【完結】婚約破棄されかけた令嬢は、走る。

❄️冬は つとめて

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話し合い、話し合い。

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一週間後、オードリー嬢と宰相閣下はとある部屋の陛下の前に呼び出されていた。

護衛騎士を後ろに控えさせ、陛下は二人に話しかける。

「すまんな、色々あって遅くなった。オードリー嬢よ、ダンサンとの婚約解消の事なのだが…… 」
「はい。」
オードリーは嬉しそうに返事をした。子供の頃からの長い婚約が今解消されると思い、嬉しさが隠せられない。
 
何故なら彼女には想い人がいる。秘めたる思いをずっと隠している。想い人に会うと悪態をついて犬猿の仲と言われているが、それは気持ちを隠す為に仕方のない事だった。

(婚約解消できたら、少しは仲良くできる? それとも、もう無理かしら。)
少し悲しそうに目を閉じる。

彼女は別にダンサンを嫌いな訳ではなかった、どちらかと言うと好きな部類に入る。
ただ恋愛感情、いや

(阿呆過ぎて、人とは思えないですもの…… )
元気よく返事はするが話は通じない、笑いながら城の中を走り回っている。

(飼っているラッキーと、同じ行動を取るんですもの……… )
お座りと返事しかできない、愛犬のラッキーと同じダンサンを人として見ることがオードリーにはできなくなっていた。

阿呆犬ラッキー阿呆犬ラッキーにしか、見えない私を許して!! )
例え想い人がいなくても、結婚は絶対に

(無理、無理、無理、なんです。)
そんな愛犬ダンサンに、お似合いの令嬢が現れたのなら喜んで結びつけたい。オードリーは、愛犬ダンサンの幸せを願った。

「すまぬがダンサンが婚約解消を渋っていてな…… 」
「えっ。」
陛下はこめかみを押さえた。
陛下言葉にオードリーの頭の中が一瞬真っ白になった。

「馬鹿な!! ダンサンそちらから婚約破棄を言い出したんですぞ!! 」
オードリーの父親の宰相閣下は声を張り上げた。

「うむ…… それは分かっておる。」
陛下はますますこめかみを押さえた。

「では、どういう事ですか? 」
宰相の問いかけに陛下はオードリー嬢を見つめ返した。

「婚約破棄なのだがな…… 」

バァン!!

「パパ上!! 」
扉を開ける音と共にダンサンが入ってきた。

「パパ上さま~ 」
愛しのエリーも続く。

「父上。」
王太子殿下と、その側近のネックスも入ってくる。

「ダンサン、部屋に入る時は中の者に確認を取れと言っているだろうが。」
「はい!! 」
ダンサンは元気に返事をする。

「あ、オードリーさま~ 」
エリーはオードリーを見つけると前まで近寄る。

「おはようございますオードリーさま~ エリーは元気です~ 」
「おはようオードリー、ダンサンも元気だ!! 」
二人は元気に、オードリーに挨拶をした。

「さあ、オードリー。僕に婚約破棄をしてくれ!! 」
「そうです~、の為に婚約破棄をするのです~ 」
二人はきらきらした目で、オードリーを見つめた。

「「はあっ? 」」
オードリーと父宰相は、呆けた顔で陛下の見る。

「どういう事ですか? 」

「さあ、真実の愛の為に僕を婚約破棄するのだ、オードリー!! 」
「婚約破棄すると、幸せになれるのですわ~ 」

「「はあっ? 」」
二人の言葉に意味が分からなにオードリー父娘親子

「真実の愛を邪魔する、悪役令息を婚約破棄するのです~ 幸せになるのです~ 」
「そうだ、悪役令息の僕を婚約破棄して幸せになるのだオードリー!! 」
やはり二人の言っている言葉が理解できないオードリー父娘親子

「陛下? 」
「通訳!!  」
陛下の声に、護衛騎士の副官が一歩前に出て来る。

「つまりダンサン殿下は、オードリー嬢から自分を欲しいと言っています。」

「婚約破棄をして幸せになるのだ!! 」
「なるのです~~ 」

「オードリー嬢。ダンサンに婚約破棄を宣言してくれないか。」
陛下は頭を押さえて言った。

「私が、婚約破棄を? 」

「オードリー、婚約破棄を!! 」
「みんなの目の前で、婚約破棄です~ 」

「皆の目の前で? 」
その中にはネックスもいて、オードリーを見ていた。

「ダンサンが、婚約破棄でないと納得しないのだ。文面は婚約解消にする、今だけでいい。婚約破棄を宣言してくれ。」
陛下は頭を押さえてオードリーに言った。




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