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籠絡。
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クリスト・タービンは、後輩のセルビィを連れて 校舎内を回っていた。秘密結社に憧れている者とは言え、内容を知る者である。出来るだけ監視をするように と、ビウェル様に言われていたからだ。しかし、後輩のセルビィは とにかく可愛らしかった。見た目は勿論の事、何より性格が可愛らしかった。
先輩の自分を立て、素直に褒めてくれる。クリストを頼ってくれて、彼は庇護よくをかき立てられていた。
「タービン先輩は、この学園を護っているのですね。」
後から、嬉しそうな声がする。そっ と、セルビィはクリストの腕に触れてくる。
「逞しい、腕です。この腕が、学園の平和を 将来は国の平和を 護るのですね。」
振り返得るクリストに、優しく微笑む。
「あ、済みません。黙って、触れてしまって。」
触れていた手を、もう一つの手で包み込む。少し、はにかんだ瞳を向ける。
「い、いや、気にしなくていい。」
「ありがとうございます。」
微笑む。
(何だ、この可愛い少年は。だ、男色か。この少年なら、いいかも。)
クリストは、セルビィを見る。憂いを帯びた綺麗な顔に、抱き締めたら折れそうな細身の体。これ程綺麗な者は、女性でも少ない。
(何より、自分に好意を持っている。)
クリストは鼻息荒く、制服を直した。
「クリスト先輩。」
名前を呼ばれて、クリストは目を見開いた。
「あ、済みません。馴れ馴れしかった、ですね。」
哀しそうに、目を伏せる。
「いや、いい。名前で、呼んでくれて。いい。」
「本当に、いいんですか? 馴れ馴れしい、後輩だと 思いませんか? 」
片手で口を押さえて、上目遣いでクリストを見る。
クリストは、真っ赤になりながら 頷いた。
「では、僕も。セルビィ と、お呼び下さい。」
はみかむ。
「セ、セルビィ様。」
「はい。」
セルビィは、頰を染める。
「クリスト 先輩。」
(な、何だ。この、恋人同士の会話は。やはり、セルビィ様は 自分事を。)
「クリスト先輩は、学園の構造を 総て 把握されているのですか? 」
「セルビィ様? 」
「あ、興味本位で聞く物では 有りませんね。」
セルビィは、目を反らした。
「いくらクリスト先輩 でも、総てを把握する事なんて 無理 ですよね。」
「そんな事は、ない。自分は、この学園の構造を総てを把握している。」
「凄いです。流石は、クリスト先輩。では、隠し通路とか? 」
「勿論です。」
セルビィは きらきら した目でクリストを見る。
そして、目を反らした。
「駄目てすね。僕なんかに、秘密の通路など 教えて貰える筈はないのに。」
「セルビィ様。大丈夫です、教えてあげましょう。」
セルビィは首を振って、見せる。
「駄目です。僕は、秘密を共有する程の 仲間でないです。」
「もう、セルビィ様は。我々の仲間です。」
「でも、僕は非力で 何も出来ません。」
「秘密を、護ってくれているではないですか。」
「其れは、」
セルビィは、顔を伏せる。
「立派な仲間です。」
「はい。」
セルビィは、微笑んだ。瞳に、溜まった涙が弾けて きらきら と、輝いていた。
セルビィは、ロット・ナバーラの後で沈んでいた。其れは、見るに耐えられぬ程に。
「どうかなさいましたか? セルビィ様。」
「あ、済みません。気にしないで、下さい。ナバーラ先輩。」
何かを、考え込む様に目線を反らす。
「何か、心配事でも? 」
「大丈夫です、些細な事です。有難う御座います。」
気丈に振る舞う。
「そうですか。」
ロットは、気になっていた。
生徒会の作業が終わり、部屋を出る。帰る途中の廊下に、外を見て佇むセルビィの姿を発見する。かなり前に帰った筈なのに、まだ残っているのかとロットは 声を掛けた。
「セルビィ様。」
驚いたように、振り向く。
「あ、もう。そんな時間、なのですね。」
「やはり、何か悩み事でも? 」
「ロット 様。」
何かを言いたそうに、目を見る。そして、反らす。
「セルビィ様。」
「実は、以前生徒会で紹介して貰って。また、仕事をお願いするのは おこがましいのですが。」
意を決して、話し出す。
「お仕事ですか。」
「はい。」
哀しい目を、向ける。
「前の この地の 孤児の者とは違い、今度は豪の者なのです。」
声が、小さくなる。
「この王都に、豪の者の仕事など 無いに等しくて。」
「そうですか。」
「僕の、ランドール公爵家の名など 無いに等しくて。」
目に、涙が溜まる。
「余りにも、不甲斐ないです。」
セルビィの頰に、涙が伝う。
その美しさに、ロットは息を呑む。
「私が、力になりましょう。」
「ロット様が。」
縋る様に、ロットを見る。
「でも、前の者とは違い 豪の者ですよ。」
潤んだ瞳に、引き寄せられる。
「大丈夫です。ビウェル様にも、お願いして見ましょう。」
「フレックス様に。」
セルビィは、手を合わせる。
「其れは、有り難いです。侯爵の肩書きが有れば、仕事など幾らでも有りましょう。」
セルビィは そっ と、ロットの耳に囁いた。
「でも、僕。フレックス様が、怖くって。」
ロットは、目を見開いた。
「私もです。」
「ロット様も、ですか? 」
セルビィは、花綻ぶ様に嬉しそうに笑う。ロットも吊られて、笑った。
「でも、フレックス様の右腕であるロット様なら。僕が、お願いするより 聞いて下さるでしょう。」
「右腕。」
「はい。」
セルビィはロットの両手を きゅっ と、で掴んだ。
「お願いします、ロット様。僕に、力を貸して下さい。」
上目遣いで、ロットを見詰める。縋る様な瞳で。
ロットは、先程のセルビィの綻ぶ様な笑顔を思い出す。あの笑顔が、もう一度見たいと。
「任せて下さい、セルビィ様。」
その言葉を聞いて、セルビィは先程の花が綻ぶ様な笑顔をロットに、向けた。
先輩の自分を立て、素直に褒めてくれる。クリストを頼ってくれて、彼は庇護よくをかき立てられていた。
「タービン先輩は、この学園を護っているのですね。」
後から、嬉しそうな声がする。そっ と、セルビィはクリストの腕に触れてくる。
「逞しい、腕です。この腕が、学園の平和を 将来は国の平和を 護るのですね。」
振り返得るクリストに、優しく微笑む。
「あ、済みません。黙って、触れてしまって。」
触れていた手を、もう一つの手で包み込む。少し、はにかんだ瞳を向ける。
「い、いや、気にしなくていい。」
「ありがとうございます。」
微笑む。
(何だ、この可愛い少年は。だ、男色か。この少年なら、いいかも。)
クリストは、セルビィを見る。憂いを帯びた綺麗な顔に、抱き締めたら折れそうな細身の体。これ程綺麗な者は、女性でも少ない。
(何より、自分に好意を持っている。)
クリストは鼻息荒く、制服を直した。
「クリスト先輩。」
名前を呼ばれて、クリストは目を見開いた。
「あ、済みません。馴れ馴れしかった、ですね。」
哀しそうに、目を伏せる。
「いや、いい。名前で、呼んでくれて。いい。」
「本当に、いいんですか? 馴れ馴れしい、後輩だと 思いませんか? 」
片手で口を押さえて、上目遣いでクリストを見る。
クリストは、真っ赤になりながら 頷いた。
「では、僕も。セルビィ と、お呼び下さい。」
はみかむ。
「セ、セルビィ様。」
「はい。」
セルビィは、頰を染める。
「クリスト 先輩。」
(な、何だ。この、恋人同士の会話は。やはり、セルビィ様は 自分事を。)
「クリスト先輩は、学園の構造を 総て 把握されているのですか? 」
「セルビィ様? 」
「あ、興味本位で聞く物では 有りませんね。」
セルビィは、目を反らした。
「いくらクリスト先輩 でも、総てを把握する事なんて 無理 ですよね。」
「そんな事は、ない。自分は、この学園の構造を総てを把握している。」
「凄いです。流石は、クリスト先輩。では、隠し通路とか? 」
「勿論です。」
セルビィは きらきら した目でクリストを見る。
そして、目を反らした。
「駄目てすね。僕なんかに、秘密の通路など 教えて貰える筈はないのに。」
「セルビィ様。大丈夫です、教えてあげましょう。」
セルビィは首を振って、見せる。
「駄目です。僕は、秘密を共有する程の 仲間でないです。」
「もう、セルビィ様は。我々の仲間です。」
「でも、僕は非力で 何も出来ません。」
「秘密を、護ってくれているではないですか。」
「其れは、」
セルビィは、顔を伏せる。
「立派な仲間です。」
「はい。」
セルビィは、微笑んだ。瞳に、溜まった涙が弾けて きらきら と、輝いていた。
セルビィは、ロット・ナバーラの後で沈んでいた。其れは、見るに耐えられぬ程に。
「どうかなさいましたか? セルビィ様。」
「あ、済みません。気にしないで、下さい。ナバーラ先輩。」
何かを、考え込む様に目線を反らす。
「何か、心配事でも? 」
「大丈夫です、些細な事です。有難う御座います。」
気丈に振る舞う。
「そうですか。」
ロットは、気になっていた。
生徒会の作業が終わり、部屋を出る。帰る途中の廊下に、外を見て佇むセルビィの姿を発見する。かなり前に帰った筈なのに、まだ残っているのかとロットは 声を掛けた。
「セルビィ様。」
驚いたように、振り向く。
「あ、もう。そんな時間、なのですね。」
「やはり、何か悩み事でも? 」
「ロット 様。」
何かを言いたそうに、目を見る。そして、反らす。
「セルビィ様。」
「実は、以前生徒会で紹介して貰って。また、仕事をお願いするのは おこがましいのですが。」
意を決して、話し出す。
「お仕事ですか。」
「はい。」
哀しい目を、向ける。
「前の この地の 孤児の者とは違い、今度は豪の者なのです。」
声が、小さくなる。
「この王都に、豪の者の仕事など 無いに等しくて。」
「そうですか。」
「僕の、ランドール公爵家の名など 無いに等しくて。」
目に、涙が溜まる。
「余りにも、不甲斐ないです。」
セルビィの頰に、涙が伝う。
その美しさに、ロットは息を呑む。
「私が、力になりましょう。」
「ロット様が。」
縋る様に、ロットを見る。
「でも、前の者とは違い 豪の者ですよ。」
潤んだ瞳に、引き寄せられる。
「大丈夫です。ビウェル様にも、お願いして見ましょう。」
「フレックス様に。」
セルビィは、手を合わせる。
「其れは、有り難いです。侯爵の肩書きが有れば、仕事など幾らでも有りましょう。」
セルビィは そっ と、ロットの耳に囁いた。
「でも、僕。フレックス様が、怖くって。」
ロットは、目を見開いた。
「私もです。」
「ロット様も、ですか? 」
セルビィは、花綻ぶ様に嬉しそうに笑う。ロットも吊られて、笑った。
「でも、フレックス様の右腕であるロット様なら。僕が、お願いするより 聞いて下さるでしょう。」
「右腕。」
「はい。」
セルビィはロットの両手を きゅっ と、で掴んだ。
「お願いします、ロット様。僕に、力を貸して下さい。」
上目遣いで、ロットを見詰める。縋る様な瞳で。
ロットは、先程のセルビィの綻ぶ様な笑顔を思い出す。あの笑顔が、もう一度見たいと。
「任せて下さい、セルビィ様。」
その言葉を聞いて、セルビィは先程の花が綻ぶ様な笑顔をロットに、向けた。
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