悪役令嬢の弟。

❄️冬は つとめて

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策戦実行前の、とある一室。

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とある一室。
「リオル様と一部隊はコアーラ砦へと向かわせて下さい。」
「一部隊、千か? 」
「はい。将軍一人とコアーラ砦に配置する部隊を。念の為に。」
「それで? 」
セルビィは椅子に座り、ロビンに策戦を指示している。ナルトはいつもの通りお茶を注いでいた。
「ウォンット砦では将軍の一人と数人が砦に入り、後の者は砦の前か街で待機を。」
セルビィはナルトからカップを受け取る。
「叔父様達はリオル様と共に行動をして貰って下さい。途中で姉様達に出会えるかもしてません。」
「そうだな、早く出れば途中で合流出来るな。」
ロビンはお菓子のクッキーを食べながら頷く。
「叔父様達が一緒だと姉様達も安心です。」
「砦の方は? 」
ナルトはカップを皆に渡すと椅子に腰を下ろし話に加わる。

「作戦開始は昼に、五百程兵を残して後は砦を後に王都にそのまま進んで貰って下さい。」
セルビィは一口お茶を呑む。
「夜には王都に着けるのでないでしょうか。」
「そのまま始めるのか? 」
ナルトもクッキーを一口頬張った。セルビィは首を振った。
「西と東の門前に見せの兵を置き、後は正門に集めるようリオル様に伝えて下さい。」
「見せの兵? 」
セルビィもクッキーを食べる。
「西と東の門に数百人程、夜なので姿が見えませんので篝火を点けかさ増しして下さい。」
「兵の数を誤魔化すのか。」
ナルトは関心する。
「残りの兵力を南の正門に集めます。」
「なる程、敵兵を分散させるんだな。」
モグモグとクッキーを食べながらロビンは頷いた。
「はい。三千で王都を落とすには敵兵に罅って頂かないと。」
山盛りだったクッキーがロビンの胃袋に消えていく。なぜがセルビィは優雅にクッキーを頬張る。
「明け方近くに外壁の門が不思議なことに、開くのです。」
セルビィは両手を合わせて微笑んだ。
「「いや、お前が開けるよう指示するんだろ!! 」」
「そして、不思議なことに王城の門も開く。」
ビウェルはカップを置きながらセルビィに続く。
「「いや、お前が開けるんだろ!! 」」
ナルトとロビンは突っ込む。
「不思議です。」
「ああ、不思議だ。」
「「いや、不思議じゃないから、お前が開けるんだろ!! 」」
二人を突っ込む。
「後は時間の勝負です。」
「ああ、時間の勝負だな。」
「「無視すんな!! 」」
二人は突っ込んだ。

「僕は、リオル様を信じます。きっと王城を落としてくれることを。」
「ああ、勝ったも同然だな。」
「流石です、お姉さま。」
嬉々と喜ぶ。
「「いや、まだ落としてないから!! 」」
二人は突っ込んだ。

「此処で重要なのはウォンット砦です。出来るだけ帝国の目を反らして貰わないと。」
「せめて2日は、反らして欲しいな。」
「「おい、無視か!! 」」

セルビィはお茶を一口呑む。
「帝国の正規軍は丘向こうの街に待機しているそうなので、派手に叫び声と音を発てて戦っているように見せかせて貰いましょう。」
「何時まで、騙せる? 」
ビウェルはテーブルの上の手を組んだ。
「さあ。でも、砦前に油でも撒いていれば。」
「火攻めか? 」
「「焼き殺すのか!? 」」
恐ろしい策戦をたてるセルビィに三人は声を上げた。

「なんて残虐な。焼き殺すなんて、神よお許し下さい。」
セルビィは祈るように指を組む。
「「お前神信じてないだろ!! 」」
「僕はただ、火に驚いて退却か、火傷を少し負って戦闘不能になって欲しいだけです。」
「セルビィ様……。」
「「セルビィ…。」」
セルビィは、苦しそうに祈るように目を閉じる。

「セルビィ様は大人びて賢く聡明であるが、まだ16歳になったばかりの子供。」
(ビウェル様、貴方も18の子供です。)

「そうだな我が儘で陰険で嫌味だが、まだ子供だな。」
(ロビン様、それ悪口です。)

「魔王のお前にそんな人間じみた感情があるのか!! 」
(そんな事言うのは、ナルト様位ですよ。)
セルビィは三人の言葉に心の中で応える。セルビィは静かに瞳を開いて三人を見詰めた。

「怨みを買ってまで、帝国の戦闘不能の兵士達の必要な食糧供給を減らさなくてもいいでしょう。」
「それって……。」
「戦闘不能の兵士達の食い扶持を減らさないためか? 」
「この魔王が!! 」

つまり火傷を負うって戦えなくなった兵士達への食糧と医療を使わせる為に殺さないで返すと言うことで。それは帝国には役立たずの食い扶持だけが増えると言う事だ。

「皇帝陛下は、その方をどうなさるでしょう。」
セルビィは祈りながら三人を見る。
「もしかして、使えないと治療もお金も出さず何処かに飛ばしてしまうかも。」
三人はセルビィの言葉に背筋に冷たい物が流れ出した。
「まさか、兵士達の命を奪うなどと……。血の皇帝陛下です、なんて恐ろしい。」
「「「恐ろしいのはお前だ!! 」」」
三人は青ざめて突っ込んだ。

「帝国の為に働いた者になんたる無体なことを。」
セルビィは呟くように囁く。三人は、地の底に引きずり込まれる感覚を味わう。

「帝国の国民は、兵士は、皇帝陛下の事をどう思うでしょう。」
にっこりと微笑む姿は天使のようで、でも。

「魔物。」
「悪魔。」
「魔王。」
ビウェル ロビン ナルトは、それぞれには呟いた。

カシッと、セルビィは美味しそうにクッキーを一口頬張った。








    
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