悪役令嬢の弟。

❄️冬は つとめて

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やっぱり、欲しいな。

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開けた大通り、行き交う人々。大きな商家の店前で。
アランは片手を上げて、キメポーズをする。
「ジャック・ネルソン!! ここに、アラン・フォン・オーストが。お前を、国家反逆罪として糾弾する。」
この商店は、人気の商店であり客も 多かった。客や外を通る人々も、何事かと立ち止まり 見ている。
八人の騎士を引き連れた、貴族四人は目立っていた。

「はぁ? 」
四人の若い貴族を、相手にしていた老紳士はため息交じりの返事をした。

「貴方は、神の意にも背いたのです。」
「数々商店を、虐めて至ってな。」
「国家に、難癖を付けるのは反逆に価します。」
「故に、このアラン・フォン・オーストが。ジャック・ネルソン、お前を国家反逆罪として糾弾する。」

「はぁ。」
老紳士は、再びため息交じりの返事をする。
セルビィも、仲間と思われたくないので 三歩処か十歩程距離を取った。

具体的な罪の内容も言わず、ただ国家反逆罪と叫いている若い貴族達に 人々は頭を捻っていた。
(いい、恥さらし です。)

「申し訳、御座いません。」
老紳士が、頭を下げた。
「素直に、見留めるとは殊勝である ネルソン。」
アランは、偉そうに言う。
「申し訳、御座いません。ネルソン様は、主人は。今、留守に成されております。」
再び、老紳士は頭を下げた。
「何!? お前が、ジャック・ネルソンではないのか!? 」
(ん、阿呆様です。)
セルビィは、アラン以外の驚いている三人を見る。
(下調べ位、して下さい。ジャック・ネルソンは、三十代の勢いある商人です。)
セルビィは、もっと 離れたく成っていた。
「クソッ!! 私を騙したな!! 」
「私達を、騙すとは。天罰が、下りますよ。」
「身代わりを立てるなど、姑息ですね。」
「ははは、俺達が 怖いか。」
セルビィは、耳を塞ぎたく成った。
(阿呆です、阿呆様 過ぎます。)
セルビィが目を反らすと、店の端の所に立っているナルトと目があった。
満面に笑みを、ナルトはセルビィに向けている。
頰を膨らませ、セルビィはナルトに目を向ける。
(覚えて、置いて下さい。)


「きゃあ!! 」
セルビィが、目を離している内にアランが連れて来た騎士達が店の中に乱入していた。
ジャック・ネルソンを、探しているいる様だ。乱暴に店員を脅し、店の物を壊している。騎士として、有るまじき態度だ。
「さっさと、ネルソンを出せ!! 」
「ですから、主人は用があって 暫くは戻りません。」
胸ぐらを騎士に捕まれる老紳士の横でアランは、叫ぶ。

(チンピラ、です。)

セルビィには、珍しく哀しい目をナルトに向ける。
此には、流石にナルトも哀れに思った。

(遅い、ですね。)
セルビィは、祈るように手を合わせる。

「此は、何事だ。」
馬の足音と共に、渋い声が聞こえた。騎乗した、銀髪に琥珀色の瞳の渋面が眼光鋭く見下ろしている。
彼の後に、十人程の憲兵が控えている。紺の詰め襟の制服を着て、腰に細い剣を刺している。
「騎士の様な格好のチンピラが、店に迷惑を掛けているのか。」
「その様で、フレックス様。」
「捕らえろ。」
「はっ。」
連携の取れた憲兵達に、チンピラの騎士は次々と捕縛されていく。
「待て、フレックス侯爵。そいつらは、私の護衛だ。」
「護衛? 」
馬の上から、見下げる。
「そうだ、この私。アラン・フォン・オーストの。」
アランは、胸を張っている。顔だけは良いので、喜劇役者に見える。
「護衛が、これ程弱い筈は無いだろう。」
「此奴らは、血筋正しい名門の騎士だ!!」
レイモンドが、叫んだ。
「名門? 血筋? 何を言っている、餓鬼。」
「俺は、餓鬼ではない。レイモンド・バッカーダだ。公爵家だ!! 」
「黙れ、餓鬼。」
蔑む目で、名門と言われるチンピラ騎士を見下げる。
「騎士とは、武道、礼節を積んだ者を言う。弱き民に、暴力を振るう者は、チンピラだ。」
「弱き民では、無い。彼等は、神に反する者です。」
「頭の可笑しいのが、いるか。」
「失礼ですね。私は、シモン・アンポータン。アンポータン公爵が子息です。」
「では。いったい、彼等は何をしたと? 」
「其れは、」
シモンは、押し黙った。
「彼等は国家に、難癖を付ける者達なのですよ。」
「なんだ、もう一人 可笑しなのがいるな。」
鼻で笑う。
「頭を下げない!! 私は、エリック・トーンマ。公爵家の者です。貴方より、爵位は上です。」
「そうだ!! 私は、アラン・フォン・オースト。この国の王太子だ!! 頭が、高い。馬を下りろ。」
駄々をこねる子供の様に、地団駄を踏んでいる。
「王太子殿下が、こんな処にいる筈は 無いだろう。」
「なっ!! 」
「騎士風の弱いチンピラを連れて、商家にいちゃもんを付けている王太子殿下など いるわけが無い。」
ゲスを見る様な目で、アラン達を見下げる。
「き、貴様!! 王太子である、私に対して不敬だぞ!! 」
顔を真っ赤にして、アランは叫んでいた。
その経緯を、セルビィは うっとり した顔で見ている。

(やっぱり、欲しいな。)

アランから、目を反らしたフレックス侯爵はセルビィと目があった。セルビィは、極上の微笑みを彼に見せる。
ぞくり と、フレックス侯爵の背に冷たいモノが走った。
漆黒の髪に、漆黒の瞳。天使の笑顔が、フレックス侯爵を見詰める。
「セルビア・ランドール? 」
フレックス侯爵は、呟いた。
あの姿は、聡明なセルビア嬢に見えた。だが、セルビア嬢は あの様な笑顔をしない。
だとすると、弟の
「セルビィ・ランドール? 」
何故か、黒曜石の瞳から目が離せない。長年の経験が、危機感が肌を駆け巡る。
「馬鹿が。」
フレックス侯爵は、息子のビウェルを頭に浮かべた。
「何が、ドジな不思議な少年だ。あれは、」
天使の下に隠れている、ものに魅入られた様に フレックス侯爵の体は金縛りに遭ったように動かなかった。
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