【完結】私の婚約者は、妹を選ぶ。

❄️冬は つとめて

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婚約者は、妹を選ぶ。(本編)

エドワードと同僚。

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一目惚れだった。

得意先の知り合いが、決めた縁談の相手の妹に。婚約者となるべく相手に初めて会ったあの時、その場にいた彼女に。

「はあ~~~ 」
何度目かの溜息をつく。目の前の仕事も手につかない。

「はあ~~~ 」
エドワードは、自分がこれ程までに恋愛に呑まれるとは思っても見なかった。

「はあ~~~ 」
「おい、どうした? さっきから、ため息ばかりついて。聞いてるコッチも気が抜けるからやめてくれないか。」
仕事場の同僚である男が声をかけてくる。

「あ、ああ、悪い…… はあ~~~ 」
「お~い、どうした? 昨日の縁談で何かあったのか? 」
少しチャラ男の同僚が心配して聞いてくる。エドワードは自分の思いを誰かに聞いて欲しくて同僚に話してしまった。


「妹の方を好きになった!? 」
「ああ…… 一目惚れだった。」
エドワードは頭を抱えた。

「酷い男だろ。縁談で、相手より妹に思いを寄せてしまうとは。」
「お前が一目惚れだと、信じられないな。」
二人は仕事そっちのけで話を始めた。二人しかいない部署なので、咎めるものはいない。何より今のエドワードは仕事にならなかった。

「お前はしょっちゅう一目惚れしてるけどな。」
「恋多き男と呼んでくれ。」
「そうだな…… 」
(実ってないがな。)
親指を立ててウィンクをする同僚に、哀れみの目を向ける。

「それで、どうするんだよ? 」
「うっ、それが問題だ。」
同僚の問いかけにエドワードは怯んだ。

「断ろうと思っている。ただ…… 」
エドワードは期待を込めて同僚を見る。

「断った後に…… 妹さんへの縁談を求めたら、どう思う? 」
「そりゃ、ブチ切れるな。」
「だよな~ 」
少しでも期待をした自分を殴りたい。儚い恋であった。

(断るにしてももう少し彼女を見ていたい。できれば、何かを残したい…… )

「記念品を贈るのは駄目だろうか? 」
「どうした!? エドワード、落ち着け!! 」
訳の分からないことを言い出したエドワードに同僚は、叫んだ。

「記念品はプレゼントとは違うから、大丈夫だろう。一人に贈ると角が立つから、二人に贈って。」
「おい、エドワード。なんか変なこと言ってるぞお前。 」
エドワードはブツブツ考え出した。同僚が指摘するが耳に届かない。

「別々の物を贈る? 駄目だ、そうなると縁談相手に彼女より良いものを贈らないと話にならない。縁談は断るんだ、そんな事をすれば下手に期待をかけてしまう。」 
「おい、エドワード。」
エドワードは頭の髪を掴みながらペンで紙に書き始める。

「同じ物を贈れば…… 高いものは駄目だ、かと言って安いものも駄目だ。お菓子、は食べたら何も残らない。」
「おい、エドワード。」

「アクセサリーか!! だが断れば絶対捨てられる、縁談を断るような男からの物なんて傍に置きたがらない筈だ、女性は…… 」
「おい、エドワード!! 」
つい同僚はのめり込んでいるエドワードを大声で呼んだ。

「だが!! 」
エドワードは同僚の胸ぐらを掴んだ。

「だが、あと数回しか会えないんだ!! その数回だけでも付けて貰えたら、いや一回でもいい!! 後は捨てられても、壊されても、質屋に持っていかれてもいい!! 」
「ギブ、ギブ、エドワード!! 」
首を閉められて、同僚はギブアップ寸前だ。エドワード筈だ彼を放した。

「コレはプレゼントではない、記念品だ。記念品なら、彼女にも贈ってもいいはずだ。」
「おーーい!! 帰ってこーい、エドワード!! 」
自分の思考におちいるエドワードに同僚は声をかける。

「よし、買いに行こう。記念品を、二人に同じ記念品を。」
エドワードはそのまま部屋を出て行く。仕事を残して。

「おい!! エドワード、帰ってこい!! 」
同僚の呼び止める声も聞こえずエドワードは記念品を買いに出て行った。

「おい…… 誰が、この仕事をするんだよ…… 」
机の上にある書類の束が目に入る。残った二人分の仕事を同僚がする羽目となった。

「クソっ!! エドワード奴、縁談断ったら奢らせてやる-ー!! 」

仕事は夜中近くまでかかったそうだ。

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