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婚約者は、妹を選ぶ。(本編)
2つのプレゼント。
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「此れはどういうことかしら? ホホホッ。」
妻は冷たい微笑みを夫に向けた、口元には淑女の嗜みの扇を閉じたもので隠している。
目の前には2つの同じプレゼントである箱がテーブルの上に置かれてある。リボンで可愛く飾られた長細い箱である。
「誠実な方と仰ってなかったかしら? 」
「いや…… 真面目で誠実な…… はず、だった…… 」
ふくよかな夫は、額に汗を流しながら上から圧力をかける妻に応えた。場所はリビングルームの床の上で正座である。
「誠実な方が婚約者でもない女性に、婚約者と同じ物を贈ってくるのかしら? 」
「……… 」
妻の指摘に夫は押し黙った。
先程外交から帰ってきた夫妻は、エリシアの婚約者(予定)との顔合わせはどうだったとニコニコ顔で子細を聞こうとしていた。
なにせ、選びに選んだ誠実で真面目な男。気弱なエリシアにお似合いだと太鼓判で勧めた縁談であった。
まさか、邪魔者(シエリア)が入り込むとは思っても見なかった親達である。
「お母様、エドワード様は私だけにプレゼントでは顔見せ一緒にいたシエリアに悪いと思ったのです。きっと…… 」
多分違うと分かっていてもエリシアはエドワードを庇うように声をあげた。
「そうそう、女性にプレゼント贈るのは今どき普通、普通。」
父の隣で同じく正座をさせられてシエリアは足を揉みながら、エリシアの後に続く。
「あなたは、黙らっしゃい!! 」
母はシエリアに扇を突き刺した。そのまま頭を叩く。
「なぜ、婚約者との顔合わせの場所にあなたが一緒にいたの!? 」
「え~~っ、だって興味あるし~ 相手見てみたかったの~ 」
パシパシ扇で頭を叩かれ、両手で頭を庇いながらシエリアは気にすることもなく言ってのける。
「それより~ お母さま、ひどい~ シアだけに婚約者を決めるなんて~ 」
「酷いのはあなたの頭の中よ!! お見合いなんて今どき流行らない、と言って断ったのは誰!! 」
「えっ、だれ!? 」
シエリアは驚いたように声をあげる。
「あなたよ、シエリア。覚えてない? 頭の中は空洞かしら? 」
バシバシと先は度より強く頭を叩く。
「いたい、いたいわ、お母さま。虐待ですわ~~ 」
「教育的指導指導よ、コレは!! 頭で覚えられないなら、体で覚えなさい!! 」
「きや~~ やめて~~ 虐待よ~ お母さま~ 」
足が痺れて逃げられないシエリアを容赦なくバシバシと叩き続ける母。
「お母様、エリーを許してあげて。エリーに悪気はないのよ…… 」
「悪気が無いから余計に悪いのよ!! 」
母は思いっきり息を吐いた。
「シエリア、あなたは男友達の中から早く婚約者を選びなさい。」
「なに言ってるのお母さま? 友達に恋愛感情なんて持てる訳ないじゃない。」
「……それもそうね。」
きょとんとした顔で言うシエリアの言葉に、頷く母。
(納得するのお母様? )
(納得するのか? 妻よ。)
ソファに座っているエリシアと床に正座させられている父は呆然と二人を見る。
「取り敢えず、今度の顔合わせにシエリアは部屋で謹慎よ。」
「え~~っ。いやよ~、お母さま!! エドワードさまの反応面白いし~ 」
シエリアは母の言葉に断固拒否する。
「エドワード様が、面白い? 」
「だって、胸の脂肪引っ付け 」
「黙らっしゃい!! 」
シエリアの言葉を母は遮った。そして再び、扇の連打の嵐を与える。
暫くして、大きな溜息を吐き母は言った。
「いったい誰に似たのかしら!! 」
(お母様ね。)
(妻だな。)
慎みある父娘は心の中で思った。
「お母さまよ~ 」
シエリアは応えると、胸の脂肪を持ち上げて。
「体はお父さまよ~ お腹のたっぷん脂肪といっしょ~ 」
再び、母は切れた。
(そっか、私もお父様に似れば…… )
エリシアはない胸を押さえて、母の胸を見る。
慎ましいその胸を。
妻は冷たい微笑みを夫に向けた、口元には淑女の嗜みの扇を閉じたもので隠している。
目の前には2つの同じプレゼントである箱がテーブルの上に置かれてある。リボンで可愛く飾られた長細い箱である。
「誠実な方と仰ってなかったかしら? 」
「いや…… 真面目で誠実な…… はず、だった…… 」
ふくよかな夫は、額に汗を流しながら上から圧力をかける妻に応えた。場所はリビングルームの床の上で正座である。
「誠実な方が婚約者でもない女性に、婚約者と同じ物を贈ってくるのかしら? 」
「……… 」
妻の指摘に夫は押し黙った。
先程外交から帰ってきた夫妻は、エリシアの婚約者(予定)との顔合わせはどうだったとニコニコ顔で子細を聞こうとしていた。
なにせ、選びに選んだ誠実で真面目な男。気弱なエリシアにお似合いだと太鼓判で勧めた縁談であった。
まさか、邪魔者(シエリア)が入り込むとは思っても見なかった親達である。
「お母様、エドワード様は私だけにプレゼントでは顔見せ一緒にいたシエリアに悪いと思ったのです。きっと…… 」
多分違うと分かっていてもエリシアはエドワードを庇うように声をあげた。
「そうそう、女性にプレゼント贈るのは今どき普通、普通。」
父の隣で同じく正座をさせられてシエリアは足を揉みながら、エリシアの後に続く。
「あなたは、黙らっしゃい!! 」
母はシエリアに扇を突き刺した。そのまま頭を叩く。
「なぜ、婚約者との顔合わせの場所にあなたが一緒にいたの!? 」
「え~~っ、だって興味あるし~ 相手見てみたかったの~ 」
パシパシ扇で頭を叩かれ、両手で頭を庇いながらシエリアは気にすることもなく言ってのける。
「それより~ お母さま、ひどい~ シアだけに婚約者を決めるなんて~ 」
「酷いのはあなたの頭の中よ!! お見合いなんて今どき流行らない、と言って断ったのは誰!! 」
「えっ、だれ!? 」
シエリアは驚いたように声をあげる。
「あなたよ、シエリア。覚えてない? 頭の中は空洞かしら? 」
バシバシと先は度より強く頭を叩く。
「いたい、いたいわ、お母さま。虐待ですわ~~ 」
「教育的指導指導よ、コレは!! 頭で覚えられないなら、体で覚えなさい!! 」
「きや~~ やめて~~ 虐待よ~ お母さま~ 」
足が痺れて逃げられないシエリアを容赦なくバシバシと叩き続ける母。
「お母様、エリーを許してあげて。エリーに悪気はないのよ…… 」
「悪気が無いから余計に悪いのよ!! 」
母は思いっきり息を吐いた。
「シエリア、あなたは男友達の中から早く婚約者を選びなさい。」
「なに言ってるのお母さま? 友達に恋愛感情なんて持てる訳ないじゃない。」
「……それもそうね。」
きょとんとした顔で言うシエリアの言葉に、頷く母。
(納得するのお母様? )
(納得するのか? 妻よ。)
ソファに座っているエリシアと床に正座させられている父は呆然と二人を見る。
「取り敢えず、今度の顔合わせにシエリアは部屋で謹慎よ。」
「え~~っ。いやよ~、お母さま!! エドワードさまの反応面白いし~ 」
シエリアは母の言葉に断固拒否する。
「エドワード様が、面白い? 」
「だって、胸の脂肪引っ付け 」
「黙らっしゃい!! 」
シエリアの言葉を母は遮った。そして再び、扇の連打の嵐を与える。
暫くして、大きな溜息を吐き母は言った。
「いったい誰に似たのかしら!! 」
(お母様ね。)
(妻だな。)
慎みある父娘は心の中で思った。
「お母さまよ~ 」
シエリアは応えると、胸の脂肪を持ち上げて。
「体はお父さまよ~ お腹のたっぷん脂肪といっしょ~ 」
再び、母は切れた。
(そっか、私もお父様に似れば…… )
エリシアはない胸を押さえて、母の胸を見る。
慎ましいその胸を。
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