【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて

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刈る者。

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リフターと辺境の者たちは総ての人間の命を刈り取り、朝には王都を後にしていた。

次の獲物を求めて。

隣の国、シュガーレ国へ。

三日三晩駆け抜ける。
帝国を退けたその後で、ソルトルアーの王都を殺戮したその足で愛する娘を護らなかった婚約者だった男のもとへ。


靄がかかる朝早く、シュガーレ国の正門が開いた。朝早くから国を出て、行商に行く者の馬車を通すために門は開かれた。

それが合図だった。

静かに辺境の者たちはシュガーレの王都に入り込む、近場の命を刈りながら。悲鳴をあげる間もなく、斬られ倒れる門番や行商人を後に辺境の者たちは王都の中に別れていった。

朝靄の街に、馬の駆ける蹄の音が響いていた。朝早く起きて外に出ている者は、気が付いた時には首を刈られていた。馬が通った後に、歩兵のように馬を離れた辺境の者が気配を感じ家の隅々を探っていく。まだ眠っている者は、そのまま永遠の眠りに変わっていった。

彼らはなにも知らずに散っていく。自分の国の王女が、国自体が、触れてはならないものに触れてしまったことに。その者の逆鱗に触れてしまったことに。

シュガーレ国は、王城 貴族街 市囲街とが高い石壁で別れていた。辺境の者は朝の靄に紛れ、静かに市囲街をまるで流れる水のように浸食していった。

朝靄が、赤く染まっていく。朝の日ざしではなく、吹き荒れる人間の血で。

まるで時が止まったかのように、昼近くになっても市囲街は動きがなく静かだった。ただ、馬の蹄の音が水音をさせて響いているだけだった。

貴族街への門は閉ざされていた。

貴族街は朝から忙しかった、市囲の事を気にする事ができないくらいに。今日は昼からアマージョ王女とアフォガード王子との婚約披露パーティーが模様されていたからだ。つまりはシュガーレ国とソルトルアー国との同盟強化の日でもあった。

バタバタと行き交う馬車を、貴族街への門番は門を閉ざしたまま見ていた。昼が過ぎ貴族街の貴族たちの王城への往来がおさまった頃、門番は市囲へとの続く門を開けた。


どす黒く汚れた街並みと、むせ返る鉄が錆びたような臭い。

「な、なんだ、これは!! 」
「なんだ、このニオイ!? 」

叫ぶと同時に首が飛んだ。鮮明な赤い飛沫を吹きながら、頭のない胴体が倒れる。

休息を取っていたリフターは、辺境の者たちはゆっくりと立ち上がった。門が開いたことで、再び浸食が始まる。

静かに、確実に、王都の人間の命を刈るために別れていく。逃げ惑う人間を軽く刈りながら、リフターたち数人は目の前にそびえる王城を目指して馬を走らせる。

貴族街の殺戮の悲鳴も怒号も、彼らには貴族たちには届かない。貴族たちは最も楽しい催し物で笑っているのだから。

シュガーレ国とソルトルアー国の同盟強化で帝国を退ける事ができると。逆に帝国を侵略することが出来るかもしれないと。

シュガーレ国の王も貴族たちも細笑んでいた。ソルトルアーとの同盟強化で、辺境の者たちの力を手に入れられたと思っていたからだ。数千の者たちで数万の帝国の兵を退けてきた強者達を手にする事が出来たと。その最も強く、怒らしてはならない者を自分たちの国が怒らしてしまったことに。アマージョ王女が婚約者を奪いあまつさえ濡れ衣を着せ、リフターの、辺境の者たちの愛する愛し子を虐殺したことを。
彼らはまだ知らなかった。

今、まさに今。その強者たちがシュガーレ国を侵略、嫌、殺戮していることに。

音もしない市囲街、笑いが謳歌をする城内。阿鼻叫喚の地獄とかす貴族街。

リフターは感情のない琥珀色の瞳を真っ直ぐと前に向ける。髪飾りで押えた黒い髪を靡かせ、馬を走らせながら王城に近づいて行く。

彼らは人間を刈る、そこに躊躇も憐れみもない。

野獣のように? 

いや、あたりまえのように。



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