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「寝取られってあるじゃん」
「何の話?」
「音ゲーの話」
「え?」
何処にでもある3階建てアパート。その一室で、目の前の友人が切り出した。普段から意味不明の男だが、ついに本格的に頭がおかしくなったかもしれない。しかし様子は何処からどう見てもいつも通りのアホ面である。
反応に困りながら残りの缶ビールを呷ると、続きを話し始めた。
「寝取られって、男目線で言えばセックスしか上手くない男に彼女奪われるじゃん?」
「いや詳しくは知らんけど」
「あれがさー、最近分かっちゃったんだよね」
「あぁ、はい」
やはりこいつは頭がおかしい。前から気付いていたが、再認識した。
何を言いたいのかさっぱり分からず無言でつまみを食べる。独身男二人で話す話題というわけでもない。そしていよいよ語る準備ができたのか、目の前の男は口を開いた。
「セックスがうまいだけだし、それでそっちに気持ちが傾くなら自分はそれまでの男だし、彼女もそれまでの人間だったってことって思ってたわけですよ」
「はぁ」
「でも、そこにある快楽があるからこそ、そこから抜け出せなくなるわけですよ」
「はい」
なぜ俺は平日終わりの宅飲みで好みでもない18禁の話をされているんだ。神様。俺が前世でどんな罪を犯したっていうんだ。こんなのあんまりじゃないですか。
俺が心の中で神に祈っていることも露知らず、目の前のバカの語りは止まらない。
「いつもは彼氏でいいけど、時間があるならその男に会いたい。その欲望が彼女を駆り立てるわけですよ」
「はぁ」
「そのまま時が経ったら心も体も奪われてるわけですよ」
「はい」
「っていうのをね、音ゲーで経験するんですよ」
「何の話か忘れてたけどそう言えばそんな話してたね」
そういえばそんな話してたわ。しかし話題の接続面が何処になるかさっぱり分からん。何の話してんのこいつ。
「彼女からすれば普段の平日に行くゲーセンが彼氏な訳よ」
「はぁ」
「で、土日の休みに行くいいゲーセンがその男な訳よ」
「はい」
「普段から行ってるゲーセンだから絶対相性は悪くないし、生活の一部にもなっているはずなのに、休みになると体がそっちに吸い込まれるんだよね」
「はい」
なんか分からんが言いたいことは分からんでもない。こいつの言うことがわかってしまうのが悔しい。
こいつとの付き合いはそれなりに長いが、こいつをこいつたらしてめいるのは、意味不明な言動だと思っていたのに、分かってしまう自分が悔しい。
目の前のバカに少しずつ近づいているかもしれないという事実に直面しながらも話を聞く。
二人とも缶ビールを2本も飲んでいた。珍しいこともあるもんだ。
「で?それで何が言いたかったの?」
「寝取られってこんな感じなんやろなぁって話」
「そんだけかい」
「うん」
神様。俺は前世で前科何犯の犯罪者だったんでしょうか。今世はそんなに悪くない人間として生きてるはずなのに。こんなことってないと思うんです。
目の前のこいつは神様に2度目のお祈りをしていることももちろん知らないまま、宅飲みは続いていく。
「何の話?」
「音ゲーの話」
「え?」
何処にでもある3階建てアパート。その一室で、目の前の友人が切り出した。普段から意味不明の男だが、ついに本格的に頭がおかしくなったかもしれない。しかし様子は何処からどう見てもいつも通りのアホ面である。
反応に困りながら残りの缶ビールを呷ると、続きを話し始めた。
「寝取られって、男目線で言えばセックスしか上手くない男に彼女奪われるじゃん?」
「いや詳しくは知らんけど」
「あれがさー、最近分かっちゃったんだよね」
「あぁ、はい」
やはりこいつは頭がおかしい。前から気付いていたが、再認識した。
何を言いたいのかさっぱり分からず無言でつまみを食べる。独身男二人で話す話題というわけでもない。そしていよいよ語る準備ができたのか、目の前の男は口を開いた。
「セックスがうまいだけだし、それでそっちに気持ちが傾くなら自分はそれまでの男だし、彼女もそれまでの人間だったってことって思ってたわけですよ」
「はぁ」
「でも、そこにある快楽があるからこそ、そこから抜け出せなくなるわけですよ」
「はい」
なぜ俺は平日終わりの宅飲みで好みでもない18禁の話をされているんだ。神様。俺が前世でどんな罪を犯したっていうんだ。こんなのあんまりじゃないですか。
俺が心の中で神に祈っていることも露知らず、目の前のバカの語りは止まらない。
「いつもは彼氏でいいけど、時間があるならその男に会いたい。その欲望が彼女を駆り立てるわけですよ」
「はぁ」
「そのまま時が経ったら心も体も奪われてるわけですよ」
「はい」
「っていうのをね、音ゲーで経験するんですよ」
「何の話か忘れてたけどそう言えばそんな話してたね」
そういえばそんな話してたわ。しかし話題の接続面が何処になるかさっぱり分からん。何の話してんのこいつ。
「彼女からすれば普段の平日に行くゲーセンが彼氏な訳よ」
「はぁ」
「で、土日の休みに行くいいゲーセンがその男な訳よ」
「はい」
「普段から行ってるゲーセンだから絶対相性は悪くないし、生活の一部にもなっているはずなのに、休みになると体がそっちに吸い込まれるんだよね」
「はい」
なんか分からんが言いたいことは分からんでもない。こいつの言うことがわかってしまうのが悔しい。
こいつとの付き合いはそれなりに長いが、こいつをこいつたらしてめいるのは、意味不明な言動だと思っていたのに、分かってしまう自分が悔しい。
目の前のバカに少しずつ近づいているかもしれないという事実に直面しながらも話を聞く。
二人とも缶ビールを2本も飲んでいた。珍しいこともあるもんだ。
「で?それで何が言いたかったの?」
「寝取られってこんな感じなんやろなぁって話」
「そんだけかい」
「うん」
神様。俺は前世で前科何犯の犯罪者だったんでしょうか。今世はそんなに悪くない人間として生きてるはずなのに。こんなことってないと思うんです。
目の前のこいつは神様に2度目のお祈りをしていることももちろん知らないまま、宅飲みは続いていく。
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