私の婚約者は、今日も楽しい。

❄️冬は つとめて

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どっぷりハマってます。

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ダミアンの誕生会は夕刻前に終わり、舞踏会へと流れて入っていった。お子様たちは、帰路についている。ダミアンとリリースも、会場を出て城内のとある一室にいた。

ぱあ~~ん!! ぱあ~~ん!!
ぱん!! ぱん!!

クラッカーが弾け飛び、ひらひらと色々の紙吹雪が飛ぶ。

「おめでとう、リリー。」
「おめでとう、ダミアン。」
「「「おめでとうございます、リリー様、ダミアン様。」」」
ママンズと侍女達が、婚約披露の成功をお祝いしていた。

(おかしい…… どうしてこうなったの? )
何せ、婚約解消の為に頑張っていたはずだった。それなのに。

(どこで間違ったの? )
最初からだと言うことに、リリースは気づかない。やはり頭が悪い高校生だったようだ。

「リリー、聞いたわ。」
「リリーちゃん、ダミアンにプロポーズをしたんですって。」
うふふっ、とママンズが微笑む。

「プロポーズ? 」
リリースは首を傾げた。意味が分からない、誰が誰に。
(私が? 死神王太子に? そんな事あるはずはないわ。)

「『責任をとって』と、言われました。」
「あら、あら、あら。 それは確かにプロポーズだわ!! 」
「まあ、まあ、まあ。やるわね、リリー。」
ダミアンが嬉しそうに言うと、ママンズ達が微笑ましくリリースを見詰めた。侍女達の、拍手喝采が部屋中に鳴り響く。護衛騎士達は微笑ましく頷いている。

「僕はもちろん『責任取る』と言いました。」
「それこそ男ですわ、ダミアン。」
「まあ、まあ、まあ、良かったわね、リリー。」
にっこり微笑んでダミアンが言うと、母ダイアナが息子を褒めナタリアは嬉しそうに娘を見た。

「「「逆プロポーズとは、流石ですわ。リリー様。」」」
侍女達はリリースの勇気に称賛の声をあげる。

リリースは首を傾げた。
(逆プロポーズとは、なんぞや? )

「リリー。プロポーズは僕の方からしたかったけど、リリーからしたくれてとても嬉しかった。」
訳が分からずほけているリリースの手を取って、ダミアンは蕩けるような微笑みを向ける。

甘い、甘~い。砂糖よりも甘~い、微笑みをリリースに向ける。

ぽけ~と、リリースは口を開けた。お菓子を食べた時のように頭の中が麻痺をしてくる。

「リリーの気持ちに応えられるように、きっと幸せにしてみせるよ。」
違う、とダミアンは首を振った。

「一緒に幸せになろうね、リリー。大好きだよ。」
「まあ、まあ、まあ!! 」
「あら、あら、あら!! 」
「「「おめでとうございます、ダミアン様、リリー様!! 」」」
甘~い、甘~い、ダミアンの雰囲気の中にどっぷりとハマってリリースは何も考えられなかった。


「はっ、ここは? 」
気づいた時は、自分の部屋にいた。いつの間にかロジック家に戻って自分の部屋のベッドの上に座っていた。

「あの顔を見ると頭の中がぼやけて来るのよ!! 」
(怖かった筈なのに、怖かった筈なのに!! )
努力してあの顔に慣れ、頭の中をお菓子の甘さで麻痺させ、リリースはどっぷりとハマってしまった。既に中毒(こほん)ダミアンから逃げ出すことはなくなった。

「なにお菓子より甘い顔をしているのよ!! どうして、美形なの!! 中坊のくせに!! 」
(恐るべし、乙女ゲーム!! )
その乙女ゲームを悶えながらやっていたのは前世のリリースである。そして、攻略対象第一位は大体その世界の王太子である。美形でない訳がない。

「いつの間にか婚約が正式に決まっちゃったし、私がプロポーズしたことになってるし。」 
(私は『責任とって』としか言ってないのに…… )
リリースは固まった。

(………あれ? )


「責任…… 」
リリースは呟く。

「女性が責任とって………。男性が責任取る。」
(それって結婚て事もあるよね。)
前世の男女間の揉め事、ドラマなどを思い出した。

「私、プロポーズしてるじゃん!! 」
今頃気づく、やはり頭のよくないリリースであった。








    
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