【完結】私の婚約者は、妹を選ぶ。

❄️冬は つとめて

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楽しい旅行。

勝負、シエリア対リョウ。

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観光地である港町は、旅行者で賑わっている。家族連れは勿論、星降るに丘と恋人達にも大人気だ。

港町であるから海鮮も新鮮である。所々に、観光客を狙った出店が道端に出ていた。

「おじさ~ん、イカ焼き2つ!! 」
「へい、まいど!! 」
「はやく、はやく!! 」

ふわりとした金髪を靡かせて、走り込んでくる少女が注文をする。その少女は後ろを気にしながら、おじさんを急かす。

「へい、お待ち!! 」
おじさんは2つのイカ焼きを少女に差し出した。少女は1つ受け取って、

「後から来るあの子に1つは渡して。」
後ろからかけてくる黒髪の少年を指差した。

「あの子かい? 黒髪の。」
「うん、おねがいね~ 」
と、走り去る少女。

「こら、待て!! ちぐはぐ!! 」
「待った、坊主!! 」
目の前を通ろうとする少年を、止めてイカ焼きを差し出すおじさん。

「お嬢ちゃんからだ。」
「イカ焼き!? 」
無理矢理手に持たされ、困惑する。だがいい匂いにかぶりつく。

「うまい!! 」
「新鮮だからな!! 」
おじさんは笑う。

「観光地で追いかけっこか、若いね!! ほら、さっさと追いかけろ!! 彼女が逃げるぞ!! 」
ぽんと、背中を押される少年。

「あ、」
押された先を見ると、少女がぴょんぴょん飛び跳ねて煽っている。

「待て!! こらーー!! 」
少年は少女へ向かって走り出した。イカ焼きを食べながら。

「若いね~~ 」
おじさんはニヤニヤして、二人を見送った。

「はいよ、ソフトクリーム。」

「熱いよ、たこ焼き!! 」

「綿菓子、お待ち!! 」

「おまたせしました、フィッシュバーガー2つ!! 」

観光地を歩きながらではなく、走りながらの食べ走りである。少女と少年、シエリアとリョウは追いかけっこをしなががら、食べ走っていた。食べるそばから、走り回っているのでエネルギーは消費する。今の処、総てシエリアの奢りだ。勿論、お金の出処はエドワードである。

狭い観光地なので、時々エドワードとエリシアに出くわす度にお小遣いをゲットしているシエリアである。

「きや~~ぁ!! 楽し~~!! 」
シエリアは観光地を楽しんでいた。美味しい食べ物、遊んでくれるリョウ。かつて、これ程までに自分についてこれた付き合ってくれた人はいなかった。

リョウもそれなりに鍛えているようだった。

疲れを知らないシエリアは、食べ走りをしながら追いかけっこを心から楽しんでいた。


「くッ!! このままでは、社会人としても男としてもメンツが立たない!! 」
リョウは歯ぎしりをする。

一気にスピードをあげた。

シエリアに追いつき、追い越した。屋台の亭主に注文をする。

「お姉さん!! りんご飴2つ!! 」
「おおきに~!! 」
追い越されて呆然と立ち尽くしているシエリアに不敵に笑う。

「奢られてばっかじゃ、メンツが立たないんだよ!! 」

「おまち~!! 」
「1つは、あのに!! 」
リョウはりんご飴を1つ受け取り、走り出した。次は、海鮮焼きそばの出店へと。

お姉さんは、ニコニコしながらあと1つのりんご飴をシエリアに差し出した。シエリアはそれを受け取り、ニカッと笑う。

「負けないんだから~~!! 」
シエリアも走り出した。

「若いっていいわ~~ 」
ほっこりと、走り出した二人を見詰めてお姉さんは微笑んだ。

その後、リョウとシエリアはお互いに出店へ早いもの勝ちに注文して奢り合っていた。

出店の者達は、カワイイカップル(見た目青少年)を温かく見守っていた。



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