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令嬢は、走る。
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ここは王城。
他国からの賓客が集まる舞踏会。第二王子の婚約者である、オードリー・フォン・ペプシ侯爵令嬢もこの舞踏会に参加していた。
淑女たる厳かな装い、アップにした茶色い髪の下に見える項は艶めかしいものがあった。ドレスは婚約者第二王子の瞳の色の緑の爽やかな色合いだ。
だが、その緑の瞳の王子はオードリーの隣にはいなかった。
王子を探して会場内を歩くオードリー。その端々で、不吉な言葉を耳にする。
「婚約破棄を…… 」
「第二王子が…… 」
「真実の愛で…… 」
繋げると『第二王子が、真実の愛で、婚約破棄を。』
婚約破棄と言うことは、婚約している者と婚約を破棄すること。第二王子の婚約者、つまり
(私のことよね!! )
オードリーは悟った。最近第二王子の傍に、真実の愛と称して張り付く男爵令嬢がいた事を。
(でもまさか、そんな…… )
王太子の婚約披露パーティーで、婚約破棄宣言をしようとしているなんてオードリーには信じられなかった。
(いくら、頭が足りないからと言って、それはない…… よね。)
公の場で婚約破棄などせずとも、何処か人のいない静かな場所で婚約破棄をしてもいいはずだ。
(私の矜持が傷つくし、自分も国も傷つく事ぐらい王子なら分かってるはず…… よね。)
オードリーはこめかみを押さえた。何時もの王子を思い出し、不安が胸を支配する。
(一人ならまだしも…… あの男爵令嬢もいるとなると。)
もしかしたらもしかするかもしれない、とオードリーは思った。
(第二王子はどうでもいいが、私と国が傷つくのは困る。これは速やかに対処を考えなくては…… )
オードリーはその場に立ち止まった。
「オードリー。」
(げっ!! )
後ろから第二王子の呼ぶ声が聞こえた。
オードリーは優雅に振り向いて、淑女の礼をとる。
「のー、ダンサン殿下。ご機嫌麗しゅう。」
「うん。」
ダンサンは確かにご機嫌がよかった、隣に可愛らしい男爵令嬢を引き連れている。
(婚約者の私をエスコートせずに、こんな所に誰を連れてきてるんですか。)
婚約者でもなく、他国の賓客を招待しているなか。招待もされてない令嬢を連れ歩くとは頭がおかしいにも程がある。
「オードリー、話があるんだ。」
鼻息荒く、ダンサンは言った。そう言いながら、人の多いい方へと歩き出すのーたりんの二人。
(これは不味い…… )
大勢のいる場所で婚約破棄を披露して笑いを誘うつもりだ。
(この二人が笑われるのは構わないですが、国が、王太子殿下やましてや嫁いで来て下さる令嬢の顔に泥を塗るようなことはできませんわ。)
オードリーはこの婚約破棄を出来ないようにするにはと、考えた。
(ここは政略的撤退ですわ。)
自分がいなければ、いくら阿呆でも婚約破棄を言い出さないだろうとオードリーは考えた。
「オードリー!! 」
オードリーが付いて来ない事に痺れを切らして、ダンサンは振り向いて声をあげた。
周りの者達が自分に注目をするのにダンサンと男爵令嬢は顔をほころばせた。
「ああ~ めまいが~!! 」
わざとらしく大袈裟に、オードリーはその場でふらついてみせた。
虚をつかれて、ダンサンの動きが止まる。
「申し訳ございません殿下、気分が悪いのでお暇させていただきますわ~~ 」
オードリーは、ふらふらと後ろへ後退する。
「えっ、ちょっと待てオードリー!! 話が、!! 」
「ああ~ 気分がすぐれませんわ~!! 」
ふらふらとしながらも、そそくさと出口へ向かう。
「待て、オードリー!! 婚約を、」
「ああ~、苦しい!! 苦しいですわ~!! 」
ふらふらしながらもオードリーは足が早かった。追いかけてくるダンサンと男爵令嬢を振り切り、扉の外に出ると淑女とはあるまじきドレスの裾を巻くり上げ走った。
他国からの賓客が集まる舞踏会。第二王子の婚約者である、オードリー・フォン・ペプシ侯爵令嬢もこの舞踏会に参加していた。
淑女たる厳かな装い、アップにした茶色い髪の下に見える項は艶めかしいものがあった。ドレスは婚約者第二王子の瞳の色の緑の爽やかな色合いだ。
だが、その緑の瞳の王子はオードリーの隣にはいなかった。
王子を探して会場内を歩くオードリー。その端々で、不吉な言葉を耳にする。
「婚約破棄を…… 」
「第二王子が…… 」
「真実の愛で…… 」
繋げると『第二王子が、真実の愛で、婚約破棄を。』
婚約破棄と言うことは、婚約している者と婚約を破棄すること。第二王子の婚約者、つまり
(私のことよね!! )
オードリーは悟った。最近第二王子の傍に、真実の愛と称して張り付く男爵令嬢がいた事を。
(でもまさか、そんな…… )
王太子の婚約披露パーティーで、婚約破棄宣言をしようとしているなんてオードリーには信じられなかった。
(いくら、頭が足りないからと言って、それはない…… よね。)
公の場で婚約破棄などせずとも、何処か人のいない静かな場所で婚約破棄をしてもいいはずだ。
(私の矜持が傷つくし、自分も国も傷つく事ぐらい王子なら分かってるはず…… よね。)
オードリーはこめかみを押さえた。何時もの王子を思い出し、不安が胸を支配する。
(一人ならまだしも…… あの男爵令嬢もいるとなると。)
もしかしたらもしかするかもしれない、とオードリーは思った。
(第二王子はどうでもいいが、私と国が傷つくのは困る。これは速やかに対処を考えなくては…… )
オードリーはその場に立ち止まった。
「オードリー。」
(げっ!! )
後ろから第二王子の呼ぶ声が聞こえた。
オードリーは優雅に振り向いて、淑女の礼をとる。
「のー、ダンサン殿下。ご機嫌麗しゅう。」
「うん。」
ダンサンは確かにご機嫌がよかった、隣に可愛らしい男爵令嬢を引き連れている。
(婚約者の私をエスコートせずに、こんな所に誰を連れてきてるんですか。)
婚約者でもなく、他国の賓客を招待しているなか。招待もされてない令嬢を連れ歩くとは頭がおかしいにも程がある。
「オードリー、話があるんだ。」
鼻息荒く、ダンサンは言った。そう言いながら、人の多いい方へと歩き出すのーたりんの二人。
(これは不味い…… )
大勢のいる場所で婚約破棄を披露して笑いを誘うつもりだ。
(この二人が笑われるのは構わないですが、国が、王太子殿下やましてや嫁いで来て下さる令嬢の顔に泥を塗るようなことはできませんわ。)
オードリーはこの婚約破棄を出来ないようにするにはと、考えた。
(ここは政略的撤退ですわ。)
自分がいなければ、いくら阿呆でも婚約破棄を言い出さないだろうとオードリーは考えた。
「オードリー!! 」
オードリーが付いて来ない事に痺れを切らして、ダンサンは振り向いて声をあげた。
周りの者達が自分に注目をするのにダンサンと男爵令嬢は顔をほころばせた。
「ああ~ めまいが~!! 」
わざとらしく大袈裟に、オードリーはその場でふらついてみせた。
虚をつかれて、ダンサンの動きが止まる。
「申し訳ございません殿下、気分が悪いのでお暇させていただきますわ~~ 」
オードリーは、ふらふらと後ろへ後退する。
「えっ、ちょっと待てオードリー!! 話が、!! 」
「ああ~ 気分がすぐれませんわ~!! 」
ふらふらとしながらも、そそくさと出口へ向かう。
「待て、オードリー!! 婚約を、」
「ああ~、苦しい!! 苦しいですわ~!! 」
ふらふらしながらもオードリーは足が早かった。追いかけてくるダンサンと男爵令嬢を振り切り、扉の外に出ると淑女とはあるまじきドレスの裾を巻くり上げ走った。
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