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婚約破棄ですって、嫌ですわ。 ✬
そこまで仰るなら、宜しいですわ。
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とうとう騒ぎを聞きつけた、この国の王太子も側近を連れて現れた。野次馬に混じって、この喜劇の行末を黙って見守っている。
「私達は愛し合っているの!! お願いします、ジーク様と婚約を破棄して!! 」
可愛らしい顔のオデットが涙ながらに訴える。
だいたいこんな人の目のある所で話す内容ではない。恋人同士の中に後から入ってきたオディールが酷いと、皆に知らしめる為にオデットがこの場所を選んだようだ。気の弱いジークブルクは既に尻に敷かれいた。
「お願いだオディール。僕はオデットを愛しているんだ。君から父に言ってくれ。」
「嫌ですわ。」
ジークブルクとオデットは手を取りながらオディールに懇願した。だが頑なにオディールは拒否する。
「仕方ありませんわ。」
オディールは淑女の必需品の扇を取り出し広げた。
「オディール!? 」
オディールの言葉にジークブルクは希望を見た。
「言いたくはございませんでしたが。この婚姻は政略結婚ではなく、借金の返済のための婚姻ですのよ。」
ディオールが目を細めて二人を睨む。(目が悪いだけで睨んではいない。)
「「し、借金!! 」」
ジークブルクとオデットは、驚きに声をあげた。周りの令息令嬢、王太子もざわめいた。
「そうですわ。ですので婚約破棄はできかねますわ。」
オディールは冷たく理路整然と言ってのける。
「借金なんて…… 聞いて無い。」
「不名誉なことですので、言えませんわ。」
オディールは口元を扇で隠し、悲しい目をした。
「どうして、借金なんか!! 」
「領地の日照りですわ、領民のためですわ。」
ジークブルクは吐き捨てた。オディールは借金の理由を話した。俯くジークブルクにオデットは縋り付く。
「ジーク様。」
「オデット。それでも…… 僕はオデットを…… オデットを、愛しているんだ!! 」
悲しそうなオデットを見て、ジークブルクは最初は小さい声から、大きな声へとオデットへの愛を叫んだ。
「オディール、お願いだ。婚約破棄をしてくれ!! 」
「できませんわ!! 」
ジークブルクの言葉を拒絶する。
「それともジークブルク様が、代わりに借金を返済してくださるのですか? 」
借金がある限り婚約破棄をすることは出来ないとオディールは言い放つ。
「僕が、借金を返すのなら君は婚約破棄を承諾してくれるのか? 」
「婚約している意味はありませんわ。」
借金さえ無ければ、婚姻を結ぶ意味はないとオディールははっきり言った。
「ジーク様。」
「オデット。」
二人は手を握りしめた。
「分かった、その借金は僕が返そう。」
ジークブルクはオディールに借金返済を言った。オデットに支えながらも、その目は強い輝きを保っている。
「本当に? ジークブルク様が、代わりに借金を返済すると仰るのですか? 」
オディールは驚きの声をあげた。
「僕が、代わりに借金を返済する。だから婚約を破棄してくれ。」
「それはグレート侯爵家嫡男としての言葉ですか。後で反故にはできませんわよ。」
再度、ジークブルクに確認を取る。
「男に二言はない。」
「ジーク様、かっこいい。」
オデットはジークブルクに抱き着いた。
「そこまで仰るのなら、宜しいですわ。」
オディールは野次馬の中にいる王太子に目を向ける。
「王太子殿下、今の話の証人になってもらえますか? 」
「ああ、いいだろう。」
王太子は頷いた。
「グレート侯爵家の嫡男、ジークブルクの男気を見たような気がする。」
王太子はジークブルクを称えた。
「わたくしオディール・フォン・ブラック公爵令嬢は、ジークブルク・フォン・グレート侯爵令息との婚約破棄を宣言しますわ。」
オディールは声高らかに、婚約破棄を宣言した。
「ジーク様!! 」
「オデット!! 」
二人は抱き合い喜びあった。
「ジークブルク様。いえ、グレート侯爵令息。」
オディールは二人に話かけた。
「婚約破棄は致しましたけど、これは朗らかにグレート令息の不貞。慰謝料は貰い受けますわ。」
オディールはにっこり笑って、お弁当箱を持ってその場を後にした。
「馬鹿っか、もーーん!! 」
侯爵家の一室で怒鳴り声があがった。
「やっと王家との繋がりが出来る処をお前は!! 」
グレート侯爵は息子のジークブルクを叱咤した。体が小刻みに震え、今にも怒りで倒れそうだ。
「ブラック公爵家との婚約を破棄するとは!! 何を考えている!! 」
「父上、僕はオデットを愛してるんだ!! 」
「男爵家など知るか!! 」
侯爵は近くにあった灯台を手に取って振り回す。
「これでは借金を…… 返して、」
侯爵は借金の事を話しだした。
「借金は僕が返すよ、だから安心してくれ。」
ジークブルクは胸を張った。
「何を…… 言っている? 」
呆然と呟く。
「ブラック公爵家への借金は僕が返済すから、安心してくれ。だから、借金のかたに婚姻を迫られなくてもいいんだ。」
ジークブルクは嬉しそうに話す。
「馬鹿っか、もーーん!! 借金をかたに婚姻を迫ったのはこっちだーー!! 」
「えっ? 借金はグレート家がしていたんじやぁ…… 」
「逆た!! ブラック公爵家が、借金をしていたんだ!! それを、それを、お前は、お前は 」
バタッ!!
「父上!! 」
とうとう侯爵は怒りあまりの倒れた。
憐れグレート侯爵家は借金を返しては貰えなくなり、慰謝料をも払うこととなった。
「ジークブルク様、オデット様。お幸せに。」
「「「お幸せに。」」」
オディール公爵令嬢は、両親と弟とお茶の祝盃をあげた。
【完】
❣編集する前に貰った感想❣
❀黒幸様より
完結お疲れさまです&おめでとうございます。
借金の話がまさか……オディールの方が一枚も二枚も上手でお花畑な恋愛脳のカップルではそもそもが太刀打ちできる相手ではなかったみたいですね。
この物語の人物名はもしかして、白鳥の○でしょうか。
あの黒鳥のオディールなら、この世界では自分から幸せを掴みに行けそうですね!
❢その通り○○の湖の名前の引用です。他にもロミオとジュリエットとかあります。❢
✿千夜歌様より
さすがブラック!
借金をチャラにして面倒臭そうな男との婚約も破棄しついでに慰謝料もGET!
約束を反故にするようなクズにはお似合の結末。
ちゃんと『筋を通せ』と忠告されたのにも関わらず根性無しの決断をしたため家門に暗雲が。なんなら破産する規模の借金ならバカップルの未来も暗くなり【ざまぁ】連発されるのに。
素敵なお話ありがとうとございました。ラストで反転するシリーズ楽しいです。
❢楽しんで頂けたら嬉しいです。これからも頑張って行きたいと思います。❢
❁naimed様より
頑なに婚約破棄を断り続ける令嬢がカッコイイ……と思ってたらそんなオチだったかww
爵位と財産は一致しないものね。前編後編ともに斬新な切り口でした。
❢斬新、いただきました。
ありがとございます、とっても素敵な言葉です。❢
❃mic様より
『食卓』から来ました!☜斬新で面白かったです。
こちらは「どんでん返し」が新鮮で面白かったです!
他の作品も楽しみに拝読します♪
❢ありがとございます。斬新と、新鮮をいただき、ウハウハです。❢
「私達は愛し合っているの!! お願いします、ジーク様と婚約を破棄して!! 」
可愛らしい顔のオデットが涙ながらに訴える。
だいたいこんな人の目のある所で話す内容ではない。恋人同士の中に後から入ってきたオディールが酷いと、皆に知らしめる為にオデットがこの場所を選んだようだ。気の弱いジークブルクは既に尻に敷かれいた。
「お願いだオディール。僕はオデットを愛しているんだ。君から父に言ってくれ。」
「嫌ですわ。」
ジークブルクとオデットは手を取りながらオディールに懇願した。だが頑なにオディールは拒否する。
「仕方ありませんわ。」
オディールは淑女の必需品の扇を取り出し広げた。
「オディール!? 」
オディールの言葉にジークブルクは希望を見た。
「言いたくはございませんでしたが。この婚姻は政略結婚ではなく、借金の返済のための婚姻ですのよ。」
ディオールが目を細めて二人を睨む。(目が悪いだけで睨んではいない。)
「「し、借金!! 」」
ジークブルクとオデットは、驚きに声をあげた。周りの令息令嬢、王太子もざわめいた。
「そうですわ。ですので婚約破棄はできかねますわ。」
オディールは冷たく理路整然と言ってのける。
「借金なんて…… 聞いて無い。」
「不名誉なことですので、言えませんわ。」
オディールは口元を扇で隠し、悲しい目をした。
「どうして、借金なんか!! 」
「領地の日照りですわ、領民のためですわ。」
ジークブルクは吐き捨てた。オディールは借金の理由を話した。俯くジークブルクにオデットは縋り付く。
「ジーク様。」
「オデット。それでも…… 僕はオデットを…… オデットを、愛しているんだ!! 」
悲しそうなオデットを見て、ジークブルクは最初は小さい声から、大きな声へとオデットへの愛を叫んだ。
「オディール、お願いだ。婚約破棄をしてくれ!! 」
「できませんわ!! 」
ジークブルクの言葉を拒絶する。
「それともジークブルク様が、代わりに借金を返済してくださるのですか? 」
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「婚約している意味はありませんわ。」
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「ジーク様。」
「オデット。」
二人は手を握りしめた。
「分かった、その借金は僕が返そう。」
ジークブルクはオディールに借金返済を言った。オデットに支えながらも、その目は強い輝きを保っている。
「本当に? ジークブルク様が、代わりに借金を返済すると仰るのですか? 」
オディールは驚きの声をあげた。
「僕が、代わりに借金を返済する。だから婚約を破棄してくれ。」
「それはグレート侯爵家嫡男としての言葉ですか。後で反故にはできませんわよ。」
再度、ジークブルクに確認を取る。
「男に二言はない。」
「ジーク様、かっこいい。」
オデットはジークブルクに抱き着いた。
「そこまで仰るのなら、宜しいですわ。」
オディールは野次馬の中にいる王太子に目を向ける。
「王太子殿下、今の話の証人になってもらえますか? 」
「ああ、いいだろう。」
王太子は頷いた。
「グレート侯爵家の嫡男、ジークブルクの男気を見たような気がする。」
王太子はジークブルクを称えた。
「わたくしオディール・フォン・ブラック公爵令嬢は、ジークブルク・フォン・グレート侯爵令息との婚約破棄を宣言しますわ。」
オディールは声高らかに、婚約破棄を宣言した。
「ジーク様!! 」
「オデット!! 」
二人は抱き合い喜びあった。
「ジークブルク様。いえ、グレート侯爵令息。」
オディールは二人に話かけた。
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オディールはにっこり笑って、お弁当箱を持ってその場を後にした。
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侯爵は近くにあった灯台を手に取って振り回す。
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侯爵は借金の事を話しだした。
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ジークブルクは胸を張った。
「何を…… 言っている? 」
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「ブラック公爵家への借金は僕が返済すから、安心してくれ。だから、借金のかたに婚姻を迫られなくてもいいんだ。」
ジークブルクは嬉しそうに話す。
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バタッ!!
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とうとう侯爵は怒りあまりの倒れた。
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「ジークブルク様、オデット様。お幸せに。」
「「「お幸せに。」」」
オディール公爵令嬢は、両親と弟とお茶の祝盃をあげた。
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❣編集する前に貰った感想❣
❀黒幸様より
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借金の話がまさか……オディールの方が一枚も二枚も上手でお花畑な恋愛脳のカップルではそもそもが太刀打ちできる相手ではなかったみたいですね。
この物語の人物名はもしかして、白鳥の○でしょうか。
あの黒鳥のオディールなら、この世界では自分から幸せを掴みに行けそうですね!
❢その通り○○の湖の名前の引用です。他にもロミオとジュリエットとかあります。❢
✿千夜歌様より
さすがブラック!
借金をチャラにして面倒臭そうな男との婚約も破棄しついでに慰謝料もGET!
約束を反故にするようなクズにはお似合の結末。
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❢斬新、いただきました。
ありがとございます、とっても素敵な言葉です。❢
❃mic様より
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こちらは「どんでん返し」が新鮮で面白かったです!
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❢ありがとございます。斬新と、新鮮をいただき、ウハウハです。❢
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