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秋学期最後の日。
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秋学期最後の終業式。
学生達は、朝から舞踏会の準備で大変だった。
開始の挨拶は、何時もながら王太子であるアランが行うことに成っている。その前に、セルビアのエスコートが有る。
舞踏会の開始前になり、次々に美しく着飾った令嬢達が会場に集まってくる。勿論、パートナーを引き連れて。
アラン達も礼装を着て会場前の階段で、セルビア達が来るのを今か今かと待っていた。
普通は令嬢の屋敷まで赴き、その場からエスコートに入るのだが。アラン達はセルビィに、
「会場で、お待ち下さい。姉様達を、驚かせましょう。」
と、言われたからだ。
「何時もの様に、現れない婚約者。姉様は哀しい思いをするでしょう。」
「それは、」
アラン達は気まずそうに黙った。婚約をしてから、令嬢達をエスコートした覚えは無かった。
「姉様達は、馬車の中で哀しみに暮れるでしょう。」
アラン達は、今まで令嬢達を無視し続けて来た。
セルビィの言葉に、居心地の悪い物を感じた。
「でも、会場に着いて馬車の扉が開くと 其所にアラン王太子殿下達が。」
セルビィが大袈裟に言う、アラン達も其れを想像する。
「姉様達は、驚きと感激の余り 涙する事でしょう。」
セルビィは しみじみと、頷く。
「まるで、一枚の絵の様に 目に浮かびます。」
「そ、そうか。セルビアは、感動の余り涙するか。」
「はい。心細い処に、殿下が現れるのですから。」
セルビィは、微笑む。
「アイリーンは、私のエスコートに驚くのですね。」
「はい。夢にまで見た、エスコートですから。」
セルビィは、頷く。
「テレジアは、哀しみに暮れているのですか。」
「はい。神に、救いを求める程に。」
セルビィは、祈りを捧げる様に手を組んだ。
「リリアナは、俺に惚れてるな。」
「はい。愛する人を、日々思っています。」
セルビィは、笑った。
セルビアが驚き、目に涙を浮かべる姿を思う。
「そうか、感動するか。」
「サプライズと、言う事ですね。」
「辛いことの後は、喜びが倍増すると聞きました。」
「驚いた顔も、可愛いだろう。」
「アラン王太子殿下。このセルビィが、姉様達を必ず連れて参ります。」
アラン達は、セルビィの言葉を信じた。
そして、会場の前で令嬢達が来るのを、今か今かと待っていた。
令嬢達を迎えに行った王家の馬車が、目の前に停まった。扉を開ける使用人を待てずに、アランは自ら馬車の扉を開けた。セルビアの驚く、顔を見ようと。
「セルビア!! 」
誰も、乗っていなかった。
いや、男が一人乗っていた。男は馬車を降り、恭しくアラン達に頭を下げた。
「誰だ!? 貴様は!! 」
「お初にお目に掛かります。私は、セラム・ランドールの副官のボルトと言います。」
「セルビアは、如何した? 」
ボルトは、困ったように微笑んだ。
「実は、倒れまして。」
「何!! セルビアが!? 」
「いえ、セルビィ様が。」
ボルトは、目を反らした。
「セルビィが!? 」
「そう言えば、体が弱いと。」
「確かに、領地で療養していたと。」
「虚弱体質だったな。」
アラン達は、令嬢達が言っていた事を思い出した。
そんな素振りは、一切 見られなかったが。
「はい。それで、セラム様と令嬢達は取り乱し。此方に来られる状態では、有りません。」
頭を下げる。
「それ程までに、セルビィは悪いのか!? 」
アランが、神妙そうに聞く。
「いえ、単なる暑気あたりです。」
(本当は、知恵熱だが。)
ボルトは、淡々と応える。
「暑気あたりで、取り乱すのか? 」
エリックは、眼鏡を掛け直した。
「セラム様と令嬢達は、セルビィ様をこよなく愛されております故。」
頭を下げる。
「それ程までに、取り乱しているのか? 」
シモンは、馭者に聞いた。
「は、はい。セラム様は、阿鼻叫喚と化し。令嬢達は、この世の終わりのように 涙していました。」
「それ程までに、セルビィを思っているのか。」
レイモンドは、声に出した。アラン達は、セルビィを羨ましく思った。
四人は、目を合わせ頷く。
「馭者よ。私達を連れて、ランドール家へ 運べ。」
「は、はい。」
馭者は、恐縮した。
「見舞いには、及びません。」
ボルトが、アラン達に声を掛ける。
「御自分の所為で、令嬢達を此方に越させる事が出来なかったうえに。王太子殿下が、見舞いに来られれば。セルビィ様は、恐縮の余り もう顔を出す事も、憚れましょう。」
ボルトは、深く頭を下げた。
「だが、」
「何事、ですか? 」
白い聖衣を身に着けた、男が現れた。
「父上。」
「シアン。」
シアンは、黒に近い濃い茶色の髪のボルトを見下し。
「殿下、この者が 何か? 」
ボルトは、頭を下げる。
「セルビィが、倒れたそうだ。セルビアが、来られなく成った様なのだ。」
アランは、シアンに言った。
「それは、良好。神が黒き民を、公の場に出すのを拒んでいるのでしょう。」
シアンは、微笑んだ。
「父上、テレジアは私の婚約者です。」
父の言葉に、シモンは言い返した。
「それは、形だけの飾りでしかない。決して、私達 高貴な者と血が混ざる事は許されません。」
シアンは息子共々アラン殿下達に、言って聴かせる。
「令嬢達は、豪の者が私達に差し出した 供物です。その事は、お忘れないように。」
シアンは、心の底からそう言った。
「さあ、参りましょう。私達が、居なければ 何も始まらないのです。」
シアンは、ボルトの存在さえも無い物としてアラン達を連れて 会場内へ入っていった。
ボルトは、頭を下げたまま唇を噛んだ。
(何が、供物だ。)
拳を、握り締める。
(人質同様、婚約を決めた癖に。)
ボルトは、煮えくり返る思いを我慢した。
(セーラー。セルビア達を、君の様にしない。)
今は亡き、愛しい人を思う。
ボルトは、熱い思いを息と共に吐いた。
そして、顔を上げて背筋を伸ばして 踵を返えした。
学生達は、朝から舞踏会の準備で大変だった。
開始の挨拶は、何時もながら王太子であるアランが行うことに成っている。その前に、セルビアのエスコートが有る。
舞踏会の開始前になり、次々に美しく着飾った令嬢達が会場に集まってくる。勿論、パートナーを引き連れて。
アラン達も礼装を着て会場前の階段で、セルビア達が来るのを今か今かと待っていた。
普通は令嬢の屋敷まで赴き、その場からエスコートに入るのだが。アラン達はセルビィに、
「会場で、お待ち下さい。姉様達を、驚かせましょう。」
と、言われたからだ。
「何時もの様に、現れない婚約者。姉様は哀しい思いをするでしょう。」
「それは、」
アラン達は気まずそうに黙った。婚約をしてから、令嬢達をエスコートした覚えは無かった。
「姉様達は、馬車の中で哀しみに暮れるでしょう。」
アラン達は、今まで令嬢達を無視し続けて来た。
セルビィの言葉に、居心地の悪い物を感じた。
「でも、会場に着いて馬車の扉が開くと 其所にアラン王太子殿下達が。」
セルビィが大袈裟に言う、アラン達も其れを想像する。
「姉様達は、驚きと感激の余り 涙する事でしょう。」
セルビィは しみじみと、頷く。
「まるで、一枚の絵の様に 目に浮かびます。」
「そ、そうか。セルビアは、感動の余り涙するか。」
「はい。心細い処に、殿下が現れるのですから。」
セルビィは、微笑む。
「アイリーンは、私のエスコートに驚くのですね。」
「はい。夢にまで見た、エスコートですから。」
セルビィは、頷く。
「テレジアは、哀しみに暮れているのですか。」
「はい。神に、救いを求める程に。」
セルビィは、祈りを捧げる様に手を組んだ。
「リリアナは、俺に惚れてるな。」
「はい。愛する人を、日々思っています。」
セルビィは、笑った。
セルビアが驚き、目に涙を浮かべる姿を思う。
「そうか、感動するか。」
「サプライズと、言う事ですね。」
「辛いことの後は、喜びが倍増すると聞きました。」
「驚いた顔も、可愛いだろう。」
「アラン王太子殿下。このセルビィが、姉様達を必ず連れて参ります。」
アラン達は、セルビィの言葉を信じた。
そして、会場の前で令嬢達が来るのを、今か今かと待っていた。
令嬢達を迎えに行った王家の馬車が、目の前に停まった。扉を開ける使用人を待てずに、アランは自ら馬車の扉を開けた。セルビアの驚く、顔を見ようと。
「セルビア!! 」
誰も、乗っていなかった。
いや、男が一人乗っていた。男は馬車を降り、恭しくアラン達に頭を下げた。
「誰だ!? 貴様は!! 」
「お初にお目に掛かります。私は、セラム・ランドールの副官のボルトと言います。」
「セルビアは、如何した? 」
ボルトは、困ったように微笑んだ。
「実は、倒れまして。」
「何!! セルビアが!? 」
「いえ、セルビィ様が。」
ボルトは、目を反らした。
「セルビィが!? 」
「そう言えば、体が弱いと。」
「確かに、領地で療養していたと。」
「虚弱体質だったな。」
アラン達は、令嬢達が言っていた事を思い出した。
そんな素振りは、一切 見られなかったが。
「はい。それで、セラム様と令嬢達は取り乱し。此方に来られる状態では、有りません。」
頭を下げる。
「それ程までに、セルビィは悪いのか!? 」
アランが、神妙そうに聞く。
「いえ、単なる暑気あたりです。」
(本当は、知恵熱だが。)
ボルトは、淡々と応える。
「暑気あたりで、取り乱すのか? 」
エリックは、眼鏡を掛け直した。
「セラム様と令嬢達は、セルビィ様をこよなく愛されております故。」
頭を下げる。
「それ程までに、取り乱しているのか? 」
シモンは、馭者に聞いた。
「は、はい。セラム様は、阿鼻叫喚と化し。令嬢達は、この世の終わりのように 涙していました。」
「それ程までに、セルビィを思っているのか。」
レイモンドは、声に出した。アラン達は、セルビィを羨ましく思った。
四人は、目を合わせ頷く。
「馭者よ。私達を連れて、ランドール家へ 運べ。」
「は、はい。」
馭者は、恐縮した。
「見舞いには、及びません。」
ボルトが、アラン達に声を掛ける。
「御自分の所為で、令嬢達を此方に越させる事が出来なかったうえに。王太子殿下が、見舞いに来られれば。セルビィ様は、恐縮の余り もう顔を出す事も、憚れましょう。」
ボルトは、深く頭を下げた。
「だが、」
「何事、ですか? 」
白い聖衣を身に着けた、男が現れた。
「父上。」
「シアン。」
シアンは、黒に近い濃い茶色の髪のボルトを見下し。
「殿下、この者が 何か? 」
ボルトは、頭を下げる。
「セルビィが、倒れたそうだ。セルビアが、来られなく成った様なのだ。」
アランは、シアンに言った。
「それは、良好。神が黒き民を、公の場に出すのを拒んでいるのでしょう。」
シアンは、微笑んだ。
「父上、テレジアは私の婚約者です。」
父の言葉に、シモンは言い返した。
「それは、形だけの飾りでしかない。決して、私達 高貴な者と血が混ざる事は許されません。」
シアンは息子共々アラン殿下達に、言って聴かせる。
「令嬢達は、豪の者が私達に差し出した 供物です。その事は、お忘れないように。」
シアンは、心の底からそう言った。
「さあ、参りましょう。私達が、居なければ 何も始まらないのです。」
シアンは、ボルトの存在さえも無い物としてアラン達を連れて 会場内へ入っていった。
ボルトは、頭を下げたまま唇を噛んだ。
(何が、供物だ。)
拳を、握り締める。
(人質同様、婚約を決めた癖に。)
ボルトは、煮えくり返る思いを我慢した。
(セーラー。セルビア達を、君の様にしない。)
今は亡き、愛しい人を思う。
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