【完結】猛反した王子は、婚約破棄を頑張りたい。

❄️冬は つとめて

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氷の王子、クラウス。対峙する心。

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会場内が再び、響めいた。真紅のドレスを身に纏ったシルビアが、現れた。大胆に太股を晒すほどに、ドレスの右側の丈を短くして腰の脇辺りに大きなリボンで飾り付けている。其処以外は可愛らしい膨らんだ、ドレススカート。上は、乗馬を思わせるぴったりとした袖のない上着。頭の左側に小さな帽子の様な髪飾りに黒いレースのリボンを付け、片側の髪を捲し上げ。右側に、流していた。
太股にはガーターベルト、其処に鞭(馬を用)を差し、手にはルビーで飾られたナックルが装着されていた。
「「「「「「きゃーっ!! お姉様!!  」」」」」」
会場内から、女子の悲鳴が上がった。勿論、会場内を運行する役のエリー マリーの声もある。運行役の下級生は、皆 学園の制服姿(シルフィを除く)だ。シルビアは、下級生の女子から『お姉様』として人気があった。

「悪い子は、私がお仕置きしてあげる。」
シルビアは、ガーターベルトから鞭を取り出し、手にあてた。
『バシッ!!』と、音が会場内を響く。赤いハイヒールが見える右足を大胆に一歩だし、下にいる人達を見下す。

「「「「きゃーっ!! お姉様、お仕置きして!! 」」」」
冷たい目線が、女の子達を痺れさせる。シルビアは、完全に毒されていた。

「何、やってるんだ。シルビア? 」
アルバートは、階段に向かって歩き出す。その行く間に、シルビアの太股を見て鼻の下を伸ばしている令息を取りあえず殴っていた。
「俺のだ、見るな。」
(((いや、見せてるんですけど!! )))
殴られた令息達は、胸の中で突っ込んだ。
王家の血の呪(コホン。)アルバートには、事実は通用しなかった。
階段を駆け上がり、シルビアをエスコートする。

そして、次に会場内に感嘆に溜息が漏れる。
最後のトリとして、アンジェリカが現れる。
銀の髪を綺麗に結い上げ、緑色の宝石で色取る銀の髪飾りを付けている。首から手首に掛けて肌を隠す、流れる様なドレス。しかも、純白。胸元に、プラチナの土台に氷の様な薄い青色の宝石の首飾りが光っている。頭にベール、手にブーケを持てば、ウェディングドレスの様な出で立ちである。会場内の者は、感嘆のを溜息をあげる。
しずしずと、歩くアンジェリカ。その場違いな姿、美しさに会場内が静まった。

「アンジェリカ。」
クラウスは、呟いた。
(今日は、一段と美しい。)
クラウスは、哀しそうにアンジェリカを見る。
(有り難う、アンジェリカ。私に恥をかかせない様に、首飾りをしてくれて。)
目を細める。
(本当は、着けたくは無かっただろう。)
アンジェリカの髪に飾られた、宝石の色を見てクラウスは口角を上げる。
(緑色の宝石。其れが、愛する人の瞳の色なのか? )
クラウスの心の中が、絶対零度の様に冷えていく。
其れは、あの日の心と同じだった。クラウスは、唇を噛んだ。口の中に、血の味がする。
(落ち着け、私はあの日の二の舞いにはしない。アンジェリカの幸せを、考えろ。)
手を、握り絞める。
(誓った筈だ、アンジェリカの幸せを。)
アンジェリカを見詰める。
(思い出せ、アンジェリカを失ったあの喪失感を。)
クラウスは、自分自身に言い聞かせる。

ふらふらと、足が出る。吸い付けられる様に、アンジェリカの元に歩き出す。
アルベルトが。
「ダイアナ。俺の、ダイアナ。」
美しいアンジェリカの姿は、アルベルトが愛してやまない妻ダイアナにそっくりであった。ドレスも、妻のウェディングドレス。髪飾りも、自分がダイアナに贈った物であった。アルベルトには目の前の女性は、妻のダイアナにしか見えなかった。
「逢いたかった、ダイアナ。俺の、ダイアナ。」
今にも、抱き付かんばかりに足を踏み出したアルベルト。
『どかっ!! 』
勢いよく倒れた。足を掛けられ、倒れた処を踏み付けられる。
「何を、血迷って折られるのです アルベルト様。」
背骨を折らんばかりの力で、踏み付けられる。
「あれは、アンジェリカ嬢。貴方の娘ですよ。」
諭すように、囁き微笑むジョルジュ。
近くにいた カイゼル エドガー ジェラルドは、顔を青くしてその光景を見ていた。
止める者はいない だって。
(((後が、恐い。)))
三人は、見なかった事にした。

踊り場で、アンジェリカは頭を少し下げ礼をする。
静かに目を開けた時、自分を見上げるクラウスと目があった。目を細め、微笑む。
(さあ、クラウス様 覚悟は出来ています。)

クラウスも、微笑んだ。
(アンジェリカ、今 君を解放してあげよう。)

((皆の前で、婚約解消を。))

今日を逃せば、婚約解消は益々困難に成る。今日この場で、婚約解消を言えば明日には全貴族に知れ渡るであろう。
(婚姻の無効を。)
(アンジェリカの幸せを。)
二人は見詰め合い、互いの事を思っていた。

そんな静まった会場内が、再びザワめいた。
最後であったアンジェリカの後に、令嬢が現れたからだ。其れも、アンジェリカより遙かに地位の低い令嬢。
栗毛色の髪を流し、水色のドレスを身に纏い。ゆっくりと、アンジェリカの横に並ぶ。
キャロット・マリエール子爵令嬢。彼女は、アンジェリカに目線を合わせ 微笑んだ。



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