6 / 18
走る、走る、走る。
しおりを挟む
走る、走る、走る。
ダンサンと愛しのエリーは、逃げる為に走る。追いかける護衛騎士の二人が、二人を捕まえようと走る。
その後を陛下も、走る。
ゴールは、開いた舞踏会会場の扉か?
「結構、早いですね。」
「くっ、会場内に入られたら厄介だ。手前で捕まえないと。」
護衛騎士が足を早めると、追われる二人も足が速まる。追われるものは、藁を持つかむものだろうか。
「なんか、笑ってませんか? 」
「もっと足を早めろ!! 」
どんどんと、ダンサンとエリーが舞踏会会場の扉に近づく。焦る、護衛騎士の二人。
「扉を閉めろ!! 」
扉のから出て来た、先程別れた護衛騎士三人に団長は叫んだ。
三人は咄嗟の事で体が動かず、その隙にダンサン王子と愛しのエリーが護衛騎士の間を駆け抜ける。
「しまっ、た!? 」
と思って、呆然とする団長。
「あれ、れ? 」
副官も、目を見開いた。
会場内に逃げ込むと思ったら、三人の護衛騎士の間を擦り抜けて扉の前を横切り廊下をそのまま走っていった。
護衛騎士三人もびっくり。
「僕の愛しのエリー、頑張るんだ!! 」
「私たち、なぜ追われてるの~? 」
ダンサンはエリーの手を取り、二人は護衛騎士から逃げる為に走っていた。
「なぜ、だろう? 」
ダンサンもなぜ追われているのか、分からず頭を捻った。
「でも、物語の愛の逃避行のようです~ 」
「そうだな、愛の逃避行だな!! 」
二人は『ふふふっ、あはは』と楽しそうに笑い合い、踊るように走る。目の前に開けられた扉と護衛騎士三人、それすら目に入らず素通りして走る、走る。
「あはは、愛の逃避行だ!! 」
「うふふっ、愛の逃避行です~ 」
『愛の逃避行』=手に手を取って、外に逃げる。二人の頭の中は、外に逃げることに傾いていた。
外=庭。
二人は笑いながら、外へと愛の逃避行へ向かった。
「なぜ、会場内に入らなかったのだ? 」
「目立ちたがり屋なのに、」
「笑ってますね…… 」
「か、考えが分かりません。」
団長の言葉に、追うのに加わった三人が応える。
「阿呆だからでしょうか~ 」
「「「「ああ…… 」」」」
副官の答えに、団長と三人の部下は納得と頷いた。
(((((阿呆の考える事は、分からん!! )))))
その場の五人の共通認識であった。
「うふふっ…… 」
「あははは…… 」
その間も、阿呆殿下達は手を繋いで笑いながら廊下を走っている。
「笑ってますね。」
「何が楽しんでしょう? 」
「か、考えが分かりません!! 」
三人の護衛騎士。
「兎に角、外に向かってくれたことは有り難いことだ。」
「そうですね、早く捕まえましょう。」
団長と副官。
「ふぅ、ふぅ、ひい、」
後を追う、陛下。
だが、愛の逃避行の終わりはやってきた。噴水を後ろに、護衛騎士五人に囲まれてしまった。
「ダンサンさま~!! 」
「ああ、僕の愛しのエリー!! 」
二人は体を寄せ合い手を取り合った。
「どうして、僕達を追うのだ!! 」
「私たち、引き離されてしまうのです~ 」
「そんなことはさせないぞ!! 僕達は真実の愛で結ばれているのだからな!! 」
「ダンサンさま~ 」
二人は舞台の役者のように盛り上がった。見つめ合う瞳と瞳、温もりを感じあい抱き合う二人。
噴水が水を吸い上げ、キラキラと灯した明かりに照らされる。
二人にとっては絶好の舞台となっていた。
「「私たちは、離れない!! 」」
「その事は、陛下が決めますので。」
団長は、冷静に対処する。
逃さぬように、周りを護衛騎士が二人を囲っている。
「陛下!! 早く早く、捕まえましたよ!! 」
副官が、闇夜にこっちこっちと手招きをしている。その闇に、
「はぁ…… わ、わかって、おる。ぜぇぜぇ…… 」
息を切らしながら走って来る、陛下。
足はふらふらで、汗だくである。
「あ、パパ上!! 」
「パパ上、言うな!! 父上と呼べ!! 」
ダンサンと愛しのエリーは、逃げる為に走る。追いかける護衛騎士の二人が、二人を捕まえようと走る。
その後を陛下も、走る。
ゴールは、開いた舞踏会会場の扉か?
「結構、早いですね。」
「くっ、会場内に入られたら厄介だ。手前で捕まえないと。」
護衛騎士が足を早めると、追われる二人も足が速まる。追われるものは、藁を持つかむものだろうか。
「なんか、笑ってませんか? 」
「もっと足を早めろ!! 」
どんどんと、ダンサンとエリーが舞踏会会場の扉に近づく。焦る、護衛騎士の二人。
「扉を閉めろ!! 」
扉のから出て来た、先程別れた護衛騎士三人に団長は叫んだ。
三人は咄嗟の事で体が動かず、その隙にダンサン王子と愛しのエリーが護衛騎士の間を駆け抜ける。
「しまっ、た!? 」
と思って、呆然とする団長。
「あれ、れ? 」
副官も、目を見開いた。
会場内に逃げ込むと思ったら、三人の護衛騎士の間を擦り抜けて扉の前を横切り廊下をそのまま走っていった。
護衛騎士三人もびっくり。
「僕の愛しのエリー、頑張るんだ!! 」
「私たち、なぜ追われてるの~? 」
ダンサンはエリーの手を取り、二人は護衛騎士から逃げる為に走っていた。
「なぜ、だろう? 」
ダンサンもなぜ追われているのか、分からず頭を捻った。
「でも、物語の愛の逃避行のようです~ 」
「そうだな、愛の逃避行だな!! 」
二人は『ふふふっ、あはは』と楽しそうに笑い合い、踊るように走る。目の前に開けられた扉と護衛騎士三人、それすら目に入らず素通りして走る、走る。
「あはは、愛の逃避行だ!! 」
「うふふっ、愛の逃避行です~ 」
『愛の逃避行』=手に手を取って、外に逃げる。二人の頭の中は、外に逃げることに傾いていた。
外=庭。
二人は笑いながら、外へと愛の逃避行へ向かった。
「なぜ、会場内に入らなかったのだ? 」
「目立ちたがり屋なのに、」
「笑ってますね…… 」
「か、考えが分かりません。」
団長の言葉に、追うのに加わった三人が応える。
「阿呆だからでしょうか~ 」
「「「「ああ…… 」」」」
副官の答えに、団長と三人の部下は納得と頷いた。
(((((阿呆の考える事は、分からん!! )))))
その場の五人の共通認識であった。
「うふふっ…… 」
「あははは…… 」
その間も、阿呆殿下達は手を繋いで笑いながら廊下を走っている。
「笑ってますね。」
「何が楽しんでしょう? 」
「か、考えが分かりません!! 」
三人の護衛騎士。
「兎に角、外に向かってくれたことは有り難いことだ。」
「そうですね、早く捕まえましょう。」
団長と副官。
「ふぅ、ふぅ、ひい、」
後を追う、陛下。
だが、愛の逃避行の終わりはやってきた。噴水を後ろに、護衛騎士五人に囲まれてしまった。
「ダンサンさま~!! 」
「ああ、僕の愛しのエリー!! 」
二人は体を寄せ合い手を取り合った。
「どうして、僕達を追うのだ!! 」
「私たち、引き離されてしまうのです~ 」
「そんなことはさせないぞ!! 僕達は真実の愛で結ばれているのだからな!! 」
「ダンサンさま~ 」
二人は舞台の役者のように盛り上がった。見つめ合う瞳と瞳、温もりを感じあい抱き合う二人。
噴水が水を吸い上げ、キラキラと灯した明かりに照らされる。
二人にとっては絶好の舞台となっていた。
「「私たちは、離れない!! 」」
「その事は、陛下が決めますので。」
団長は、冷静に対処する。
逃さぬように、周りを護衛騎士が二人を囲っている。
「陛下!! 早く早く、捕まえましたよ!! 」
副官が、闇夜にこっちこっちと手招きをしている。その闇に、
「はぁ…… わ、わかって、おる。ぜぇぜぇ…… 」
息を切らしながら走って来る、陛下。
足はふらふらで、汗だくである。
「あ、パパ上!! 」
「パパ上、言うな!! 父上と呼べ!! 」
13
あなたにおすすめの小説
平民とでも結婚すれば?と言われたので、隣国の王と結婚しました
ゆっこ
恋愛
「リリアーナ・ベルフォード、これまでの婚約は白紙に戻す」
その言葉を聞いた瞬間、私はようやく――心のどこかで予感していた結末に、静かに息を吐いた。
王太子アルベルト殿下。金糸の髪に、これ見よがしな笑み。彼の隣には、私が知っている顔がある。
――侯爵令嬢、ミレーユ・カスタニア。
学園で何かと殿下に寄り添い、私を「高慢な婚約者」と陰で嘲っていた令嬢だ。
「殿下、どういうことでしょう?」
私の声は驚くほど落ち着いていた。
「わたくしは、あなたの婚約者としてこれまで――」
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
日下奈緒
恋愛
アーリンは皇太子・クリフと婚約をし幸せな生活をしていた。
だがある日、クリフが妹のセシリーと結婚したいと言ってきた。
もしかして、婚約破棄⁉
悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜
咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。
もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。
一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…?
※これはかなり人を選ぶ作品です。
感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。
それでも大丈夫って方は、ぜひ。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
公爵令嬢ですが、実は神の加護を持つ最強チート持ちです。婚約破棄? ご勝手に
ゆっこ
恋愛
王都アルヴェリアの中心にある王城。その豪奢な大広間で、今宵は王太子主催の舞踏会が開かれていた。貴族の子弟たちが華やかなドレスと礼装に身を包み、音楽と笑い声が響く中、私——リシェル・フォン・アーデンフェルトは、端の席で静かに紅茶を飲んでいた。
私は公爵家の長女であり、かつては王太子殿下の婚約者だった。……そう、「かつては」と言わねばならないのだろう。今、まさにこの瞬間をもって。
「リシェル・フォン・アーデンフェルト。君との婚約を、ここに正式に破棄する!」
唐突な宣言。静まり返る大広間。注がれる無数の視線。それらすべてを、私はただ一口紅茶を啜りながら見返した。
婚約破棄の相手、王太子レオンハルト・ヴァルツァーは、金髪碧眼のいかにも“主役”然とした青年である。彼の隣には、勝ち誇ったような笑みを浮かべる少女が寄り添っていた。
「そして私は、新たにこのセシリア・ルミエール嬢を伴侶に選ぶ。彼女こそが、真に民を導くにふさわしい『聖女』だ!」
ああ、なるほど。これが今日の筋書きだったのね。
お母様!その方はわたくしの婚約者です
バオバブの実
恋愛
マーガレット・フリーマン侯爵夫人は齢42歳にして初めて恋をした。それはなんと一人娘ダリアの婚約者ロベルト・グリーンウッド侯爵令息
その事で平和だったフリーマン侯爵家はたいへんな騒ぎとなるが…
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる