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聖女無双。(ぱーとすりぃー)
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ドコッ!!!
地面が揺れた。
「「「きゃあぁぁ!! 」」」
「「「うわあぁぁ!! 」」」
激しい揺れに、その場に令嬢や子息。貴族達が床に崩れ落ちる。
「おのれら、聞くに耐えんわ!! 」
聖女であるアイシアが身体強化魔法を使い、足で地(床)を踏みつけたのだ。激しい揺れに耐えられないものは床に蹲る。立っているのはそんな気がして構えていた、ミスティアと彼女を支える王太子。鍛えている第二王子イルーゾォと、ミラージュ。
聖女アイシアは当然だ。
「男気見せんか、われ!!!! 」
いつの間にか第二王子の懐に入り込んだアイシアは『聖女鉄槌』を顎にアッパーカットを食らわせた。第二王子は真上に飛んだ。
「ちゃんと告らな、思いは伝わらんのじゃ ぼけ!! 」
落ちてきた処を『聖女の一撃』回し蹴りを食らわせる、第二王子は面白いように飛んだ。一直線に王座の近くの天幕にぼふんと、包まれて床に落ちた。
「イルーゾォ様!! 」
ミラージュは飛んで行ったイルーゾォを追いかけようとして、アイシアにいつの間にかガッシっと顔を掴まれた。
「あんたも、『私なんか』と言ってんじゃないよ。」
アイシアはミラージュに強い目を向ける。その強い瞳は優しさに溢れていた。
「あんたは、辺境の者達は、この国を護ったんだ。誇れこそ、蔑まれる事はない。」
ドコッ、と
アイシアは足を踏み鳴らす。
「「「きゃあぁぁ!! 」」」
「「「うわあぁぁ!! 」」」
床が揺れ、崩れ落ちていた貴族達が床に震れふす。上位貴族達ははって、舞踏会会場から出て行った。残ったのは訳が分からない、下位貴族達。
「何も知らず、何もしない者に、文句を言われる筋合いはないわ!! 」
ドコッ、足を踏み鳴らす。
「「「きゃあぁぁ!! 」」」
「「「うわあぁぁ!! 」」」
床が左右に揺れ、下位貴族達も左右に揺れ床にビッタンビッタンと体を打ちつける。
「しかし…… 私の体には…… 」
ミラージュは体に残る傷跡を思い出し目を逸らす。それを許さずアイシアは、強く言う。
「それすら、この国の民を護った誇るべきもの。」
アイシアはミラージュの頭に、コツンと優しく頭をあて『聖女の警め』を与えた。次の瞬間、きらきらと優しい『聖女の慈しみ』が彼女を包む。人知れずミラージュの体に残る傷跡を消していく。
「でも、分かるわ。女の子ですもの。」
アイシアは聖母のように優しく微笑む。ミラージュは緊張の糸が切れたように涙を流した。
「わ、私、私は…… 」
ぼろぼろと、ミラージュの瞳から涙が溢れる。
ドコッと、足を踏み鳴らす。
ぴょんと、第二王子イルーゾォが飛び上がった。無論、聖女の回復魔法で無傷だ。
「われ!! 男気見せな!! 」
アイシアの鋭い叱咤が飛ぶ。
「俺は、ミラージュが好きだ!! 」
イルーゾォが叫んだ。
「戦場で初めて会ったあの日に恋をした!! 美しい戦乙女を見た!! 」
イルーゾォはゆっくりと立ち上がり、ミラージュへと近づいていく。
「ミラージュ以上の美しい乙女は見たことがない!! 頬にできた傷さえも、ミラージュの美しさを彩る一部でしかない。」
立ち尽くすミラージュの前で、イルーゾォは片膝を付く。
「ミラージュに一目惚れをした。父に頼んで、王命で婚姻をお願いした。」
驚くミラージュの右手をそっと握る。
「兄や弟のように見目麗しくない俺だ。告白をしてふられるのが怖かった。」
イルーゾォは縋るようにミラージュを見上げた。
「父に頼み婚姻を迫った。ミラ、君を誰にもとられたくはなかった。」
「イルーゾォ様…… 」
ミラージュは信じられないようにイルーゾォを見下げる。
「情けない俺だ。だがミラを愛している。どうか俺を選んでくれ、ミラージュ。どうか、どうか、俺を。」
「イルーゾォ様。」
祈るようにミラージュの右手に額をつけて、懇願する。
「私で、いいのですか? 私は、普通の令嬢のように「君がいい!! 他の者などいらない、ミラが欲しい!! どうか、俺を選んでくれ!! 」
「イルーゾォさま……… 」
ミラージュは崩れるようにイルーゾォを抱き締めた。
「私も、私も、援軍と駆けつけてくださった、イルーゾォ様に恋をしました。傷物の私が、王命でイルーゾォ様の婚約者に選ばれたことをどれ程喜んだか。」
「ミラ…… 」
顔を上げたイルーゾォにミラージュは微笑む。
「イルーゾォ様には不運でも、私には幸運でした。」
「違う!! 幸運は俺だ!! 俺はミラージュを愛している!! 」
「私もイルを愛してます。私は、イルを、イルーゾォ様を選びます。」
二人は強く強く抱き合った。
何処ともなく、舞踏会会場の外側から窓とか扉から成り行きを見ていた高位貴族達が手を叩いている。
優しく二人を見守っていたアイシアが、振り向いた。下位貴族達は左右に揺らされ、身なりも髪もボサボサになっていた。顔は青ざめ吐き気を催す者もいた。
「国を護った者への誹謗。あんたら、頭冷やしな!! 」
アイシアが右手を上げる。
どばばばばば……と、水が滝のように下位貴族達の頭上から降り注いだ。
「「「「ごめんなさい!! 」」」」
「「「「すみませんでした!! 」」」」
びしゃびしゃに濡れた床に頭をこすりつけて、下位貴族達は謝った。
「アイシア…… 」
「お義姉様。」
姉の声に振り向く。勿論、こちら側は防御魔法で水は弾いている。
「誰が、掃除をするの? 」
「いや~ぁん、お義姉様。今すぐ、風魔法で乾かしますわ~。」
あせ、あせと、風魔法で会場内を乾かし始める。
「アイシア。礼儀作法の再教育ね。」
「いや~ぁん、お義姉様~許して~!! 」
【ぱーとすりぃ、完】
地面が揺れた。
「「「きゃあぁぁ!! 」」」
「「「うわあぁぁ!! 」」」
激しい揺れに、その場に令嬢や子息。貴族達が床に崩れ落ちる。
「おのれら、聞くに耐えんわ!! 」
聖女であるアイシアが身体強化魔法を使い、足で地(床)を踏みつけたのだ。激しい揺れに耐えられないものは床に蹲る。立っているのはそんな気がして構えていた、ミスティアと彼女を支える王太子。鍛えている第二王子イルーゾォと、ミラージュ。
聖女アイシアは当然だ。
「男気見せんか、われ!!!! 」
いつの間にか第二王子の懐に入り込んだアイシアは『聖女鉄槌』を顎にアッパーカットを食らわせた。第二王子は真上に飛んだ。
「ちゃんと告らな、思いは伝わらんのじゃ ぼけ!! 」
落ちてきた処を『聖女の一撃』回し蹴りを食らわせる、第二王子は面白いように飛んだ。一直線に王座の近くの天幕にぼふんと、包まれて床に落ちた。
「イルーゾォ様!! 」
ミラージュは飛んで行ったイルーゾォを追いかけようとして、アイシアにいつの間にかガッシっと顔を掴まれた。
「あんたも、『私なんか』と言ってんじゃないよ。」
アイシアはミラージュに強い目を向ける。その強い瞳は優しさに溢れていた。
「あんたは、辺境の者達は、この国を護ったんだ。誇れこそ、蔑まれる事はない。」
ドコッ、と
アイシアは足を踏み鳴らす。
「「「きゃあぁぁ!! 」」」
「「「うわあぁぁ!! 」」」
床が揺れ、崩れ落ちていた貴族達が床に震れふす。上位貴族達ははって、舞踏会会場から出て行った。残ったのは訳が分からない、下位貴族達。
「何も知らず、何もしない者に、文句を言われる筋合いはないわ!! 」
ドコッ、足を踏み鳴らす。
「「「きゃあぁぁ!! 」」」
「「「うわあぁぁ!! 」」」
床が左右に揺れ、下位貴族達も左右に揺れ床にビッタンビッタンと体を打ちつける。
「しかし…… 私の体には…… 」
ミラージュは体に残る傷跡を思い出し目を逸らす。それを許さずアイシアは、強く言う。
「それすら、この国の民を護った誇るべきもの。」
アイシアはミラージュの頭に、コツンと優しく頭をあて『聖女の警め』を与えた。次の瞬間、きらきらと優しい『聖女の慈しみ』が彼女を包む。人知れずミラージュの体に残る傷跡を消していく。
「でも、分かるわ。女の子ですもの。」
アイシアは聖母のように優しく微笑む。ミラージュは緊張の糸が切れたように涙を流した。
「わ、私、私は…… 」
ぼろぼろと、ミラージュの瞳から涙が溢れる。
ドコッと、足を踏み鳴らす。
ぴょんと、第二王子イルーゾォが飛び上がった。無論、聖女の回復魔法で無傷だ。
「われ!! 男気見せな!! 」
アイシアの鋭い叱咤が飛ぶ。
「俺は、ミラージュが好きだ!! 」
イルーゾォが叫んだ。
「戦場で初めて会ったあの日に恋をした!! 美しい戦乙女を見た!! 」
イルーゾォはゆっくりと立ち上がり、ミラージュへと近づいていく。
「ミラージュ以上の美しい乙女は見たことがない!! 頬にできた傷さえも、ミラージュの美しさを彩る一部でしかない。」
立ち尽くすミラージュの前で、イルーゾォは片膝を付く。
「ミラージュに一目惚れをした。父に頼んで、王命で婚姻をお願いした。」
驚くミラージュの右手をそっと握る。
「兄や弟のように見目麗しくない俺だ。告白をしてふられるのが怖かった。」
イルーゾォは縋るようにミラージュを見上げた。
「父に頼み婚姻を迫った。ミラ、君を誰にもとられたくはなかった。」
「イルーゾォ様…… 」
ミラージュは信じられないようにイルーゾォを見下げる。
「情けない俺だ。だがミラを愛している。どうか俺を選んでくれ、ミラージュ。どうか、どうか、俺を。」
「イルーゾォ様。」
祈るようにミラージュの右手に額をつけて、懇願する。
「私で、いいのですか? 私は、普通の令嬢のように「君がいい!! 他の者などいらない、ミラが欲しい!! どうか、俺を選んでくれ!! 」
「イルーゾォさま……… 」
ミラージュは崩れるようにイルーゾォを抱き締めた。
「私も、私も、援軍と駆けつけてくださった、イルーゾォ様に恋をしました。傷物の私が、王命でイルーゾォ様の婚約者に選ばれたことをどれ程喜んだか。」
「ミラ…… 」
顔を上げたイルーゾォにミラージュは微笑む。
「イルーゾォ様には不運でも、私には幸運でした。」
「違う!! 幸運は俺だ!! 俺はミラージュを愛している!! 」
「私もイルを愛してます。私は、イルを、イルーゾォ様を選びます。」
二人は強く強く抱き合った。
何処ともなく、舞踏会会場の外側から窓とか扉から成り行きを見ていた高位貴族達が手を叩いている。
優しく二人を見守っていたアイシアが、振り向いた。下位貴族達は左右に揺らされ、身なりも髪もボサボサになっていた。顔は青ざめ吐き気を催す者もいた。
「国を護った者への誹謗。あんたら、頭冷やしな!! 」
アイシアが右手を上げる。
どばばばばば……と、水が滝のように下位貴族達の頭上から降り注いだ。
「「「「ごめんなさい!! 」」」」
「「「「すみませんでした!! 」」」」
びしゃびしゃに濡れた床に頭をこすりつけて、下位貴族達は謝った。
「アイシア…… 」
「お義姉様。」
姉の声に振り向く。勿論、こちら側は防御魔法で水は弾いている。
「誰が、掃除をするの? 」
「いや~ぁん、お義姉様。今すぐ、風魔法で乾かしますわ~。」
あせ、あせと、風魔法で会場内を乾かし始める。
「アイシア。礼儀作法の再教育ね。」
「いや~ぁん、お義姉様~許して~!! 」
【ぱーとすりぃ、完】
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めちゃくちゃ爽快で痛快で面白いです✨
完結なのが惜しいです(>_<)
第4王子とか独身の王弟とか現れないかな…
それにしても、聖女強すぎ&かっこよすぎ✨✨✨ ゆるふわ可憐女子な見た目と真逆の最強女子、最高です🎵
完結してますが、思いついたら書いてます。
ฅ/ᐠ。ꞈ。ᐟ\ฅ にゃい。
すっっっごく面白かったです!
⋯⋯アイシア嬢のお相手が見つかるまで続くといいなぁ。とか。とか|外壁| ू‾᷄ω‾᷅)))
「アイシアより強いとなると、勇者か魔王かしら? 」
「そうだな…… 」
(ミスティア。彼女を制御できる君が一番強いよ、とは言えない。)
ぱーとふぉー!は?
まだですかい?(笑)(((o(*゚▽゚*)o)))
漢と書いて聖女と読むシリーズ!
たのしーです!
作者、》考え中《》考え中《》考え中《
ぷしゅ~ぅっ。。。
頭から煙が……
「しっかりしなさい!! 」
ぱっと、アイシアの手にはハリセンが。
ばちーーん!!
「はっ、ここはどこ? 私はだれ? 」
「頭の中が真っ白になったようだ。」
「アイシア…… 」
「お義姉さま違うの〜、気合を入れようと思っただけなの〜〜 」
「あ、ちょうちょう〜 」
「蝶々なんていないわ〜!! しっかりして!! 」
「話は無理だな。」
「そうですね。」
(作者は、話ができないので誤魔化してるわね…… )
「あ、とんぼ…… 」
「トンボなんて、いないわ!! 助けて〜お義姉さま〜!! 」