【完結】私の婚約者は、妹を選ぶ。

❄️冬は つとめて

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婚約者は、妹を選ぶ。(本編)

シエリアとエリシア。

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「エリー、その…… あまりにも近すぎるわ。」
エリシアはエドワードに縋り付くように座っているシエリアに咎めるように言う。

「え~~っ、今どきコレくらい普通よ~ ねぇ、エドワードさま~ 」
「あ、いや…… こういう事は人前でする事ではないかと…… 」
エドワードは口元を押さえて、顔を赤らめ嬉しそうに呟いた。

「もう、エドワードさま~ お顔が真っ赤、かわいい~ うふっ。」
「エリー。男性に、そういうことは…… 」
咎めるエリシアの言葉も聞かずに、エドワードの反応を喜ぶようにシエリアはますます腕を絡ませ胸を押し付けた。

「すまない、今日はもう帰るよ。」
シエリアの腕をほどくように立ち上がる。

「え~~、もう帰っちゃうの~ エリーさみしい~ 」
エリシアの目の前でも遠慮なくエドワードに縋り付くシエリア。

少し嬉しそうなエドワードが悲しそうなエリシアと目が合うと、彼は戸惑って目を逸した。

「エリシア嬢…… シエリア嬢。また、一週間後に。」
「はい。」
「はぁ~い。」
エリシアの返事に被せるように大きな声で返事をするシエリア。

エドワードは二十二歳で仕事をしているので頻繁に婚約者になるべく縁談の相手のエリシア合うことはできない。エリシアの父親の仕事関係で縁談相手に選ばれた経緯もある。

エリシアも学園を卒業して成人している。成人してい者同士が、今日初めてエリシアの屋敷での顔合わせであった。

親が決めた婚約者であっても、まだ本決まりではなかった。本人同士の思いもあると、今はお試し期間の顔合わせである。

エリシアとエドワードお見合いの場に、なぜかシエリアがその場に居着いてしまった。


エドワードは頭を掻き、ちらりと部屋へ目を向けると溜息をつきながら出て行く。その場から逃れるように、足は速い。

「待って、エリーお見送りしますわ~ 」
エドワードの後を追いかけるように楽しそうに付いて行くシエリア。

部屋に残されたエリシアは崩れるようにソファに座り込んだ。

「お話、できなかった。」
初めての顔合わせで、会話もままならなかった。

「ううん。挨拶さえまともにできなかったわ。」
エリシアは頭を振りながら、両手で顔を隠す。

「私のばか。」
(私がもう少しエリーのようになれたら…… )
爽やかに自分に挨拶をしてくれたエドワードを思い出す。

「素敵な人。」
(でも、男性はエリーの方をいつも選ぶわ。明るくって可愛くって、胸だってある…… )
自分は地味でおとなしくって、胸もない。エリシアは自分の胸を見て溜息をついた。

「双子なのに。」
(どうしてこんなにも違うの? )

シエリアを見た時のエドワードの驚いた顔、自分を見てがっかりした顔を思い出す。

「やっぱり、エドワード様もシエリアが…… 」
嬉しそうに顔を赤らめたエドワード。困ったように自分を見て溜息をつくエドワード。

「私みたいな地味な婚約者じゃ、嫌だよね。」
(同じ顔なら、明るい方がいいよね。)
子供の頃から比べられていたエリシアは明るいシエリアに少しコンプレックスを持っていた。

「私もエリーのようになれたら…… せめてまともに会話ができたら…… 」
(このまま婚約者でいられるかな…… )
知り合いになった人はいつの間にかシエリアの友達になっていた。少し気になる男性は、いつの間にかシエリアと仲良くなっていた。

エリシアと間違って声をかけたらシエリアで、そのまま話をしているうちにシエリアと仲良くなっているのだ。

深く知り合う前にシエリアと出会い、エリシアより仲良くなってしまうのだ。そして疎外感を感じてエリシアは一歩下がってしまう。

仲良く遊ぶ彼等シエリアを羨ましく遠くから見ているだけのエリシア。

「でもエドワード様は私の婚約者だから…… 」
困ったように笑うエドワードを思い出す。

そして、数日後にプレゼントが2つ届く。婚約者のエリシア宛と、妹のシエリアへと。


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