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落ち着け、落ち着け。
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皆の見守る中、オードリーはダンサンへと婚約破棄宣言を迫られた。
(ちょっと待って、皆の前で宣言するの? )
オードリーは困惑しながらダンサンを見る。ダンサンはきらきらと目を輝かせて、オードリーを見ていた。その隣に同じきらきら目のエリーもいる。
(やめて!! ダンサン、おねだりは!! )
愛犬ラッキーがおやつや遊びの時、おねだりする目をダンサン達はしていた。そして、何時もその目に負けておやつを与えてしまうのだ。
(駄目よ、こんな人前で婚約破棄宣言なんて!! 恥ずかしい!! )
役者のように婚約破棄をしろと言うのかと、オードリーはダンサン達のきらきら目から逃れようと手で顔を覆った。
(それに、彼が見てる。絶対に笑われる、無理、無理よ!! )
オードリーはちらりと、指の隙間からネックスを見た。ネックスは黙って真面目な顔でオードリーを見ていた。
「さあ、オードリー嬢。さっさと宣言して、終わりにしてくれ。」
陛下は促す。
「オードリー、僕はいつでもいいぞ!! 」
ダンサンも促す。
(ちょっと待って、誰か、誰か、止めて!! )
オードリーは、助けを求めて心の中で神に祈った。
「だめです~ このままではいけませんです~ 」
天の助けのように、オードリーの耳に間の抜けた声がした。
「なぜだ? 愛しのエリー。」
「真実の愛さまがいませんです~ 」
「おお、真実の愛は必要だ!! 」
二人はきらきらした目で、見つめ合い頷く。意思疎通が出来てるようだ。
「真実の愛がなければ、婚約破棄ではありませんです~ 」
「そうだ、真実の愛と婚約破棄は何時も一緒だ!! 」
また訳の分からない事を二人は言い出した。皆の目が、護衛騎士の副官に目が行く。
「多分ですが、オードリー嬢の想い人を隣に…… 二人セットで婚約破棄宣言だと言っているのでは。」
「「「なる程…… 」」」
陛下と王太子と、護衛騎士達は納得した。そしてその目が、オードリーの真実の愛の想い人に向かう。
「陛下!! オードリーの想い人とはなんです!? 」
娘の想い人と聞いて、黙っていられない宰相閣下である。
「想い人とは真実の愛さまです~ 」
「真実の愛とは、想い人のことだ!! 」
「ダンサンさまは、真実の愛を邪魔しているのです~ みんなの前で、婚約破棄されるのです~ 」
「悪役令息の僕は婚約破棄をされ、真実の愛で想い人と結ばれるのだ、オードリー。」
「つまり、早く婚約破棄宣言をしてくれと。」
ダンサンとエリーの最後に、通訳が入る。
「「「なる程。」」」
だがその場の者は通訳なくとも、なんとなく分った。
「さあ、真実の愛さま~ オードリーさまのおとなりに~ 」
「そうだオードリー、真実の愛の肩を抱くのだ!! 」
エリーがネックスを引っ張ってオードリーの隣に連れて行こうとする。頑なに動こうとしないネックスをダンサンも背から押した。
「ですから陛下、娘の想い人とはなんですか!! 」
「ええぃ、落ち着け!! 」
「これが、落ち着いていられますか!! 」
テンパっている宰相を陛下は落ち着けと声をかける。
「オードリー嬢が、ダンサンに婚約破棄宣言をしてくれれば総てが終わる。」
「そうです~ オードリーさま~ 真実の愛をみなさまに披露して祝福されるのです~ 」
「そうだ、オードリー婚約破棄をして真実の愛で幸せになるのだ!! 」
「だから、真実の愛とはなんなんですか!! 」
終止符がつかない。
「取り敢えずネックス。オードリー嬢の隣に行け。」
王太子が痺れを切らして、頑なに動こうとしないネックスに命令する。
「殿下、俺は別に、その… オードリーとは幼馴染であって!! 」
「幼馴染です!! おも、想い人とはなんですか!! 」
ネックスとオードリーは、顔を真っ赤にしてわたわたしていた。
「お前か、オードリーの虫は!! 」
「やめて、お父様!! 」
宰相はネックスの襟首を掴み上げた。
『見ていればわかる。』
確かに今の二人を見ていれば、想い合っているのはわかった。だが今までは完璧にその想いを隠して、犬猿の仲と呼ばれていた。
げに恐ろしげは野生の勘である。
(ちょっと待って、皆の前で宣言するの? )
オードリーは困惑しながらダンサンを見る。ダンサンはきらきらと目を輝かせて、オードリーを見ていた。その隣に同じきらきら目のエリーもいる。
(やめて!! ダンサン、おねだりは!! )
愛犬ラッキーがおやつや遊びの時、おねだりする目をダンサン達はしていた。そして、何時もその目に負けておやつを与えてしまうのだ。
(駄目よ、こんな人前で婚約破棄宣言なんて!! 恥ずかしい!! )
役者のように婚約破棄をしろと言うのかと、オードリーはダンサン達のきらきら目から逃れようと手で顔を覆った。
(それに、彼が見てる。絶対に笑われる、無理、無理よ!! )
オードリーはちらりと、指の隙間からネックスを見た。ネックスは黙って真面目な顔でオードリーを見ていた。
「さあ、オードリー嬢。さっさと宣言して、終わりにしてくれ。」
陛下は促す。
「オードリー、僕はいつでもいいぞ!! 」
ダンサンも促す。
(ちょっと待って、誰か、誰か、止めて!! )
オードリーは、助けを求めて心の中で神に祈った。
「だめです~ このままではいけませんです~ 」
天の助けのように、オードリーの耳に間の抜けた声がした。
「なぜだ? 愛しのエリー。」
「真実の愛さまがいませんです~ 」
「おお、真実の愛は必要だ!! 」
二人はきらきらした目で、見つめ合い頷く。意思疎通が出来てるようだ。
「真実の愛がなければ、婚約破棄ではありませんです~ 」
「そうだ、真実の愛と婚約破棄は何時も一緒だ!! 」
また訳の分からない事を二人は言い出した。皆の目が、護衛騎士の副官に目が行く。
「多分ですが、オードリー嬢の想い人を隣に…… 二人セットで婚約破棄宣言だと言っているのでは。」
「「「なる程…… 」」」
陛下と王太子と、護衛騎士達は納得した。そしてその目が、オードリーの真実の愛の想い人に向かう。
「陛下!! オードリーの想い人とはなんです!? 」
娘の想い人と聞いて、黙っていられない宰相閣下である。
「想い人とは真実の愛さまです~ 」
「真実の愛とは、想い人のことだ!! 」
「ダンサンさまは、真実の愛を邪魔しているのです~ みんなの前で、婚約破棄されるのです~ 」
「悪役令息の僕は婚約破棄をされ、真実の愛で想い人と結ばれるのだ、オードリー。」
「つまり、早く婚約破棄宣言をしてくれと。」
ダンサンとエリーの最後に、通訳が入る。
「「「なる程。」」」
だがその場の者は通訳なくとも、なんとなく分った。
「さあ、真実の愛さま~ オードリーさまのおとなりに~ 」
「そうだオードリー、真実の愛の肩を抱くのだ!! 」
エリーがネックスを引っ張ってオードリーの隣に連れて行こうとする。頑なに動こうとしないネックスをダンサンも背から押した。
「ですから陛下、娘の想い人とはなんですか!! 」
「ええぃ、落ち着け!! 」
「これが、落ち着いていられますか!! 」
テンパっている宰相を陛下は落ち着けと声をかける。
「オードリー嬢が、ダンサンに婚約破棄宣言をしてくれれば総てが終わる。」
「そうです~ オードリーさま~ 真実の愛をみなさまに披露して祝福されるのです~ 」
「そうだ、オードリー婚約破棄をして真実の愛で幸せになるのだ!! 」
「だから、真実の愛とはなんなんですか!! 」
終止符がつかない。
「取り敢えずネックス。オードリー嬢の隣に行け。」
王太子が痺れを切らして、頑なに動こうとしないネックスに命令する。
「殿下、俺は別に、その… オードリーとは幼馴染であって!! 」
「幼馴染です!! おも、想い人とはなんですか!! 」
ネックスとオードリーは、顔を真っ赤にしてわたわたしていた。
「お前か、オードリーの虫は!! 」
「やめて、お父様!! 」
宰相はネックスの襟首を掴み上げた。
『見ていればわかる。』
確かに今の二人を見ていれば、想い合っているのはわかった。だが今までは完璧にその想いを隠して、犬猿の仲と呼ばれていた。
げに恐ろしげは野生の勘である。
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