【完結】悪役令嬢のお父様。

❄️冬は つとめて

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授賞式の後のお父様。

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授賞式はつつがなく終わった。簡易的に用意された椅子から保護者や学生達は立ち上がった。だからと言って、彼はまだ動けない。国王陛下が退室するまで、そのままで控えていなければならないのだ。ゆっくりと、国王陛下は立ち上がる、

「お待ち下さい、国王陛下。」
立ち上がろうとする国王陛下をコッペリウスは、恐れ多くも止めた。

「申し訳ございません。今少し、御時間を頂戴致します。」
「何事か? 」
(何なんッスか、ぱい先? )
国王陛下は威厳を持って、宰相に問いただす。

「先程の学園主催の奉仕活動について、この場で取り決めたいと思いますが宜しいでしょうか。」
(今、決めるッスか!? ボランティア活動。)
右手を胸にあて、左手には書類が握られている。授賞式の間に、書類等を書き終えていたようだ。

「宜しいでしょうか、スクワード国王陛下。」
(はい、いいッス。)
名前付きで呼ばれ、心の中でスクワードは直ぐ返事をした。

「うむ、よいだろう。」
「有り難き幸せ。」
国王陛下は椅子に座り直し、コッペリウスはより頭を深く下げた。

顔を上げたコッペリウスは、上段の真ん中にある講演台に立った。

「ご父母殿、学生達も着席願います。」
トントンと、書類を講演台にあてる。下段の者達はコッペリウスの言葉に、ざわめきながらも椅子に座り直した。

「申し訳ございませんが、もうしばらく御時間を取らせてもらいます。」
国王陛下が退場しない限り、この場を後にすることは出来る訳がない。半ば強制的の居残りである。

「先程、授賞式の前に出た奉仕活動についての取り決めを話したいと思います。」

確かに社会勉強の為に、奉仕活動に準ずると頷いたと保護者達は思い出した。それを今決めようと、コッペリウスは言っているのだ。

「奉仕活動とは、教会のお手伝いですわね。」
「寄付の為にバザーか。」
「バザーなんて、楽しみですわ。」
保護者達は今までやって来た奉仕活動を思い出して、所々で話が弾む。

「私、刺繍したハンカチを出そうかしら。」
「わたくしお菓子作りに挑戦をしてみましょうか。」
「屋敷にある古びた物をかき集めるか? 」
学生達は、既にお祭り騒ぎで話が進んでいる。教会のバザーは寄付金を集める一貫のお祭りのようなものである。

彼らはそれを想像して、楽しそうにざわめき出した。

(教会のバザーッスか。オレも子供の頃行ったッス、楽しかったッス。)
母親と手を繋いて教会のバザーに行った子供の頃を思い出す。貴族の家から出たいらない物等、庶民にとって掘り出し物が沢山あった。子供達にはお菓子が無料で配られた。

(貴族のする偽善の奉仕活動でも、お菓子が食べられて嬉しかったッス。)
あの頃、貧乏だったので甘いお菓子など滅多にありつけなかった。それでもご飯は食べられていた、母親がいたから。しかし、城に上がってからは正妃や側妃の虐めにあい食事もままならなかった。出される僅かな食事では、食べざかりの子供にはかなりきつかった。

(厨房のコック長が、こっそり余り物(残飯)を残してくれていたから生き残れたッス。下手したら餓死でしたッス。)
余り物をくれて、笑いながら頭を撫でてくれた彼を思い出す。

(元気にしてるッスかな。)
スクワードが学園に通う少し前に、彼は田舎に帰って店を開くと言って辞めていった。本当はスクワードに食事を与えていたのがバレて解雇となっていた、しかし彼はそれを黙っていた。

(子供の頃近所で見た、お父さんのように優しかったッス。)
自分になんの関心もない本当の父親より、彼に父親像を見ていた。

「場所はディル川の商業地区と貴族地区を結ぶ東の橋。」
(学園でしないッスか? 場所を取って、大規模にバザーをやるんッスね。ぱい先の事だから、商人を巻き込んでするッスね。もう、祭りッスね。)
国王陛下は、そう思っていた。






    
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