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みんな、走る。
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「ふぅ、ふぅ、ふっ、」
息を切らして、陛下は走っていた。意識は足より前に進み、時より倒れそうになる。
「うぬぬぬっ…… 運動不足か。」
陛下は唸った。
「ですから、乗馬ぐらいはやられた方が宜しいかと申しました。」
「いざという時の為に、剣の稽古もどうですか? 陛下。」
長年勤める護衛騎士の団長と副官が、陛下に運動を勧める。
自分より少し上の団長に、年下の副官。学生時代からの付き合いなので、人がいない時には砕けた会話もすることはある。
「いざという時に守るのが、我等の仕事だ。」
「団長、守れない時もあるでしょ。ムフフの時とか~ 」
少しイヤラシそうに手を口に持って来る副官。
「ムフフの時か、確かにその時は守れん。ムフフの時に部屋で見ている訳にはいかないからな。」
「ムフフの相手が刺客だったり。ムフフの最中に刺客が天井裏から、こんにちはの時は陛下にも剣の稽古が必要でしょう。」
団長と副官は、何時も鍛えているので走りながらの会話も余裕であった。
「確かにムフフで、護衛が間に合わない時には必要だな。」
「ムフフの為にも、体を鍛えましょう。」
(少し砕け過ぎだろ? ムフフばかり言いやがって、私がムフフしかしてないようじゃないか。)
二人と違ってこの処体を動かすのを渋っていた所為で、息があがる陛下である。
(くそっ、このマントなぜこんなに重いんだ。)
言い様のない怒りを、手に持つマントにあたる。王様用に見た目は豪華な縁にふさ毛をつけていたが、少々の刃を通さないように重甲に出来ていたので重かった。
「ムフフの為に、頑張りましょう。」
「ムフフの安全の為に、身体強化を。」
(ムフフ、ムフフ、言うな!! )
息が乱れる為に声に出せない陛下と、護衛の為に追い抜かせないまま走る三人がいた。
「オードリーは気分が悪いと言っていた、直ぐに追いつくさ ワハハハ。」
正規ルールで走っていた陛下達の耳に聞き慣れた声が聞こえた。オードリーを追って来た、ダンサン殿下と愛しのエリーだ。三人は『あっ』と、立ち止まった。
「そうですわね~ もしかして追い抜いちゃったかも~ 」
「確かにそれもありうる、かしこいな~ 愛しのエリーは。」
「いや~~ん、ダンサンさま~ 」
廊下の真ん中で、アホカップルは楽しそうだ。ちょっと遠いいが、阿呆二人の大きい声は三人に聞こえていた。
「早くオードリーを見つけて、みんなの前で婚約破棄だ!! 」
「みんなに注目されちゃいます~ 」
「当然だ、僕たちは人も羨む真実の愛で結ばれているのだからな!! 」
「いや~~ん、真実の愛です~ 」
二人の会話に絶句する。
「真実の愛は、みんなに披露しなくてはな。」
「みんなに祝福されちゃいます~ 」
「そうだ、祝福は人が多いい方がいい。みんなが祝ってくれるのだ!! 」
(((はぁ!? )))
「私たちの為にみんな集まってくれたのですね~ 」
「ああ、なぜか今日は人が集まっている。神が真実の愛をみんなの前で、披露しろと集めてくださったのだ!! 」
「いや~~ん。神さま、ス・テ・キ 」
「な、何を言っているんだ? ダンサンは。」
「王太子殿下の婚約披露の為の招待客ですよね? 」
「忘れちゃったんじゃないんですか。阿呆だから~ 」
『阿呆だから~ 』
副官の言葉に、陛下と団長も納得する。すっかり、兄の婚約披露パーティーだとはダンサンの頭から消えているのだと納得する。
阿呆だからの一言で。
「どうして、あそこまで阿呆に…… 王太子はちゃんと育っているのに。」
「…… 」
落ち込む陛下の肩に団長は慰めるように手を置いた。
「とっ捕まえなくって、いいんですか~? 」
陛下は副官の言葉に我に返る。
「確保ーー!! 」
「「了解!! 」」
陛下の命令に護衛騎士の二人は真剣な顔で、二人目掛けて走り出す。
「「ぎゃぁあ!! 」」
突然向かってくる護衛騎士に驚いた、阿呆二人は悲鳴をあげて走り出した。
「なぜ、会場の方へ走る!? 」
「明るい所が好きなんでしょう、虫みたいですね~ 」
王子と愛しのエリーは走る。
その後を護衛騎士二人も走る。
そして、マントを抱えた陛下も後を追って走る。
息を切らして、陛下は走っていた。意識は足より前に進み、時より倒れそうになる。
「うぬぬぬっ…… 運動不足か。」
陛下は唸った。
「ですから、乗馬ぐらいはやられた方が宜しいかと申しました。」
「いざという時の為に、剣の稽古もどうですか? 陛下。」
長年勤める護衛騎士の団長と副官が、陛下に運動を勧める。
自分より少し上の団長に、年下の副官。学生時代からの付き合いなので、人がいない時には砕けた会話もすることはある。
「いざという時に守るのが、我等の仕事だ。」
「団長、守れない時もあるでしょ。ムフフの時とか~ 」
少しイヤラシそうに手を口に持って来る副官。
「ムフフの時か、確かにその時は守れん。ムフフの時に部屋で見ている訳にはいかないからな。」
「ムフフの相手が刺客だったり。ムフフの最中に刺客が天井裏から、こんにちはの時は陛下にも剣の稽古が必要でしょう。」
団長と副官は、何時も鍛えているので走りながらの会話も余裕であった。
「確かにムフフで、護衛が間に合わない時には必要だな。」
「ムフフの為にも、体を鍛えましょう。」
(少し砕け過ぎだろ? ムフフばかり言いやがって、私がムフフしかしてないようじゃないか。)
二人と違ってこの処体を動かすのを渋っていた所為で、息があがる陛下である。
(くそっ、このマントなぜこんなに重いんだ。)
言い様のない怒りを、手に持つマントにあたる。王様用に見た目は豪華な縁にふさ毛をつけていたが、少々の刃を通さないように重甲に出来ていたので重かった。
「ムフフの為に、頑張りましょう。」
「ムフフの安全の為に、身体強化を。」
(ムフフ、ムフフ、言うな!! )
息が乱れる為に声に出せない陛下と、護衛の為に追い抜かせないまま走る三人がいた。
「オードリーは気分が悪いと言っていた、直ぐに追いつくさ ワハハハ。」
正規ルールで走っていた陛下達の耳に聞き慣れた声が聞こえた。オードリーを追って来た、ダンサン殿下と愛しのエリーだ。三人は『あっ』と、立ち止まった。
「そうですわね~ もしかして追い抜いちゃったかも~ 」
「確かにそれもありうる、かしこいな~ 愛しのエリーは。」
「いや~~ん、ダンサンさま~ 」
廊下の真ん中で、アホカップルは楽しそうだ。ちょっと遠いいが、阿呆二人の大きい声は三人に聞こえていた。
「早くオードリーを見つけて、みんなの前で婚約破棄だ!! 」
「みんなに注目されちゃいます~ 」
「当然だ、僕たちは人も羨む真実の愛で結ばれているのだからな!! 」
「いや~~ん、真実の愛です~ 」
二人の会話に絶句する。
「真実の愛は、みんなに披露しなくてはな。」
「みんなに祝福されちゃいます~ 」
「そうだ、祝福は人が多いい方がいい。みんなが祝ってくれるのだ!! 」
(((はぁ!? )))
「私たちの為にみんな集まってくれたのですね~ 」
「ああ、なぜか今日は人が集まっている。神が真実の愛をみんなの前で、披露しろと集めてくださったのだ!! 」
「いや~~ん。神さま、ス・テ・キ 」
「な、何を言っているんだ? ダンサンは。」
「王太子殿下の婚約披露の為の招待客ですよね? 」
「忘れちゃったんじゃないんですか。阿呆だから~ 」
『阿呆だから~ 』
副官の言葉に、陛下と団長も納得する。すっかり、兄の婚約披露パーティーだとはダンサンの頭から消えているのだと納得する。
阿呆だからの一言で。
「どうして、あそこまで阿呆に…… 王太子はちゃんと育っているのに。」
「…… 」
落ち込む陛下の肩に団長は慰めるように手を置いた。
「とっ捕まえなくって、いいんですか~? 」
陛下は副官の言葉に我に返る。
「確保ーー!! 」
「「了解!! 」」
陛下の命令に護衛騎士の二人は真剣な顔で、二人目掛けて走り出す。
「「ぎゃぁあ!! 」」
突然向かってくる護衛騎士に驚いた、阿呆二人は悲鳴をあげて走り出した。
「なぜ、会場の方へ走る!? 」
「明るい所が好きなんでしょう、虫みたいですね~ 」
王子と愛しのエリーは走る。
その後を護衛騎士二人も走る。
そして、マントを抱えた陛下も後を追って走る。
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