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護衛騎士達も、走る。
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お菓子をお腹いっぱい食べたエリーは、立ち上がり走った。
「うふふっ、つかまえてみて~ 」
恋人同士の定番お花畑で追いかけっこ、お花畑ではないがエリーは走りたくなった。
「待て~、エリー。」
ダンサンも直ぐに追った、だが見失った。
「あれ? 」
ダンサンは首を傾げた。
そしてエリーを探して城中を走り回った。勿論、護衛騎士である副官も一緒だ。
だが、見つからない。
「ダンサンでしても、見つからないのか? 」
その場にいるフィーリア以外は驚愕した。野生の勘で暗殺者を数多く見つけ出してきたかくれんぼの天才が、見つけられない令嬢とは。
(まさか、新手の間者か? )
陛下達や護衛騎士達が真剣な顔で目配せをしている所に、侍女達がお茶やお菓子を運び込んでくる。フィーリアは場の雰囲気に、目を見張る。
目の前に置かれたお茶に、陛下達は手に取らない。数人の侍女を残して、他の者達は部屋から出ていった。
それでも緊迫した空気は、なくならない。フィーリアは息を飲んだ。
「愛しのエリーは、かくれんぼの天才です!! 」
「いや~~ん、はずかしいです~ 」
エリーを褒めるダンサンの言葉に、彼女は陛下達のテーブルの下からテーブルクロスをめくって現れた。
(((いつの間に!! )))
陛下達が入る前に護衛騎士達は確かに部屋の中を点検した。
誰も、何もなかった筈。
「エリー、み~つけた!! 」
「いや~~ん、見つかってしまいました~ 」
両頬を手で押さえて、体を揺らす。
「君は、何時から此処に? 」
警戒しながら王太子はエリーを見る。
「ずっといましたわ~ みなさまが探している時はベランダに~ 終わったらこの下にかくれましたの~ 」
護衛騎士達はベランダも勿論確認をした、その時はエリーは隣の部屋のベランダにいたのだ。その後、すきを見て部屋のテーブルの下に隠れていたのだった。
「エリーは、森のくまさんにも見つからないの~ 」
(((森の熊!? )))
貧乏貴族のエリーは、森の中によく食べ物を探しに行っていた。
本物の肉食野生動物との遭遇に、気配を消して隠れる技術を無意識に身に着けていた。
「エリーは、かくれんぼの天才だ!! 」
「いや~~ん、ほめられちゃった~ 」
ダンサンに褒められ、エリーは嬉しそうに体をくねくねする。
そこに、緊迫したものは無い。
呆気に取られる中、少し緊張がほぐれフィーリアは目の前のお茶を飲もうと口に運んだ。
「それは飲まないほうがいいのです~ お腹をこわします~ 」
エリーの言葉に、サイオンは咄嗟にフィーリアの手を押さえた。
「関与した者を総てあたらせろ。」
陛下が命を下すと、護衛騎士の団長が指示を出す。
部屋にいた侍女が、護衛騎士の何人かに連れて行かれる。
陛下付の護衛騎士以外は、茶を用意したものや毒見役その他の者を拘束するために走る。
「これは、お腹を壊すものなのかい。」
サイオンは慎重に聞いた。
「わかりませんわ~ でも、食べると体によくないですわ~ エリーにはわかるのです~ 」
「エリーは、凄い!! 」
「いや~~ん、はずかしいですわ~ 」
食い意地の貼ったエリーは、森の中で色々な木の実やキノコを口にしてきた。
そのおかげで、匂いを嗅いだだけで本能的に体に良くないものの区別がつくようになっていた。
「これはだめです~ こっちはいいです~ 」
エリーは、陛下達の目の前でトングでお菓子を分けていく。
「リアの好きな物ばかりだ。」
「サイオン様…… 」
サイオンは歯軋りする。
不安げにサイオンを見つめるフィーリアを抱きしめる。
「おいしいです~ 」
「うん、美味しい!! 」
ダンサンとエリーはいつの間にか、テーブルの前に椅子を持って来て座りお菓子を食べだした。
「食べ物を粗末にすると、バチが当たるのです~ 」
「そうだ、もったいないぞ!! 」
悲しそうに食べられないお菓子を見ながらエリーは呟いた。
「ああ、勿論。フィーリアを害する者には、罰を与える。」
真剣に言うサイオンの言葉に、陛下達も頷いた。
ダンサンとエリーは、美味しくお菓子を口に運んでいた。
後日、エリーが指定した物から毒が検出された。他国の血を王家に入れるなとの、過激派貴族の陰謀だった。
無論、サイオン王太子が指揮を取り、その貴族達を握り潰した。
「うふふっ、つかまえてみて~ 」
恋人同士の定番お花畑で追いかけっこ、お花畑ではないがエリーは走りたくなった。
「待て~、エリー。」
ダンサンも直ぐに追った、だが見失った。
「あれ? 」
ダンサンは首を傾げた。
そしてエリーを探して城中を走り回った。勿論、護衛騎士である副官も一緒だ。
だが、見つからない。
「ダンサンでしても、見つからないのか? 」
その場にいるフィーリア以外は驚愕した。野生の勘で暗殺者を数多く見つけ出してきたかくれんぼの天才が、見つけられない令嬢とは。
(まさか、新手の間者か? )
陛下達や護衛騎士達が真剣な顔で目配せをしている所に、侍女達がお茶やお菓子を運び込んでくる。フィーリアは場の雰囲気に、目を見張る。
目の前に置かれたお茶に、陛下達は手に取らない。数人の侍女を残して、他の者達は部屋から出ていった。
それでも緊迫した空気は、なくならない。フィーリアは息を飲んだ。
「愛しのエリーは、かくれんぼの天才です!! 」
「いや~~ん、はずかしいです~ 」
エリーを褒めるダンサンの言葉に、彼女は陛下達のテーブルの下からテーブルクロスをめくって現れた。
(((いつの間に!! )))
陛下達が入る前に護衛騎士達は確かに部屋の中を点検した。
誰も、何もなかった筈。
「エリー、み~つけた!! 」
「いや~~ん、見つかってしまいました~ 」
両頬を手で押さえて、体を揺らす。
「君は、何時から此処に? 」
警戒しながら王太子はエリーを見る。
「ずっといましたわ~ みなさまが探している時はベランダに~ 終わったらこの下にかくれましたの~ 」
護衛騎士達はベランダも勿論確認をした、その時はエリーは隣の部屋のベランダにいたのだ。その後、すきを見て部屋のテーブルの下に隠れていたのだった。
「エリーは、森のくまさんにも見つからないの~ 」
(((森の熊!? )))
貧乏貴族のエリーは、森の中によく食べ物を探しに行っていた。
本物の肉食野生動物との遭遇に、気配を消して隠れる技術を無意識に身に着けていた。
「エリーは、かくれんぼの天才だ!! 」
「いや~~ん、ほめられちゃった~ 」
ダンサンに褒められ、エリーは嬉しそうに体をくねくねする。
そこに、緊迫したものは無い。
呆気に取られる中、少し緊張がほぐれフィーリアは目の前のお茶を飲もうと口に運んだ。
「それは飲まないほうがいいのです~ お腹をこわします~ 」
エリーの言葉に、サイオンは咄嗟にフィーリアの手を押さえた。
「関与した者を総てあたらせろ。」
陛下が命を下すと、護衛騎士の団長が指示を出す。
部屋にいた侍女が、護衛騎士の何人かに連れて行かれる。
陛下付の護衛騎士以外は、茶を用意したものや毒見役その他の者を拘束するために走る。
「これは、お腹を壊すものなのかい。」
サイオンは慎重に聞いた。
「わかりませんわ~ でも、食べると体によくないですわ~ エリーにはわかるのです~ 」
「エリーは、凄い!! 」
「いや~~ん、はずかしいですわ~ 」
食い意地の貼ったエリーは、森の中で色々な木の実やキノコを口にしてきた。
そのおかげで、匂いを嗅いだだけで本能的に体に良くないものの区別がつくようになっていた。
「これはだめです~ こっちはいいです~ 」
エリーは、陛下達の目の前でトングでお菓子を分けていく。
「リアの好きな物ばかりだ。」
「サイオン様…… 」
サイオンは歯軋りする。
不安げにサイオンを見つめるフィーリアを抱きしめる。
「おいしいです~ 」
「うん、美味しい!! 」
ダンサンとエリーはいつの間にか、テーブルの前に椅子を持って来て座りお菓子を食べだした。
「食べ物を粗末にすると、バチが当たるのです~ 」
「そうだ、もったいないぞ!! 」
悲しそうに食べられないお菓子を見ながらエリーは呟いた。
「ああ、勿論。フィーリアを害する者には、罰を与える。」
真剣に言うサイオンの言葉に、陛下達も頷いた。
ダンサンとエリーは、美味しくお菓子を口に運んでいた。
後日、エリーが指定した物から毒が検出された。他国の血を王家に入れるなとの、過激派貴族の陰謀だった。
無論、サイオン王太子が指揮を取り、その貴族達を握り潰した。
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