動が終わった学生が溢れていた。たまに通過する自動車やバイク、自転車があるとまばらに避ける学生たちが少しだけ不思議な光景に見えた。

「あれ、あの人は」

 そんな日常の中、今日三回目の知人の人影を見た。梨咲より少し前を歩いていて、かなりの学生の数がいるはずなのにその人が判別できた。それは高杉だった。高杉が後ろを振り向かないことを祈りつつ歩く。駅までの道を歩く中で、ふと高杉が振り向く瞬間、何事かと思ったが、特に何もなかったようだ。

「見つからなかった」

 田舎の駅にしては規模が大きく、階段を登るとすぐ近くにコンビニがある。その後改札を抜けてから少しだけ階段を登ればホームになる。電車の本数はそれなりにあって、車両の種類さえ選ばなければ10分に一本は停車する。この時間は学生で溢れかえっていて、梨咲がホームに出る頃には人集りのようになっていた。           
 無事なんとか満員電車には乗ることができた。そのまま家へと帰る。電車で二駅乗れば、梨咲が一人暮らしをしている家の最寄駅だ。そこからさらに15分ほど歩けば梨咲が住んでいるアパートがある。家に帰れば家事が待っている。好きなタイミングで好きなようにできるのだが、それは同時に厄介でもあった。まだ一人暮らしをして間もないと言うのに、たまには誰かが家に来て家事をやって欲しいと思う時がある。そんな時に、ふと頭によぎって口からこぼれ落ちる。

「高杉」

 今日話しかけてきた学生。初対面。身長は少し高めで普通の顔。何を考えているか分からないけれどとりあえず害はなさそうな感じ。梨咲の考えは少しずつまとまっていく。そして、高杉とどうやって関わっていくかも考える。おそらく明日も履修している授業が同じであれば会話することにはなるだろう。友好関係を持つのは苦手だが、高杉ぐらいの距離感ならアリかもしれない。そんな思いが、梨咲に芽生えていた。

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